「紹介するさね」

 赤く痕のついた頬をさすりながらラビビは黒猫少年に手のひらを上に向けて指した。

「この子、名前はさっき呼んだ通り、豆さ」

 ちょこんっとついた黒くて丸い目。雰囲気もコロコロしてそうな…、まぁ、名前通り豆っぽい。

 きぐるみのふちから覗く白い、いや…銀色の髪のおかげで幼さが中和されている。

「豆」

「なんですのん?」

「あ、いや…」

 珍しい名前につい声に出してしまったのだが、豆は素直に返事をしてくれた。

「珍しい名前っしょ?覚えやすくてありがたいけどさ」

 こっちの気持ちを知ってか知らずか、ラビビがケラケラ笑って口を挟む。

「あ!そうそう、聞いてさ!豆!」

 何を思い出したのか、急に頬を膨らませてこっちを非難するような目で見てくるラビビ。

 呼ばれた豆と同時に首を傾げると…。

「このにゃんこ、名前教えてくれないんさあ!」

「……」

 何かと思えばそのことか。いい加減しつこい。

 と、眉を寄せて溜息をつく。

「言ったじゃねぇか。俺はカンダだ」

「それじゃなくて!オレが知りたいのは下のお名前なんさ!なぁ、豆も知りたいだろ?ってか知る権利あるよな?、な?」

 今度は豆に向かって同意を求めている。

 確かに、向こうの名前を知ってしまった以上、教えないのは失礼かもしれない。そう考えるとラビビにもそれは値するが、変態は例外ととっていいだろう。

 と、ユウの中でおかしなルールが完成していた。

「あの…――」

「…ユウ」

「え?」

 豆が聞きたそうな顔をしたと同時に、ユウはポツリと告げた。

 聞こえなかったか再確認のためか知らないが、ラビビが追って聞き返してくる。

「カンダ ユウだ」

 まっすぐ、豆に視線を向けて答える。

「ユウ…、ユウたんですね!よろしくお願いしますぅ

「お、おぅ」

 差し伸べられた手を握り返しながら頷くと、豆はニッコリと無邪気な笑顔を向けてきた。

「え、ちょ、ユウさん?」

「…なんだ?」

 様子をジッと見ていたのだろうラビビが、つまらなそうに、また遠慮がちに口を開いた。

「名前聞いたのはオレさ?それに握手まで…!豆ばっかりずりぃさあ!!!

「どこがずりぃってんだ、あ?テメェは最初から礼儀がなってねんだよ!知らねぇとは言わせねぇぞ!」

 出会ってからの言動を思い出してまた腹が立ってきた。

 許可なく他人を撮影し、それどころか外見や内面のことまで好き勝手言いやがって!

 別に根に持つ方ではないが、むしろ無頓着な方でどうでもいいことは記憶に残らないと言っても過言ではない。






続く。


一言:もう少しセリフ増やしていこうかしら・・・。