今年度も、あと数日ですね。
桜が満開。入学式には散ってしまうかな。

さて、このネズミー社ミュージカル初演時に、1番困ったのが、バリライト(vali lite)でした。
アメリカで開発された照明機材で、色(カラーチェンジ可能)、模様(複数あります)、方向(パンもチルトも可能)をコンピュータで制御できます。
こういう灯体をまとめて「ムービング」と呼びますが、それらのハシリとなった機材です。
後々、バリライトを追随する機材がいくつも登場しますが、当時はあまり数がありませんでした。

日本製で同様の効果が表現できる機材はありました。ランニングコストやメンテナンスを考えると、日本製を採用したいのが劇団の本音だったと思います。
バリライトは、買うのではなくバリライト社(当時)からレンタルする機材でした。操作卓もバリライト専用の物があります。劇団の資産にはなり得ない機材なのにコストが割高なので、採用に腰が引けたのは当然だと思います。
日本製機材とバリライトの相見積もりも取ったと聞いています。

が「オリジナル版と同じにする」という契約内容を履行せよというネズミー社の一声で、結局バリライトの採用が決まりました。

もともとはコンサートやイベントの照明で発展した機材ですので、舞台で使用するには難しく、日本人の感性だと「派手」と感じ得る効果を舞台上に出してしまうこともありました。
大道具などの色使いに禍々しさを感じていた私には、若干「品の無い」照明プランにも映りました。今でも、あの城の色は何とかならんのか?と思っています。 
その中でのバリライトの登場でしたので、ミュージカルではなく、ショーに思えて仕方のない時期もありました。

嘘かまことか、、、日本人の瞳の色は、濃い茶色の方が多いですよね?虹彩と呼ばれる部分にメラニン色素が多いと暗い色の瞳になるそうですが、濃い色から淡い色まで識別できるのは、この暗い色の瞳だそうです。
一方、白色人種に多い、ヘーゼルやブルーの瞳は、淡い色の識別が苦手なんだとか。
なので、海外の方の色使いは原色でハッキリしたものが多いのだそうです。繊細さより大胆さが目立ちます。


さて、この派手なバリライトの第一の悩みは、思いこと。灯体にも種類があり、VL3.VL4.VL6の3種類を使用しましたが、軽いVL6でも25キロ程度ありました。重いものだと一台で40キロ近くになります。ハッキリ言って、1人では持ち上げるのも仕込むのも難しいです。バトンにも大きな負荷がかかります。
当時はバリライトの総日本代理店である、バリライトジャパンが協力会社として仕込みに参加され、アメリカのサポートスタッフと共にバトンに吊っていましたが、やはり二人掛かりでの作業でした。
バリライトジャパンは、大学で電子工学を修めた方のみ採用するという少数精鋭の会社で、皆さん日常会話程度以上の英会話もできるエリートさんばかり。同じ照明さん、でも私たちは雑草みたいなものでしたね。

仕込みが終わり、開演後は団員でメンテナンスなど行わなければならないので、バリライト操作担当になった物は、メンテナンス方法を学ばないといけませんでした。 チーフクラスになると、バリライトジャパンまで研修に行っていました。

私は担当になりませんでしたので、相変わらず仕込む機材を仕込む順番にロビーに並べて、ゼラを差し込む作業に没頭する日々でした。
膝をついての作業が多く、何本ものジーンズに穴をあけてしまいました。

バリライト=特別感が満載の機材でした。操作担当になってみたいという希望も少しあったのですが、仕込み開始後は「担当でなくて良かった」と心底思ったものです。


バリライト関係は次回にも続きます。

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↑お前さんのおかげで、大変な思いをしたよ。