「お前ちゃんと持ってろ」

「あ、はっ、おう!」

 指摘したことを直そうと無理に喋ると何言ってるのかいまいち不明だ。

「最初は魚の動きに合わせて竿を引くんだ。無理に引っ張ると逃げられる」

 すぐ隣に座り、相手の竿にそっと触れる。

 テンポをとるように竿を引いては力を緩めてやる。

「……ほら、もうコツ掴んだだろ?あとは自分でやれ」

 パッと相手の竿を放し、自分の赤い竿に持ち直して腰を下ろす。

「あぁ、あと、お前のレベルの場合、その竿じゃ弱すぎるぞ」

 今にも折れてしまいそうな茶色い竿。

 ユウでさえ強度のある赤い竿を使っているのだ。あれでは釣れるモノも釣れない。

「…?おい、聞いてるのか?」

 さっきまでとは打って変わって無口なゆん。

 余計な世話だっただろうかと、少し心配になってくる。

「おい、ゆ…、…!?

 切れ長のユウの目が少し見開かれた。

 気になって様子をちらっと覗ってみたら、お湯でも沸かせるんじゃないかってくらいゆんの顔が真っ赤だったのだ。

「はあぁぁ…やばいやばいやばい///も、逝ってもいい//

「…大丈夫か?魚なら行っちまったぞ?」

 既に獲物はエサを食い千切り逃げていた。

 何だか知らないが、竿を大事そうに握りしめたまま興奮状態にあるようだ。

 放心するほど釣り、気に入ったのか?

 まぁどうでもいいかと、また浮かぶウキを眺めながら一息ついた。

 ゆんとは会って間もないが、ユウの中で変わった奴だとインプットされた。



 2人で釣りを始めて1時間ほど。

 ユウのバケツの中にはヒラメに加え、イワシ、メバル、マダイ等、なかなかの大物が泳いでいる。

 一方ゆんはというと…。

「あー…また逃げられたぁ。下手するとあたしが海に引きずり込まれちまうよ…」

 指摘した竿を黒に変えてやっているようだが、成果は上がらない様子。

「お前、まだ沿岸でやってた方が良かったんじゃねぇか?」

「いや!大丈夫だ!ココ気に入ってるからな//!」

「…?…そうか」

 ユウは首を傾げる。

 バケツを見る限り、釣れたのは小さなイソギンチャクだけだ。

 気に入る要素は一体どこに…?

「あ!なあなあ…?」

 ふと思い出したかのようにゆんは顔を上げた。

「さっき言ってた100万って何?」

!?

「釣りのポイント?何か欲しいモノでもあるのか?//

 余計なことを思い出してくれる。

 しかもキラキラと何か期待しているような眼差しでこっちを見つめてくる。

「べ、別に何だっていいだろ…?」

 ユウは熱い視線から顔を逸らす。

 言えない。

言えるわけがない…。



続く。


一言:なかなか順調v

   昨日より長く書けましたヽ(´ε`)ノ続き頑張るb