直ぐ続きが始まります。






「誰だテメェ!」

「そんなビックリせんで♡怪しい奴じゃないさ♡」


ユウは突然現れた男の言葉に眉を寄せる。

 向かって左目には眼帯、覗く右目はグリーン色に怪しく光り、緩んだ口元からは…相手を惑わす言葉さえも平気で飛び出してきそうな…。

 そして首にぶら下がっている一眼カメラ。

 見るからに怪しい、変な男…。


「俺ってそんな良い男に見えるさぁ?♡」


 ジッとガンを飛ばすユウに何か勘違いをしたらしい。


「俺の質問に答えろ。誰だ、お前」


…カチャっ――

 相手の自分勝手な質問は一切無視して、手にする愛刀の柄(ツカ)を握って目を細める。


「あ!ちょ、落ち着いてさあ!俺はラビビ!んで…」

「は?」


 風変わりな名前に、つい聞き直してしまう。


「だ、だからぁ!ラビビって名前!で、カメラマンやってんさ」

「ふーん。…で?」

「え、そんだけ!?聞き直しといてそんだけって無いさあ!」


 まるで子供のようにわめき出すラビビに、警戒していた力が緩んでいく。


「別に、繰り返せとは言ってねぇよ」

「言ったようなもんさ!」


 いつまでもわめく相手に呆れてそっぽを向く、と…、


「顔は綺麗なのに、性格は可愛くないさー」


 彼の言葉にピクッと眉が跳ねる。


「予想外だったさ…。これじゃ違う意味で誰も近寄らないさね」


 カッチンっ。

 ユウの中で完全に何かが切れた。


「テメェ…」


 ふざけた野郎にギロッと鋭く視線を向ける。


「さっきから聞いてりゃ言いたい放題…!用がねーならさっさと行きやがれ!!


 頭にきて怒鳴ると、肩をビクリと弾ませて驚くラビビの顔。

 人のことを好き勝手言いやがって!と、額に青筋を浮かべずにはいられない。


「俺はテメェなんかと遊んでる暇ねぇんだよっ!5秒以内に俺の前から消えやがれ!」

「……」

「……な、何だよ…?」


 急に黙り込んでジッと見据えてくるラビビ。

 一瞬呆けてしまったが、負けじと視線を更に鋭く相手を射抜く。

 睨み、合う?こと数十秒…。


 …パシャっ!


「なっ!?


 急に浴びせられた光りに目がくらみ、咄嗟に腕で目をガードする。

瞬間、またニコニコと緩みきった表情に戻っていた。


「やった!綺麗で可愛いお顔ゲットさぁ♡写真のタイトルは【威嚇する黒猫ちゃん】かな♡」


 ユウの額に青筋が増えたことは言うまでもない。


「…この、変態インチキカメラマンがあ!!そのカメラごとぶった斬ってやるから覚悟しろ!」

「お、落ち着いてさぁ…♡怒ったお顔も可愛いけどさ。黒猫ちゃん♡」

「黒猫じゃねえ!カンダだ!」

「お!下のお名前は?」

「誰がテメェみてぇなふざけた野郎に教えるかよ!」


 ブンブン愛刀を振り回すも、それを楽しそうに逃げ回るカメラマン。

 効果の無さを感じて余計苛立ちは増すばかり。


「じゃあふざけなかったら教えてくれるんさ?」

「教えねーよバカが!変態野郎に教える趣味も義理もねえ!」


 相手の緩んだ口がツンととがる。


「じゃあ黒猫ちゃんって呼ぶさー」

「ンじゃテメェのことは変態カメラマンって呼んでやるよ」

「ええ!?俺のどこが変態なんさ!」

「全部だ、全部。さっきから言ってんだろ」


 ギャーギャー言い合うのも飽き初め、本来の目的である依頼人のことを思い出す。

 変態カメラマンに溜息ひとつ零し、辺りをきょろきょろ見渡すも、ユウたちの他には人っ子一人見当たらない。





続く。