ヨーロッパでラテンの国々と言えば、イタリア、スペイン、ポルトガルだろう。
国というより地域になってしまうが、南フランスもその区分に入るだろう。
この国々のサラミや生ハムは比較的知られているし、食べる機会もまずまずあると思う。
さて、スペインのチョリソはどうだろうか。
スペインは、そうさな、数えたことはないが、累計何十回か訪れているだろうし、スペイン人と付き合う機会もまずまずあった。
そのスペイン人たちの一人に、チョリソは2種類あると聞いた。
一つはそのまま食べるチョリソで、もう一つは焼いて食べるチョリソである。
スペインに行く様になっても、しばらくは焼いて食べるチョリソを知らなかった。
マドリッドにマヨール広場という広場がある。
或るスペイン人の知り合いと連れ立って、とある夜そこに出かけた時の事だ。
そこに出店(でみせ)があって、何やら濃い色をしたサラミなのかソーセージなのか、得体の知れないモノをぶ厚めに切って、鉄板の上で焼いているではないか。
どちらかと言うとサラミに似ていてる。
サラミを切って焼くという習慣を知らなかったので、大変物珍しく、食べてみることにした。
この焼いたサラミなのかソーセージらしきモノが得も言われぬおいしさだったのだ。
赤いサラミ、あるいはソーセージは、焼くと赤黒くなるチョリソだ。
チョリソの赤はパプリカだ。
裸電球の灯りの下で、若い男性がチョリソを焼いていたその光景は、未だに忘れることができない。
パンを一切れ付けてくれたと思うが、忘れた。
それ以来、時々チョリソを入手して、自分で焼いて食べることとなった。
焼き方で気を付けるのは、そのままフライパンの上にのせて、弱火で焼くという点だ。
皮はむいてからにした方が扱い易い。
裏表まんべんなく焼く。
油を引く必要がない。
チョリソから脂が出て、その脂で焼くことが出来る。
これもスペイン人から聞いた。
このマヨール広場での体験がなければ、今でもチョリソは焼いて食べるということを知らないままかもしれない。