認知行動療法(CBT)は、ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、自身の力でときほぐし、「自由に考えたり」「行動したり」することをアシストする心理療法。 もともとはアメリカのAaron T Beckという人が、

 

認知行動療法を続けて、考えてみたいと思います。

 

認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)は、ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、自身の力でとき解き、「自由に考えたり」「行動したり」することをアシストする心理療法。
アメリカのAaron T Beckという人が、うつ病に対する精神療法として開発したものですが。現在は、不安症や強迫症など多岐にわたる疾患に、治療効果と再発予防効果があると言われています。
また、精神科の治療としてだけではなく、法律、教育、ビジネス、スポーツなど、多くの領域で認知行動療法から派生した考え方が取り入れられているようです。

そして、私の課題である ”耳鳴りのエビデンスのある治療” としても注目されています。

 

 

認知行動療法を具体的に考えてみたいと思います。

▶︎ ストレスを感じた出来事が起こったと仮定して・・・

 

その出来事が起きた時の、本人の側面として次の4項目を考えます。

● 頭の中に浮かぶ考え(認知

● 感じる気持ち(気分感情

● 体の反応(身体反応

● 振る舞い(行動

 

  4つの側面の状況を想定します。

出来事(例):上司と打ち合わせしていた時、怒られた。

->「信頼されていない」という悲観的な考え(認知

->「不安で参った」気持ち(気分感情

->  イライラして頭痛がしてきた(身体反応

->  部屋に居られなくて、外に出た(行動

 

このように、ストレスフルな出来事によって生じる反応を「ストレス反応」と呼びます。
ストレス反応の4つの側面は互いに影響を及ぼし合っていて、悪循環を生み出すことが多いものです。そのため、自分のストレス反応のパターンに気づき、さらなる悪循環に陥らないように調整していくことを目指す必要があります。

 

 

この4つの要素の中で「認知」と「行動」は、比較的自分の意志でコントロールしやすい要素と言われています。
一方、「気分・感情」や「身体反応」は自分の意志でコントロールすることは難しいと言われています。

「不安で参った気持ち(気分・感情)」・「イライラして頭痛がしてきた(身体反応)」を自身でコントロールするのはかなり難しいものです。

 

「認知」や「行動」も簡単には変えられるわけではないですが......

認知について、「信頼されていないのではなく、教育されているのかも?」。

行動について、「部屋に戻って、気分転換してみよう!」など意識変更は可能です。

 

認知行動療法では、この「認知」や「行動」を考え直すことにより、気分や身体を楽にして行く。それにより、ストレスと上手く付き合うことを目指すものです。
このように、"認知" と "行動" にアプローチする心理療法であるため、“認知行動療法”という名前がついているわけです。

 

認知行動療法のアプローチって、どんなことをするか?

認知 」へのアプローチとしては.......

 ● 出来事に対する考えを見直す

 ● 考えの幅を広げたりすることで気分を楽にする

 ▶︎▶︎▶︎認知再構成」という技法が使われています。

 

 「 行動 」へのアプローチとしては.......

 ● 生活リズムを整える

 ● 喜びや達成感がある活動を増やす

 ● 物事への回避や先延ばしを減らす

 ▶︎▶︎▶︎行動活性化」の技法が使われています。

 

”耳鳴り” の認知行動療法のアプローチ例

耳鳴り患者は、逃れられない耳鳴に不安が強くなり、誤った理解とともにネガティ ブな思考に陥ってしまうことがありますが。

下記の様な誤った認知に対して、正しい知識を説明しながら対応していく認知行動療法的アプローチを行い改善を図って行くことができます。

 

初期思考例 代替思考例
耳鳴があるから、人生はつまらない。 耳鳴があってもつまらない時もあればいい時もある。
よくなることは絶対にない。 よくなるかもしれないし,ならないかもしれない。
耳鳴は絶対に消えないし,止められない。 時々耳鳴がそれほど大きくないときもある。
耳鳴があると幸せになれない。 耳鳴があっても幸せになることを学んだ人もいる。
耳鳴から逃れられないし,自分でできるこ とは何もない。 耳鳴はいつもなっているけど,音が変動した り、外出しているときに気がつかないときも ある。

 

例えば、上記の ”代替思考例” のような感じで意識変更をもたらし、耳鳴りの不安感を軽減して、うまく付き合って行くようにするわけです。

 

慢性の耳鳴りの治療の主流は、「苦痛度を治す」ことが課題なのですから。

この様に、偏った認知をポジティブに修正することにより、苦痛度を減少することが可能です。

合わせて行動面でも同様に、自身が納得した上で、ポジティブな行動行為を求めていくことが治療となっていくのだと思います。

 

概念的には難しい話になり、面倒くさく見えますが、実際にはシンプルな治療法ではないでしょうか?