数ヶ月前、後輩から耳の話を質問されたのです。 奥さんが、数日前から急に片耳の聞こえが悪くなって、耳が詰まった感じがするとのだと言う。 ・・・もしかしたら、突発性難聴の可能性があるのではないかと思って、すぐに耳鼻咽喉科に行くことを強く勧めました。

 

数ヶ月前、後輩から耳の話を質問されたのです。

 

奥さんが、数日前から急に片耳の聞こえが悪くなって、耳が詰まった感じがするとのだと言う。

 

・・・もしかしたら、突発性難聴の可能性があるのではないかと思って、すぐに耳鼻咽喉科に行くことを強く勧めました。

結果としては、やはり ”突発性難聴” と医師に診断されたと言う。

そして、治療を早く受けたので完治して、耳鳴りもない。

奥さんからも丁重にお礼の電話を頂いたのですが。

 

そうなのです、

突発性難聴は、発症後1週間以内に受診が大事なのです。

 

突発性難聴は1週間以内に

発症してから1週間以内、早めの受診すれば完治できる可能性があります。

治療開始が遅れてしまうと症状がそのまま残ってしまう確率が高い疾患です。

そして、後遺症として耳鳴りが残りますと、それを治すための治療を継続しなくてはいけません。一生付き合っていかなくてはいけない病気になってしまうのです。

症状が現れてから2週間を超えると、時間が経つほど治りにくくなると言われています。

気になる症状が現れたら、「とりあえず様子を見てみよう」などと考えずに、すぐに受診しましょう。

 

症状が出たらすぐに耳鼻科を受診し、早期治療が大切です。

突発性難聴は、適切に治療すれば患者の3分の1は完治し、3分の1は難聴や耳鳴りが残るものの症状は軽くなり、あとの3分の1は残念ながら治らずに終わると言われています。

これら改善状況も治療するタイミングが大きく影響しているようです。

 

私も突発性難聴から慢性の耳鳴りなっている患者さんと何人か会いました。

その方々は、結果的に治療行為は遅かったようです。

そして、私も突発性難聴が原因の耳鳴りなのではないかと考えてしまうことが度々あります。

あの時、すぐに耳鼻咽喉科で治療してもらえば治った可能性があるのではないかと繰り返し反省します。

もし突発性難聴の可能性のある方は、即刻治療することが必要であることを強くおすすめします。

突発性難聴の症状

突発性難聴はあるとき突然、左右どちらか一方の耳の聞こえが悪くなる病気です。

めまいや耳鳴り、耳閉感(耳が詰まった感じ)などを伴うこともあります。

 

すべての年代でおこりますが、20~60代が特に多くみられます。

難聴という名称ですが、まったく聞こえなくなる症状は少なく、耳が塞がったように感じたり音が小さく聞こえるといった症状が現れます。

また、症状が起こった日時が明白に分かるほど突然起こるのが特徴です。

 

前の日には問題なかったのに、朝起きてテレビを点けたら音が聞こえにくい。

電話の音が急に聞こえにくくなる。

....... この様に前触れなく突然に起こることがよくあります。
聴こえの悪さはその人によって違って、まったく聞こえなくなる人もいれば、高音だけが聞こえなくなる人もいます。

 

急性感音難聴と突発性難聴

突発性難聴と似たような症状の疾患があります。

メニエール病、聴神経腫瘍、外リンパ瘻(ろう)などが挙げられます。
メニエール病の初発時は突発性難聴と症状がよく似ていて区別がつきにくいですが、めまいや聞こえの症状に変動がみられるなど特徴があります。
外リンパ瘻は発症の誘因となった事象(外傷、鼻かみ、潜水など)の問診が重要です。
聴神経腫瘍はその10~15%が突発性難聴とよく似た症状を示すことから特に鑑別が必要で、MRIや聴性脳幹反応(ABR)などをおこないます。

[ 突発性難聴の症状例 ]

● 突然、一方の耳が聞こえなくなった

● 音が小さく聞こえる

● 耳が詰まった感じがする(耳閉感)

● 音が二重に聞こえる、響く、エコーがかかる

耳鳴りが起こるようになった

● めまいや吐き気が起こった

● 症状が起こった日時がハッキリわかる

突発性難聴の原因

突発性難聴の詳しい原因はまだわかっていませんが、2つの説があるそうです。

1)ウイルス感染説

免疫力が低下しているときに内耳の感覚細胞にウイルスが感染し、細胞に問題が生じる説です。

感覚細胞とは、蝸牛の内部に並んでいる細かい毛がある ”有毛細胞” で。振動を電気信号に変換して聴神経に送っている細胞なので、障害が起こると聴力が低下します。

2)血管障害説

いろいろな原因で内耳への血流が悪くなり、機能低下を起こすとが原因だと考えられています。
ストレスがかかると交感神経が刺激され、毛細血管が収縮して血流が悪くなります。それにより突発性難聴が誘因される考え方です。

 

突発性難聴を発症する人は、年間3~4万人と推計され。20~60歳代の人に起こりやすく、子供の発症はほとんどありません。

男女差はみられず、発症しやすい季節もありません。働き盛りの人があるとき突然、この病気を発症する可能性があるようです。

 

イヤホン使用の影響

 

イヤホンやヘッドホンで大音量の音楽を長時間聞くことは、耳の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
このような習慣で ”ヘッドホン・イヤホン難聴” という状態を引き起こし突発性難聴になる人もいるようです。

世界保健機関(WHO)によれば、スマートフォンの使用などの影響で、世界の若者の約半数が難聴のリスクにさらされているとの警告が出されています。
この難聴は「音響性聴器障害」や「騒音性難聴」とも呼ばれ、大音量での長時間の音楽鑑賞が原因となっています。
問題は、この病気が進行する速度が遅く、気づきにくいことです。

突発性難聴の治療法

突発性難聴の特効薬はありませんが、さまざまな薬を組み合わせて治療します。 

治療は、内服や点滴の副腎皮質ステロイド薬による薬物療法が中心になります。

また、血管拡張薬(プロスタグランジンE1製剤)やビタミンB12製剤、代謝促進薬(ATP製剤)などを使うこともあります。

ストレスの影響が考えられるときは、安静にして過ごします。
十分に回復しない場合や全身投与が難しい場合は、耳の中にステロイドを注入する「ステロイド鼓室内注入療法」が行われることがありますが、その効果に対する評価は定まっていません。