今日は、今年度最後の勤務日でした。
贅沢して(?)早上がりし寄り道までしちゃいました。(うちは、フレックスタイム導入しています)
桜が散り始めましたね。あっという間に暑くなりそうです。


ええと、バリライトに悩まされた話の続きでしたっけ?

この灯体の難点は、重いこと、仕込みや操作が独特なため専門の知識が必要、レンタルで長期借りると高い、、、、の他に、案外脆いというのがありました。
脆いと言っても、すぐバラバラになるとか、そういうんじゃ無いです。精密機器なためか繊細なんですね。壊れやすいので、メンテナンスが欠かせない。 
ちなみに灯体の中にある電球は、電源を入れるとつきっぱなしです。明るさの調整や点灯は、電球の前についているシャッターの開閉で制御します。ある時、このシャッターが壊れ、完全に閉じなかった事がありました。暗転のはずが、バリライトの光が一筋、、、役者さんが大いに困ったのが手に取るように分かりました。


壊れやすいレンタル機材ですので、各種予備も借してくれています。壊れた時の交換用ですね。壊れたら修理済みの物と吊り変えて、で壊れたのを直して、の繰り返しです。

舞台下(地下)にメンテナンス場所を作ってありましてね、バリライト担当の子は常にそこで修理作業に励んでいました。
バリライト担当は2人いて、私と同期の女の子と、2年ほど先輩の男の子。お約束通り(笑)この2人デキちゃいましてね。その後特に発展は無かったのですが、地下でイチャイチャしてると、専らの噂でした。

ちなみに地下には、舞台機構の操作場所があります。幕などの吊り物部門と床にある道具(主にお城)を動かす部門に分かれていて、それぞれ1人ずつ操作担当がいました。コンピュータ操作を担当するのは、舞台監督部です。
地下には色んな機材が置かれていました。スモーク用のガスボンベがあり、その影響からか長時間に渡って地下にいると、酸欠になるという過酷な場所でした。担当の子が幕間に必ず袖に上がってきて、酸素を吸入していた姿を覚えています。
しかも地下なので、操作は音と小さなモニター画面が頼りです。本番担当を外れるまで、一度も舞台を生で観た事がないとボヤいていましたっけ。

で、壊れやすいバリライトですが、本体だけでなく電球も脆かった。
寒い時期になると、電源を入れた途端にパリンと音がして、割れてしまうのです。寒暖差(劇場は寒いが、電源を入れると電球内の空気だけ温まるのでガラスが無駄に膨張する)に弱いようです。

野外ライブでも使う機材だろ?と思いましたが、(寒い時期に野外ライブは無いが)この赤坂の劇場がやたらと冷える劇場だったのも悪影響でした。
仕方がないので当番を決め、早く来た照明担当が、劇場の暖房をつけることになりました。劇場内の空気が温まったところで電源を入れることにしてからは、かなりパリンの音を聞かなくて済むようになりました。

暖房費はかかるわ、電球はよく割れるわで、メンテナンスの面でも、コストの面でも悩ましい灯体でしたね。



余談ですが、上で書いたような、本来あってはならないアクシデントや失敗が本番中に起こった場合、各セクションのチーフは「事故報告書」を提出しなければなりません。当然、この時も事故報告となりました。報告書には改善策を書かないといけないのですが、バリライトという使い慣れない繊細な機材の改善策ってなんなんだろう?どう書こうか?とチーフが悩んでいたのを思い出します。

この事故報告書は、全公演地に回覧されます。
1番面白かったのは(面白いって言うな)東京からひと月後に開演した大阪公演での事故です。
倒れて舞台に置き去りにされた小道具の椅子を、舞台監督部のスタッフが回収に出た際に(本番中ですよ)思わず客席を見てしまってお客さんと目があった、というものでした。
照明や音響など、客席側で働くスタッフからえらく怒られたらしいのです。綺麗なドレスを観ていた観客にしてみたら、突然出てきたスタッフの白い顔が灯りの中に浮かんだのですから、興ざめですよね。でも、観てしまった子の気持ちわかります。きっと沢山の方がいてビックリしたでしょうね。私はバレエ時代に客席をマジマジと観てしまい、緊張が増した事がありましたよ。ただの好奇心か無意識に観てしまったのでしょうけど、まさか事故報告書になるなんてね。

さて、各部門スタッフが目の下に盛大にクマを作って仕込みが進んでいきました。手直しもダメ出しもありますが、そろそろリハーサルが始まルカなーーー。電飾の仕込みとかもあったけどなーーー。
もう色々事件がありました。飽きません、ホント。
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