耳鳴りなどの聞こえの問題は、年配の方の病気というイメージがあったのですが。
最近私の周りにも、若い方でも耳鳴りに苦しんでいる方が結構います。

その原因の1つとして、イヤホンやヘッドホンが関係しているのではないかと考えられます。
イヤホンやヘッドホンで音楽などを聴くとき、つい大きな音で聴きたくなってしまうことはないでしょうか?
大きな音は耳にダメージを与えてしまいます。そして音がとても大きくなくても長時間の継続によって、耳はダメージを受けてしまいます。
それが原因で、難聴になり耳鳴りが発生する若者も少なくないようです。
イヤホン (ヘッドホン) 難聴による耳鳴りを考えてみました。
イヤホン難聴による、耳鳴りの状況。

”なぜ、イヤホンで耳鳴りが起きるのか?” ということを考えると、"難聴" との関係性です。
聞こえが悪くなると、脳に音の情報が伝わりにくくなり。脳は音をもっと聞き取ろうとして、聞き取る感度を上げていきます。
この状態が続くことによって、耳鳴りの症状を引き起こしていると考えられています。
耳鳴りの原因が難聴にあるケースが極めて多くあり、合わせて耳の内耳の血流とリンパの流れが悪くなることのより、耳鳴りや難聴が起こりやすくなることもあります。
そこで、 ”イヤホンで耳鳴りがなぜ起きるの” という質問を "イヤホンでなぜ難聴になるのか" に置き換えて考えてみますと。
・・・イヤホンは、耳のすぐ近くで音が鳴っています。
これにより、耳の近くで音を聞くことで耳に負担がかかり、難聴が起こりやすくなると考えられています。
WHO(世界保健機関)では、世界の若者(12~35歳)の多くがイヤホン難聴(ヘッドホン難聴)などの音響性難聴のリスクにさらされていると警鐘を鳴らしています。
イヤホン難聴は、イヤホンやヘッドホンを使い、長時間にわたって大音量で音楽を聴くことで引き起こされる聴覚障害の一種で。
医療用語で「音響性難聴」と呼ばれ、大きな音にさらされることにより起こります。
スマートフォンやポータブル音楽プレイヤーの普及、イヤホンやヘッドホンの使用増加に伴い、音響性難聴の一種であるイヤホン難聴の報告が増加しているのが現状です。
従来は、イヤホンで大きな音を聞くことによって難聴化することが考えの主体だったのですが、今の考えは多少違うようです。
”イヤホンを使っているけれど、大きな音で聞かないから自分は関係ない” と思われた方もいるかもしれません。
しかし、大きくなくても長時間聞き続ければ、耳はダメージを受けてしまうのです。
さらに、オーディオ機器からだけでなく環境音も加わって、許容範囲を超えることがあります。耳はとても繊細なのですから。
イヤホン難聴の理由と特徴。
内耳の中には蝸牛(かぎゅう)という器官があり、その中に「有毛細胞」という音を感じ取る細胞があります。

有毛細胞は、蝸牛に伝わってきた音の振動を電子信号へと変換し、聴神経を通じて脳に伝える役割の部位です。
この流れで、私たちは音を聴いているのですが。
この有毛細胞は大音響や騒音によって傷つき、壊れてしまうデリケートな部位なのです。
※画像は引用させていただきました
音は、外耳から中耳まで空気の振動として伝わってきて、内耳の「蝸牛(かぎゅう)」という、かたつむりのような螺旋(らせん)状をした器官へ入ります。
蝸牛にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)が、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をしています。
イヤホンやヘッドホンを使うことによって、”大音響” を ”長時間” で音楽などを聞いていると、有毛細胞が傷ついて音が聞こえにくくなる可能性があるわけです。
したがってイヤホン難聴(ヘッドホン難聴)の原因は、スマホとイヤホンを使うなどして一定の音量以上で長い時間、音楽を聞くことが原因です。
有毛細胞に影響する大音量の危険性の例としては、
・100dB以上の大音響では急に難聴が生じる
・98dBで1週間当たり75分以上の音を聞き続ける
・80dB程度でも1週間当たり40時間以上聞き続ける
音の大きさを考えると、100dBは電車が通るときのガード下の音。
80dbは、地下鉄の車内、交差点、ピアノ(1mの距離)くらいの音です。
イヤホン難聴の特徴
進行がゆっくりで、気づきにくい
イヤホン・ヘッドホン難聴は俗称で、正式には「音響性聴器障害」や「騒音性難聴」と言います。
大きな音を聞き続けることで耳の機能が劣化し、聞こえづらくなるという病気です。
これまでは建設現場や工場、パチンコ店など騒音を伴う職場で働いている人にみられていました。現状ではイヤホンからの音が原因で発症する人が増加するのではないかと懸念されています。
この病気が恐ろしい点は、「気づきにくい」ということです。急に悪くなるのではなく、時間をかけてじわじわと耳の機能が衰えていくため、なかなか異変に気づかないのです。
失われた聴力を取り戻すことはできない
気づきにくいことに加えてイヤホン難聴が恐ろしいのは、「治らない」ということです。
難聴は、蝸牛の有毛細胞が壊れることで起こりますが、有毛細胞は一度壊れると再生しません。失われた聴力は戻ることはなく、再生する手段はありません。
イヤホン難聴の意識調査。

