僕の名前はタビー 野村様が生命の不思議をシリーズ4回目 | 黒猫とメインクーン

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とっても小さかった黒猫チビさんとと臆病でフニャフニャしていたメインクーンフニャさんが2018年5月に10歳で亡くなって6月に迎えたメインクーンタビーさんと造園デザイン、施工をしている自営業の飼い主との毎日。


【第4回:菌は記憶する──情報を継ぐのは脳か、菌か】全5回

 

 

 

 

記憶とは、いったいどこにあるのか?
私たちはこれまで、それを「脳の中」──神経細胞の接続パターンや、電気信号と化学物質の痕跡だと信じてきた。
だがもし、それが“脳だけ”にあるのではないとしたら?
もしそれが、あなたの体の内外にいる「菌」たちにも保存されているとしたら?
この問いは、かつてSFでしか語られなかった世界を、今まさに現実の科学が射程に捉えつつあることを意味する。

 

🔹 バクテリアは「記憶」できる
近年の分子生物学は、微生物──特にバクテリアに**「情報を記録し、保持する仕組み」**が存在することを明らかにしてきた。
代表的なのが、細菌の免疫システムであるCRISPR-Casシステム。
これは「外部から侵入したウイルスのDNA情報を保存し、再侵入時に照合して排除する」という“分子的記憶装置”だ。
しかもその記憶は世代を越えて子孫に伝えられる。
つまりバクテリアには、「経験を記録し、学び、伝える」機能が備わっている。

 

🔹 微生物群全体が「学習」している
バクテリア1種ではなく、腸内や皮膚に棲むマイクロバイオータ(常在菌群集)全体を見ると、その能力はさらに際立つ。
 • 食事やストレスに応じて構成を変え、適応する。
 • 病原菌に対して防御戦略を切り替える。
 • 抗生物質にさらされると、耐性を“共有”する。
これらは、単なる反応ではない。「環境に応じて構成を学び、記憶し、変化を繰り返す“知的な振る舞い”」である。
一部の研究では、「腸内細菌群は脳よりも高い自由度で情報処理をしている」とさえ言われている。

 

🔹 記憶は「全身に」宿る
さらに重要なのは、記憶は脳以外にも分散して存在しているという事実である。
たとえば:
 • 免疫細胞は「一度見た病原体」を覚えており、再会時に即応する。
 • 骨髄や皮膚にも「エピジェネティックな環境記憶」が蓄積される。
 • 筋肉細胞には「トレーニング履歴に基づく細胞記憶」があることも判明。
つまり、私たちの“経験”は、脳だけでなく、身体のあらゆる場所に保存されている。
そこに、常在菌が関与している可能性が濃厚なのだ。

 

🔹 菌が「性格」や「行動」を左右する
動物実験では、人間の腸内細菌を無菌マウスに移植することで、
 • 不安傾向
 • 社会性
 • 活動量
 • 探索行動 などが再現されることが分かっている。
これは、菌が性格傾向や神経伝達のパターンといった「情報」そのものを運んでいることを示唆する。
また、うつ病や自閉スペクトラム障害の患者の腸内細菌を移植したマウスが同様の行動変化を示す研究もあり、「気質すらも菌とともに移植される」可能性がある。

 

🔹 菌が「あなた」を他者に残す
ここで、想像を現実に近づける視点が生まれる。
あなたが死んだあとも、常在菌たちはすぐには死なず、
 • 身体から放出され、
 • 空気中に漂い、
 • 他者の体内や環境に取り込まれていく。
このとき、**あなたの経験、好み、感情傾向の“微細な残像”**が菌たちに刻まれていたとしたら?
そしてそれが別の場所で再現され、
ふとした瞬間に「既視感」や「夢枕」のようなかたちで表面化したとしたら?
あなたという情報は、死後も世界に微かに生き残っている。
その媒体は、体内に棲んでいた数百兆のバクテリアたちである。