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ちょっと時間ができたので、映画を見てきました。
ガラスのショーケース越しに切符をもぎってもらって、階段を登ったら、もうそこが入り口の扉という、昭和な映画館。それでもスクリーンが二つあって、できた時は画期的だった!
ピアノの調教師になった青年の物語です。
ピアノの音は、羊毛のフェルトのハンマーが鋼の弦を叩くことで生まれます。
ハンマーの腕の部分は長い時間をかけて育った木から作られています。
生まれた音は、羊の過ごしてきた時間と森で育った木の時間を響かせる。
音の違いや良し悪しは、私にはわからないけど、その音を引き出すのが調律なんですね。
家には、遠くで長い時間かかって育った木が、日本にやって来て時間をかけて乾燥されて、職人さんの手の技で作られたギターがあります。
これから触るたびに、育った外国の森のことや、乾燥の間に聞いた風の音、柔らかな曲線にたわめられるときの職人さんの手のことなんかを思い出しそう。
そんなふうに、思えるギターがあるって幸せです。
静かな静かな映画の事を、きっとこれから何度も思い出すような気がします。