芸劇ブランチコンサートがリニューアル。パーソナリティが、これまでのピアニスト・清水和音さんから、石田組・組長で知られる強面のヴァイオリニスト石田泰尚さんにバトンタッチ。今回はその第1回でした。
 



まずもって会場に入ってびっくり。

3階までぎっしり満員。この2千人収容の大ホールでの平日の真昼の1時間だけの室内楽コンサートが満席というのは、何年か前の藤田真央さん以来。まずもって石田泰尚さんの人気のほどというのを思い知らされました。
 



そのあおりで私たちの席も、1階席中央から天井近くの3階席後方へと追いやられてしまいました。さすがに2千人収容の大ホールですから、ステージ上のピアノもお二人のお姿も豆粒大。前席のご婦人は終始オペラグラスを目に当てっぱなしでした。

正直言って、何年もこのブランチコンサートに毎月通ってきていささか常連気分だったので少なからず興ざめします。

3階の天井桟敷(?)からのアコースティックは意外にそれはそれで楽しめました。高域の倍音域は減衰しまくり、直接音よりも間接音が勝るバランスは、オーディオで言えば、BGMとまでは言わないまでも、心地よい"ザ・クラシック"風のサウンドです。これはこれで悪くはないのですが、いままでのこの昼下がりの気軽さといえども本格的でフレッシュな気鋭の若手たちの力演を楽しめるというお得感とはちょっと違ってきてしまいます。

石田さんも實川さんも、すでにこの芸劇ブランチコンサートに登場済。石田さんの初登場は、コロナ禍のさなかの6年前のことでしたから、今回の満員御礼状態は隔世の感があります。個人的には石田さんの初見参は、10年前の紀尾井ホールでの特別編成のバロックオーケストラのリーダーでしたから、実力派のその後の活躍は納得しても、その異色の人気には多少とも違和感を持ちます。

そもそも、多弁で饒舌気味のところもあった清水和音さんとはギャップがありすぎです。1時間なので12時きっかりに終わり、アンコールも無しというのが型になっていましたが、シャイで口数の少ないことがウリの組長さん、プログラムが終わってから「まだ11時40分ですので……」と笑いととりながら何とアンコール(時間つなぎ?)を3曲も!(爆)

それにしてもその風貌とのギャップの大きい、流麗なボーイングと品格の高いフレージングは相変わらずで、聴かせます。今後どんな流れを作っていくのか……しばし、注目です。



 



芸劇ブランチコンサート
石田泰尚の玉手箱
第53回「石田泰尚&實川風」」
2026年4月21日(火) 11:00~
東京・池袋 東京芸術劇場コンサートホール
(3階I列24番)

J.S.バッハ=グノー:アヴェマリア
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調 op.24「春」
ピアソラ:ル・グランタンゴ

(アンコール)
クライスラー:愛の悲しみ
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ第1番より 第4楽章
ヤコブ・グーゼ:タンゴ・ジェラシー

石田泰尚(Vn) 實川風(Pf)