聴覚過敏を改善したくて、情報収集すればするほど解りにくい病気を実感します。 少しでも的確な情報を持って対応していきたくて、診断・検査の方法も理解しようと思います。

聴覚過敏について(2)

 聴覚過敏の診断

 ● 聴覚過敏の検査

 

聴覚過敏を改善したくて、情報収集すればするほど解りにくい病気であることを実感します。

少しでも的確な情報を持って対応していきたくて、聴覚過敏の診断・検査について理解しようと思います。

 

 

聴覚過敏の診断

耳鳴りと同様に、聴覚過敏の診断は難しいものと言われています。

患者から見ると、充分な時間をかけて正確な診断して頂きたいと思います。

 

診断基準

● 自声強調(※1) や耳閉感(※2) との鑑別のため、患者が聴覚過敏なのかを問診で確認

● 広汎性発達障害(※3) や自閉スペクトラム症(※4) の有無、小児期から苦手な音がなかったかを確認

(※1) 自声強調(じせいきょうちょう) : 自分の声や呼吸音が大きく聞こえる、耳や頭に響くことです。 自分の呼吸音で聞きたい音が聞こえにくくなります。

(※2)耳閉感:耳の中に何かが詰まっている感じ、または耳がふさがれた感じ

(※3) 生まれつきの脳の微細な異常が原因と考えられている神経発達障害の一種

(※4) 「臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと」を特徴とする発達障害の一種

● 聴覚過敏を起こし得る病態(下記) を念頭に疾患を診断

[ 聴覚過敏を起こす疾患・病態 ]

⚫︎急性低音障害型感音難聴/蝸牛型メニエール病の活動期 

⚫︎感音難聴一般 

⚫︎慢性耳鳴に合併 

⚫︎補聴器フィッティング例 

⚫︎顔面神経麻痺 

⚫︎広汎性発達障害/自閉スペクトラム症 

⚫︎片頭痛 

⚫︎不安/抑うつ/うつ病などの精神変調 

⚫︎外傷性ストレス障害(PTSD) 

⚫︎頭部外傷 

⚫︎ライム病(マダニ媒介の病原微生物に起因) 

⚫︎ウィリアムズ症候群(遺伝子疾患.早期から聴覚過敏) 

⚫︎多発性硬化症 

⚫︎アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)

これらから、各患者の病原を想定するのは難しいものとは思いますが、多くの患者が病原がわからないまま治療しているのが実情です。

結局は、「これは違う」と背理法で病原を絞っていくしかないのでしょうか?

 

 

聴覚過敏の検査

[ 不快閾値 (ふかいいきち) 検査 ]

どのような周波数でどの程度の音量が、不快に感じるかを測定する検査です。 

音を徐々に大きくして、不快と感じた時の音を不快閾値とします。

不快閾値検査を用いることで、聴覚過敏症の症状の程度を客観的に測定し、評価することができます。

検査は、かなり大きい音を聴くことになります。

 

● 不快閾値検査の手順

  1. 音の提示: 数種の周波数・音量の音をヘッドフォン等で流します。

  2. 刺激の評価 : 対象者は提示された音と音量によって、どの程度の音で不快だと感じるかを評価します。

  3. 刺激の変化 : 不快閾値検査では、音の強度を徐々に変化させながら、対象者が不快だと感じる ”閾値(しきい値)” を測定します。

  4. データの解析 : 測定されたデータを解析し不快閾値を算出。聴覚過敏症の不快閾値は、対象者が不快だと感じる音の強度の平均値や、特定の不快さのレベルによって評価します。

一般評価としては、不快閾値が 60dBHL以下では 高率に聴覚過敏症状を訴えるとの報告があります。

聴覚過敏と考えられる方は、この検査をぜひ試みた方が良いかと思います。

 

 

聴覚過敏質問票(Khalfa Hyperacusis Handicap Questionnaire)]

  ▶︎ 下記の14項目を回答することによって、聴覚過敏度を評価します。

<評価点>

0: 回答「いいえ」

1: 回答「少しある」

2: 回答「かなりある」

3: 回答「非常にある」

<質問項目>(日本版)

  1. 音を軽減するために耳栓をすることがありますか?
  2. 周囲の音を気にしないようにするため困難を感じますか?
  3. 音または騒音の中で読書することを困難に感じますか?
  4. 音のある環境で集中することに困難を感じますか?
  5. 音のある環境で会話を聞き取ることに困難を感じますか?
  6. あなたは周囲の音に神経質だと言われたことがありますか?
  7. 市中の音を特に敏感に感じたり、悩まされますか?
  8. 特定の社交場などで、周囲の音を不快に思いますか?
  9. 人に誘われた場合、周辺音を我慢しなければならないと考えますか?
  10. 音を我慢することを考えて、外出をやめたことがありますか?
  11. 騒音のある部屋より、静かな部屋の方が音が気になりますか?
  12. ストレスや疲労で、音のある環境での集中力が低下しますか?
  13. 一日の遅い時間になるほど、音のある環境での集中力が低下しますか?
  14. 周囲の音によって、ストレスやイライラを感じますか?

※海外のオリジナル版を和訳にしたものと、日本版とは内容の相違がかなりあります

 

▶︎ 自己採点してみてください

 42点満点中、28点以上は強い聴覚過敏とされています。

 

 あなたの評価点は  :

 

 

苦痛度評価検査 ]

聴覚過敏による苦痛度を評価する検査があります

・NRS(Numeric Rating Scale)

・VAS(Visual Analog Scale)

 

参考:「聴覚過敏の診断と治療」(福岡大学病院耳鼻咽喉科 坂田俊文医師著)

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