公演は通算5000回を超えたようですね。私が関わったのは、そのうち1/10強の回数です。
こんだけ回数を重ねると、失敗もアクシデントも沢山あります。
スタッフが、思わず客先を見てしまった事や、ドレスの後ろのファスナーが壊れてしまった話は既に書きましたが、それ意外にも沢山あるんです。

1番多かったのは、やはりお城絡みのアクシデントです。
全てがコンピュータ制御なので、思い通りに動かない時は多かったです。
パソコンが上手く動かない時に、再起動を行う方は多いと思いますが、お城も同じようにします。

「原点復帰」と呼んでいましたが、要はリセットをかけるのです。
王子が住んでいる塔と母屋側をくっつけて、舞台最奥まで戻します。これがお城のファーストポジションなので、一旦ここに戻してから、動かしたい場所まで持っていきます。
王子の住む塔が回転途中で止まるとか(一幕最後に半回転します)お城の後ろにある、役者の出捌けに使う階段が格納されたまま出てこないとか、そんなアクシデントは日常的にありました。

原点復帰の時は、城の上に誰も乗らないこと(裏方も乗れない)を徹底していましたので、一旦舞台を止めなければならない時もありました。半回転したお城が戻らず、二幕の開幕が20分遅れた時もありましたね。
舞台中央に幕が降りていて、その幕前で芝居をしている間に、お城の原点復帰をしていたなんて逸話もあります。
舞台監督部さんは、大掛かりな道具が増えるほど苦労が増えます。シャンデリアの落ちてくるミュージカルもサバンナのライオンが主役のミュージカルも大変そうでしたね。 

他の配給会社ですが、ヘリコプターの出てくるミュージカルなんかも苦労話を聞きました。あの舞台では、二重舞台のレールの上に足を乗せた女優さんが、道具に引かれて足指を骨折しました。

舞台には蓄光のテープを貼って、注意を促しているはずですが、テンションが上がると、俳優さんも忘れてしまうのでしょう。袖に付いている舞台監督の方はかなり責任を感じたとかなんとか。
その時、代役に立った方が、その後も活躍されているのを見ると、ミュージカル界にとっては収穫もあったようですが。

話をネズミー社の方へ戻すと、王子の変身シーンのアクシデントも多かった。あれ、王子の体を持ち上げて回す仕掛けがあるわけですが、通常城の床に埋め込まれている仕掛けが、動かなくなる時が多くてですね、、。
その前に城の外で、二枚目君と戦っている獣王子はダブルボディです。決闘の間に本物の獣王子は、王子の姿に戻り城に横になってスタンバイしてるんですね。横たわる前に、王子の体と装置をハーネスで繋ぐのですが、装置の方がうんともすんとも言わず、結局音と照明に合わせて、役者が立ち上がって誤魔化した時がありました。
正直に言いますが、チケット代のうち幾らかお返しすべきではないかと思いました、、、。さすがにクライマックスであれでは興ざめですよね。

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幾つか逸話があるので、続きます。