初日の浮かれた雰囲気は、何とも言えません。
嬉しくて堪らないんですが、小劇場や高校演劇、バレエの発表会の様に、一回のみで終わることはありません。
明日も(この劇団の場合ははぼ無期限)公演が続くというプレッシャーはありましたが、やはりお客さんが口々に「面白かった」「楽しかった」「凄かった」と言いながら、劇場から出て行く後ろ姿を見るのは、とても嬉しかったのです。 

役者さんの楽屋にも、初日見舞いが届き、私たちスタッフの控え室には、代表からドンペリが届きました。
F-1の様にシャンパンファイト、、、するととても勿体無いので、舞台監督が開け、みんなで乾杯しました。
で、解散になるかと思いきや、手直しとバリライトの修理に戻る羽目になりました。スタッフの仕事はまだまだ続きます。道具方も、修理や手直しで残っておられました。

初日は夜公演でしたので、劇場を出る頃外は真っ暗。酔っ払ったサラリーマンが多い地下鉄に揺られて帰りました。


舞台鑑賞が趣味の方ならご存知ですが、昼の公演を「マチネーmatinée」夜の公演を「ソワレsoirée」と言います。
公演はソワレに集中していますが、平日水曜辺りと週末、祝日にはマチネがあります。
平日のマチネは、ソワレや日曜日に比べて、チケットが安く設定されている事もあります。

平日昼って、引退された後の老夫婦とか専業主婦が殆どって思うでしょう?でも、意外とそうじゃないんです。
学校や企業の貸切、 平日休みのサービス業の方など、結構平日お休みの方っているんだなーと感じる客層です。そしてこの作品は、ネズミー社の作品であるため、幼稚園位のお子さんがとても多かったです。主役のコスプレなのでしょうか?黄色のドレスを着て観劇している子の多かったこと。
劇団のファンだけでなく、ネズミー社作品ファンの方も多かったようで、その後の客層の拡大に成功する足がかりになった作品でしたね。

一つ思い出に残っていることが。
公演の仕込みが始まる少し前にアトリエに関係者が集まる機会があり、代表がこんなお話をされましてね。
初演のチケット代は、確か後援会に入っておられるとS席一枚1万円でした。初演なのに破格の値段です。
ロイヤリティにイニシャルコストを加味して値段を決めるのですが、大抵後々の値段より高く設定されるのが普通です。
ところが今でもあまり変わらない1万円。
劇団上層部での話し合いは1万円組と1万千円組みで炎上したのだとか。
結局、沢山の人に何回も観てもらえる機会を持ってもらおうと、1万円組の意見が通ったそうです。

「チケット代が安いと、劇団は損をする様に思うけれど、1万円以上の演技を観せれば、友達に紹介してくれたり、再度観に来てくれたりして1万円以上の利益があるんだよ。だから、観に来てくれる人に、このチケット代は1万円より価値があると思わせるような舞台を観せてくれ」
ということでした。

今はいくらなのかな、、、それでもミュージカルのチケット代はまだまだ高いですよね。ブロードウェイやウエストエンドの倍くらい。舞台によっては数万円。バブル後の来日オペラなら10万近い時もありましたよね。
チケット代を下げて、手軽な娯楽にする、、、事が出来れば、舞台はもっと身近になりますね。
みなさん、もっと舞台を観てください。
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