これはフィクションです!←


※今回から解説とセリフを詰めてUPしていきます。





「ちょ、もう降参―!」

 へぇへぇと息を切らしながら腕を交差させて×を作るヘタレな相手に、ユウは舌打ちをこぼす。

しゃがみ込んだ相手に続いて立ち止まる。

追いかけ始めてまだ5分ほどしか経っていない。

「お前、体力ねーな。男のくせに」

カチャっと愛刀を鞘におさめて腰に片手をおき、オレンジの髪をジッと見下ろす。

「はぁ…。いやいや、そちらさんが体力ありすぎなんさぁ…。本当に女の子?」

 相手が最後にこぼした何気ない言葉に、一瞬呆けてしまう。

「…お前、まだふざけてるのか?俺は…――」

「あ、それよりさ」

(?)

 否定する前に言葉を遮られてしまった。

 まぁコイツの冗談に付き合っていたら切りがないと、ユウはあっさりツッコミを頭の中から削除した。

「誰を待ってんの?待ち合わせっていつさ?」

「あぁ、もう来ないだろ」

 懐中時計を見ると指定の時間から50分近く針を進めていたため、そう判断した。

 護衛がいらなくなれば来ないことなんか稀にある。それがルールのようなものだ。

 仕事が消えるのは痛いが、まあ仕方がない。

「じゃ、オレと遊ぼ

「あ?俺はンな暇じゃねえっつったろ」

「えー。だって今暇になったさ?」

「だから、お前と遊ぶ時間は俺の中には存在しねえ」

「あ!黒猫がいるさ!」

「誰が黒猫だヽ(`Д´)ノ」

 既にお決まりの合言葉と共に、ゴスッと見事に踵がラビビの脳天にヒットした。

「い゛ってえ!違うさ!あっちあっち!!

 ラビビの指が示す先は、ユウの股下を通り過ぎ、更に遠く…。

 首を小さく傾げながら、オレンジの頭から足を下ろして振り向く、と…。

「…え…」

 確かに、黒い頭に黒い耳、長いようで短いしっぽ。それから…。

「なぁ…?猫ってラッパ吹くのか?」

「…い、いやいやいやっ、吹かないっしょ…ってか吹けない、はず…」

「だよな」

 しかし、十数メートル離れた先にいる猫の手には確かにラッパがある。

 こんな昼間から化け猫?森の奥地だから有なのか?昼間人けが無い理由はコレか?などと勝手に頭が理由を連ねる。

「あ…、もしかして…!」

 急に声を上げて立ち上がったラビビに目を丸くする。

「どうした?」

「いや、アレ人間さ」

?!!

 言われて目を凝らして見る。

 ずっとこっちに背中を向けていた黒猫は、ピョンっとジャンプしてこっちを向いた。

「やっぱりそうさ!あの服、最近発売された猫のきぐるみさね

「きぐるみ…」

「それに、こんなところできぐるみ姿でいるやつは、あの子しかいないさ」

 ニカッとこっちに笑顔を向けて、隙だらけの駆け足で黒猫の元へ向かうラビビ。

 その後を警戒したまま追う。

 人の気配に気付いたのか、黒猫…のきぐるみを着た少年が顔を上げた。

「やっぱり!こんなところで何してんさ?豆」

「あ、あぁぁあああ!び!こんちゃー

「相変わらずさね。ってか、びって省略しすぎさぁ…」

 会って早々仲良く話し出した2人に眉を寄せる。

 初対面の人間は苦手で、接し方が分からない。からメンドクサクなる。

「おい。俺帰るからな」

「あ、ちょ、待ってさ!ニャンゴフッ!!

 タイミング良く鞘の先端がラビビの腹に減り込んだ。

「誰だニャンゴフって、あ?」

「そっ、それはコノ鞘が教えてくれたんさっ」

 鞘を掴み、せき込みながら冗談に冗談を重ねてくる。

「ぷくくっ。仲良しなんですのぅ

「そうなんさ

 こっちのやり取りを見ていた豆という少年の言葉に、ニッコリ肯定する変態カメラマン。

 今度はそのふざけた顔をグリグリすり込んでやった。






続く。