耳鳴りに苦しむあなたは、どうして耳鳴りが苦痛なのか、考えてみたことがあるでしょうか これを理解することで、疾患が治るわけではありませんが。 耳鳴りは解らないことの不安感から症状が悪化する傾向があるので、”耳鳴り”と”耳鳴り苦痛”のメカニズムを最小限でも認知する必要があると思います。

アメリカの神経生理学者・パヴェル・ジャストロポフ博士の、「耳鳴りの神経学的モデル」の論文を基に、「耳鳴りが、どうして苦痛になるか」をシンプルに理解してみようと思います。

 

耳鳴りに苦しむあなたは、どうして耳鳴りが苦痛なのか、考えてみたことがあるでしょうか。

これを理解することで、疾患が治るわけではありませんが。

耳鳴りは解らないことの不安感から症状が悪化する傾向があるので、”耳鳴り” と ”耳鳴り苦痛” のメカニズムを最小限でも認知する必要があると思います。

 

耳鳴りが苦痛に感じる状況は、「音の伝導回路」「苦痛を感じる脳」の二つが結びつくことでによって発生するといわれています。

 

音の伝導回路は、

音は、耳ではなく脳で聞こえていることはご存知の通りです。

音は、脳のなかの「大脳皮質」という部位に届いて、ここで音として感じるわけです。

音の伝導回路は、外耳から入った音を内耳の蝸牛で信号化して脳に届けるます。

音を大脳皮質に届けているのが、脳のなかの「皮質下」という部分。
この「皮質下」が大きな役割を果たしていているのです。

「皮質下」は、入ってきた音を振り分けして大脳皮質に届けている役割を持っています。

それぞれ入力された音を、大脳皮質に届けるか、あるいは届けないかの取捨選択を図っているのです。

重要と思われる音は大脳皮質に届けて、不要な音は大脳皮質に届けないようにしている高度な振り分け機能です。

 

重要な音について考えてみると。

音は、動物のとしての生命維持、危険性を知らせる大事な情報として「皮質下」は判断しています。

 

カクテルパーティ効果を処理しているのも皮質下の処理です。

カクテルパーティー効果は多くの音の中から、自分が必要としている情報や重要な情報を無意識に選択する働きのことをいいます。


「繁華街の集団で、自分の名前や会社名を話しているのが聞こえた」
「騒音の中の街で、緊急自動車のサイレンが聞こえた」
....... これらは、皮質下がはたらき、「自分の名前や会社名を言う声」「緊急自動サイレン」を重要な音だと判断し、集中的に大脳皮質に届ます。

一方、エアコン、パソコン、冷蔵庫などの音や、喫茶店などで集中して仕事をしているとき、周りの話し声は意識しなければ聞こえません。
....... これは、皮質下が「この音は不要だ」と判断して、大脳皮質に送らない処理しているのです。

 

苦痛を感じる脳とは、

苦痛を感じる脳と呼ばれるのは、「大脳辺縁系」と「自律神経系」です。

 

大脳辺縁系は、脳のなかで人間の原始的な感情を請け負ています。
それは、不安、イライラ、怒りなどの感情です。

大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)は、人間の脳で情動で、食欲、性欲、睡眠欲、意欲、などの本能、 喜怒哀楽、情緒、神秘的な感覚、睡眠や夢などを司っており、そして記憶や自律神経活動に関与しています。  

 

自律神経系は、自分の意志でコントロールすることができない身体の働きを司っています。

自律神経系は、消化などの内臓の働きや、汗の調整、血圧の上げ下げなどを管理しています。
自律神経系は、「交感神経」と「副交感神経」の二つから成り立って。
交感神経は、活動のための神経。副交感神経は、リラックスのための神経です。

 

音の伝導回路と、苦痛を感じる脳

耳鳴りによる音が発生すると、皮質下は「不要な音」と判断しないで、「重要な音」と判断してしまい、大脳皮質へ伝達します。
それは、人間は、”変化が起こること”を基本的に危険な状態だと感じているからです。

「耳鳴り音が聞こえ始めた」という変化は、”かなり重要”なことだと判断されるのです。

 

その耳鳴りの聞こえを、自分が「不快」と感じることによって、「苦痛を感じる脳」である大脳辺縁系と自律神経系が働いて、より耳鳴りが苦痛度が増してきます。

このような状態で、耳鳴り患者はイライラすることで、さらに「苦痛を感じる脳」のはたらきがますます活発になります。

....... これが、耳鳴りを苦痛に感じるメカニズムなのです。

 

耳鳴りを苦痛にならないメカニズムは、

耳鳴りを苦痛にならないメカニズムは、耳鳴りを不快だと思わない(感じない)ことです。

それによって、「苦痛を感じる脳」が働かなくなるからです。

 

・・・「そんなこと言っても、無理だ」と言う気持ちに同感ですが。

これを解決(減少)することによって、苦痛度は軽減することは確かです。