イヤホン難聴への不安度は40%、使用率の高い20代は45% 耳のために「音量」「イヤホンの使用」を控える声が最近は多いという。
株式会社クロス・マーケティングの、2024年3月、全国20~79歳の男女2,400名の調査を引用させていただきました。
イヤホン・ヘッドホンの使用状況、耳のために行っていること、イヤホン/ヘッドホン難聴(スマホ難聴)への不安度や認知度をピックアップし分析をしました。
イヤホン・ヘッドホンの使用状況
直近1か月間にイヤホン・ヘッドホンを使用した人は45%、若い年代ほど使用率は高く、20代は61%、30代では52%。
使用頻度は、「ほぼ毎日」31%、「週に4~5日程度」と「週に2~3日程度」が22%と多い。「ほぼ毎日」使用している人は、20代で45%、30代で36%と高い。
イヤホン/ヘッドホン難聴への不安度
イヤホンやヘッドホン使用時の大音量や長時間利用による難聴を呈示し、将来の不安度を聴取した。
「かなり不安に思う」11%、「まあ不安に思う」29%、合わせて40%は不安を感じていた。
「不安に思う」が最も多いのは、イヤホンやヘッドホンの利用頻度が高い20代で45%であった。
スマホ難聴、イヤホン/ヘッドホン難聴の認知率
スマホ難聴の「名前も内容も知っている」11%、「内容は知らないが名称は聞いたことがある」31%、合わせて42%が認知。
イヤホン/ヘッドホン難聴は「名前も内容も知っている」21%、「内容は知らないが名称は聞いたことがある」36%、合わせて57%が認知しており、スマホ難聴より認知率は高い。
イヤホンの使用率は高いものの、難聴への不安度は多くの人が認識しているようです。
デシベルを把握して、耳の負担を避る。
私たちは、周辺の音量のレベルを把握して、耳に負担を受けない環境にいることと、イヤホン利用の安全性を確保するべきだと思います。
■周辺音のデシベル数
デシベル | 環境 |
120㏈ | 飛行機のエンジンの近く |
100db | 電車内が通る時のガード下 |
80㏈ | 救急車のサイレン |
60㏈ | 普通の会話 |
40㏈ | 静かな住宅地 |
20㏈ | 木の葉の触れ合う音 |
環境音の目安は、85㏈の8時間。
WHOは安全の目安として、携帯音楽プレイヤーなら静かな場所で周りの会話が聞こえる程度の音量、または最大音量の60%以下としています。
数字であれば、85㏈で8時間です。
また時間や頻度を考慮する必要があり、耳に休憩を与える、音楽プレイヤーの使用時間を制限するといった行動を心掛けましょう。
■安全とされている暴露量の目安
デシベル | 時間 | 音の例 |
120㏈ | 9秒 | ブブゼラ |
115㏈ | 28秒 | ロックのライブコンサート |
110㏈ | 1.5分 | 耳元で行く大声 |
105㏈ | 4分 | 最大音量の音楽プレイヤー |
100㏈ | 15分 | 車のクラクション(5m距離) |
95㏈ | 47分 | 中型オートバイ |
90㏈ | 2.5時間 | 芝刈り機 |
85㏈ | 8時間 | 車の騒音 |
80㏈ | 25時間 | 目覚まし時計(60m) |
ロックコンサートの暴露量からみる目安は28秒。これでは多くの人が影響を与えてしまう。
ロック系の音楽アーチストは、確かに耳鳴りの方が多いように言われています。
イヤホンは、音量60%で。
スマホは100㏈、ヘッドホンは100-120㏈前後がデバイスの出力できる最大音量と言われています。
ボリューム最大であれば、100㏈前後の音量に耳が晒されていることになり最悪の場合は急激に聞こえが悪くなると言う事態もあり得るということです。
そこでWHOが推奨する約60%の音量を意識すると、最大100㏈出力できるデバイスなら60㏈、最大120㏈出力できるデバイスなら72㏈まで音量が下がります。「60%」は8時間ほど聞ける耳に優しい音ということなのですが。
イヤホン難聴の予防
イヤホン難聴の歴史は短く、現在の考え方が全て確実なものと言えなかと思われますが、イヤホンを丁寧に使う必要があります。
音量を適切に調整する
音量を控えめに設定 : 最大音量の60%以下を目安にする
環境音と調整 : 周囲の音を完全に遮断するほど大きな音量にしないように注意する
聴取時間を管理する
連続使用を避ける : 長時間連続で使用しないようにする
適度な休憩 : 1時間ごとに少なくとも5〜10分の休憩を取るようにする
イヤホンの種類を選ぶ
ノイズキャンセリングイヤホン : 外部の騒音を減少させることで、音量を低く抑えることができます
耳に優しいデザイン : 耳に負担をかけないデザインのイヤホンを選びましょう
定期的な耳の健康チェック
専門医の診察 : 聴覚に異常を感じたら、早めに専門医に相談が必要
耳のクリーニング : 耳垢が溜まると聞こえにくくなり、音量を上げがちですので、定期的に耳のクリーニングを行いましょう
PC、スマホの進化と共に、イヤホンの使用率はかなり上がってきたこの20年。
コロナ禍での使用率がまた伸びて、10代以下では、男性85.0%、女性75.8%という情報もある。
音楽を聴いたり、ゲーム音も大きくて、耳には悪影響を与えているものと考えられます。
今の若い世代がある程度の年齢になった時、難聴と耳鳴りの疾患がある人がかなり多くなるのではないかと心配です。