おいしいトマトの選び方。
それは、その昔、確か彼女は24才だったと思う、スペインの女性に聞いた話だ。
あまり知られていないが、スペインの野菜は、べらぼうにおいしい。
夏に食べる野菜など、それを食べるためだけにスペインに行く価値があるのではないかと思う程だ。
バカンスで出かけても、レストランばかりで食べるのは、いかにももったいない。
スーパーマーケットや市場に出かけて行って、地元のトマトやキュウリを買ってきて食べることが出来ると、実に楽しい。
何かドレッシングが要るだろうと思われるかもしれないが、何をかくそう、塩だけで十分なのである。
否、塩も要らないぐらいだ。
そんな野菜大国の娘さんに、トマトの選び方を教わったのだ。
彼女は彼女で、お母さんに教わったと言っていたように記憶している。
ひとつ条件がある。
トマトが好きだ、ということだ。
そのにおいが嫌いな方は、逆に避けた方がいい。
その方法とは、へたの辺りに青さが残っているトマトを選ぶことなのだ。
完熟トマトには、そのにおいはほとんど残っていないだろう。
昔の日本のトマトも、その臭いは強烈で、夏には塩だけで丸かじりをしたものである。
大きなトマトが一人に一個、野菜として食卓にあがったものだ。
ビニールハウスが主流ではなかった頃の話だ。
そんな素朴な食卓が懐かしい。