劇団在団中、いろんな経験をしていろんな話を聞くことができました。
海外のスタッフとも話が出来ましたし、俳優さんとも会話しました。私には経験できない、別視点からのお話だったり思いだったりして、感銘を受けることも多かったです。

今でも、、、全く違う分野で働く今になっても、深く残っている言葉があります。
劇団の元代表、演出家のあの方の言葉です。

みんな、自分の時計を見なさい。
劇団内には、ウサギもいれば、亀もいる。
1日48時間分の事を吸収できるウサギもいれば、1日6時間分しか進めない亀もいる。
亀がウサギの、ウサギが亀の時計を覗き込んで、これではダメだ、これで良いんだと判断するのはとても愚かで無駄なこと。
自分の時計が、ウサギなのか亀なのかは、自分で分かるはず。
だから、自分の時計を見て、自分の時計に合わせて、自分のペースで、でも確実に進みなさい。

昔、同じ話が会報誌にも載っていました。

私は仕事ができない人のカテゴリーに入れられたことは無い(と思っている)のですが、不器用で会得するまで時間の必要なタイプです。生育環境のせいか、コミュニケーションも下手だと思っています。
今の世界に入った時も、当初オタオタした記憶があります。でもどんな時でも、上記の代表の言葉は胸にあり、亀時計を少しずつ進めようと決めて今日まで来ました。

後輩ができた時も、亀にウサギは求めずにいましたし、ウサギが調子に乗りすぎて転落するのも見ることがありました。

子供にも、同じことを言い聞かせています。
ある程度の人生経験を積まないと理解できない言葉だと思います。子供にはまだまだ難しいでしょう。

でもいつの日か、他人と比べられて、自分が劣っているところを認めざるを得なかったり、足りないものを努力で補わなければならない日がきっと来るはずです。
そんな時、焦らず、怠らず、腐らずに自分の人生を自分のペースで歩んでいけたら良いと、少しずつ話をしています。(子供はふーんと聞き流しておりますが)

元代表は、現役の頃から政界との関係を問題視されたり、独裁者だと何かと批判を受けていました。数年前に加齢を理由に代表の座を降りた時は、年齢と疾患を理由に追放されたのだと噂になっていましたね。
そりゃ面白くない人はたくさんいるはず。
でもカリスマってそんな存在じゃない?


演劇という「食べていけない仕事」を一つの商売の形態として育て上げた手腕は、評価されても良いと思っています。まあ、やり方にもよりますが、、、。
感化された俳優さんや裏方もたくさん知っています。

劇団を辞めて、十ン年以上たった今でも、私の中に残る言葉に、代表のカリスマ性と影響力の強さを感じずにはいられないのです。


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俳優での入団を目指したら、どうなっていただろう?大成するのは無理だなー。