有毛細胞(ゆうもうさいぼう)は、内耳の内部で音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をしています。内耳の中に蝸牛という部分があり、その中に ”毛の生えている” 細胞が揺れるように音を感じ取ります。

治療いただいている耳鼻咽喉科で、予約時間から2時間近く待たされたのですが。

待つのが苦手な私も、ここでの待ち時間だけは ”やむを得ない” と思っています。

何しろ人気の医師。

しっかり患者と寄り添い、確実な検査と納得できるコミュニケーションを施してくれる。

各患者ごとに十分な時間をかけて治療をしてくれるので、待たざるを得ないのです。

待合室のモニターに、先生の講演録画が放映されていて。

待ち時間に、1時間の番組をリピートして見入っていました。

 

その講演の中から、私が興味を持ったのは「有毛細胞」。

その後調べながら「難聴」▷「耳鳴り」には重要なこの話をまとめ直してみました。

 

蝸牛の中にある有毛細胞

耳のことを調べ始めると、内耳の中にある蝸牛(かぎゅう)という名称の器官の存在を知るようになります。
その中にある ”有毛細胞” が損傷すると、感音難聴と言われる難聴になり、それにより耳鳴りの発生が生じることが多くあるわけですから・・・

 

ちょっと難しい内容で、これが理解出来たからって耳鳴りが改善するわけではありませんが。難聴・耳鳴りには関わりのある器官なので再勉強しました。

 

有毛細胞とは

有毛細胞(ゆうもうさいぼう)は、内耳の内部で音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をしています。 

 

青:内有毛細胞 緑:外有毛細胞

内耳の中に蝸牛という部分があり、その中に ”毛の生えている” 細胞が揺れるように音を感じ取ります。

 

有毛細胞には2つの種類があって、外有毛細胞(約12,000個)、内有毛細胞(約3,500個)と呼ばれています。

蝸牛の入口から奥まで、外有毛細胞は3列、内有毛細胞は1列に並んでいて、有毛細胞はその位置する場所によって、分析する音の周波数が違います。

 

ビッシリ並んでいる有毛細胞には、それぞれ受け持ちの音(周波数)があり、自分の担当している音を電気信号に変えて脳に届けています。

蝸牛の入口周辺の有毛細胞が一番高い周波数の20,000Hz位の分析を担当し。奥に向かって低い周波数の分析を担当して、一番奥の渦巻きの中心部分近くは50Hz位の低い周波数の音を担当しています。

内有毛細胞は音を純粋に感じ取る細胞で、音の振動を電気信号に変えて脳に伝える役割をしています。

外有毛細胞は小さな音は大きく増幅し、大きな音の場合は抑制して内有毛細胞の働きを助ける役割を主に担っています。

有毛細胞のダメージ

音は、周波数の高低にかかわらず蝸牛の入口から入ってくるため、入口に近い有毛細胞ほど多くの音に曝される状態。

人生の長い期間に、有毛細胞は次第にダメージを受けてしまうことになります。

入口近くの有毛細胞は、高い周波数の音の分析を担当していて。

その高い周波数を担当する有毛細胞がダメージを受けやすく、それによって年齢を重ねるとともに、高い周波数の音が聞こえにくくなるわけです。

損傷した有毛細胞

"有毛細胞の毛" は、頭髪と同じように加齢に伴って抜けて薄くなっていくと言われています。

聴力が低下するタイミングは人々によって時期が違い、その悪化の度合いも個人差がありますが。

一般的に加齢による聴力低下は、まず高音域から聞こえにくくなることが多いようです。

 

聴力の低下については、本人は理解していないケースが多い場合がありますが。その理由は、本人は実際には高音域の音が聞きにくくなってはいるのですが、「あ、い、う、え、お」といった比較的周波数の低い母音を聞き取る力はそれほど低下していないので、あまり聞こえにくいという実感がないように感じます。

有毛細胞のダメージになる原因

 

有毛細胞を損傷する原因は、まだ完全には明らかになっていませんが。 

一般的には、ストレスや過労、睡眠不足などの生活環境が影響しているものと考えられています。

生活習慣

生活習慣を整えることで、有毛細胞の減少を防ぐことができると言われています。

たばこをやめる、暴飲暴食を避けるなどの行為が効果があるようです。

生活習慣を整えると言うことは、活性酸素を増やさないための行動。活性酸素はウイルスや菌を撃退する役割がありますが、増えすぎると正常な細胞も酸化し老化させます。有毛細胞も老化させてしまいますので、活性酸素を増やさない生活にすることが大切です。

音響外傷

大きな音や騒音で有毛細胞が損傷されます。工事現場や騒音のある工場で大きな音を継続聞いていることはリスクがあります。クラブやパチンコ店内などの密閉された場所で大きな音も要注意です。

ロック歌手の難聴と耳鳴りが多いと言われるのは、常に大音量の中にいるからでしょう。

音響外傷から有毛細胞を守るためには、大きな音がある場所では耳栓などで耳を保護することが大切です。

そして最近の課題としては、イヤフォンによる音響外傷です。耳を密閉して音を聞くと音圧で傷つけてしまいます。

耳にぴったりはまっているイヤホンからの音は、外に逃げることなく内耳に向かうため、損傷のリスクが高いものと考えられています。

有毛細胞は再生の可能性

有毛細胞は一度死んでしまうと再生はしません。 

 

なぜ再生しないかというと、生まれてできた多数の有毛細胞に、その後いくつか繰り返して再生することは、これはこれで耳の伝達が整理ができなくなるようです。

私たちの体は、一旦できた内耳の有毛細胞を再生を止めてしまいます。

この止めてしまうのがノッチシグナルと言う人間の機能です。

有毛細胞は再生の薬

それなら、そのノッチシグナルを抑制すれば、有毛細胞は再生できるのではないかと考え、現在候補になっている薬は ” γ-セクレターゼ阻害薬" です。

現在の実験では、” γ-セクレターゼ阻害薬" をマウスに投与すると聴力が10dB改善するデータがあり、そして有毛細胞が再生することが検証されています。

ただ、この薬が人に処方する見通しはまだ見込まれていません。

iPs細胞

iPs細胞を用いた医療研究を実施しています。京都大学の山中教授らによって作成されたiPS細胞の研究が内耳にも応用され始めています。

現状、試験管の中では有毛細胞を作るとができる状態にはなっています。

でも、複雑な内耳の組織構築をしっかり作るとこまでにはハードルが高い状態で。細胞は作ったけれども、しっかりとした移植するために研究中です。

 

有毛細胞を再生することによる ”難聴 ▷ 耳鳴りの治療” の可能性は、まだ近い期間には難しい状況のようです。

 

 

先生の講演映像をみっちり見て、その後丁寧な治療を受けてきました。

私にとって大変信頼できる医師です。