この過去のお話 入団前の諸々や番外編も合わせて、はやくも40回目です。
開幕まであと何回かかるかなー。

このネズミー社ミュージカルの仕込みで、手こずった機材、その2は◯茂電機(読み方まんまですわ)のスクローラーです。
スクローラーって呼んでましたが、カラーチェンジャーが正しいのかな?
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↑スクローラー本体です。灯体の先に取り付けて使用します。


今の仕組みは不明ですが、当時は巻物の様に帯状に繋がったゼラを、自動で交換してくれる(出したい色まで巻き取ってくれる)物でした。今と違い、セット出来る色も10枚ちょっとだけでした。

動かす為には、灯体とは別に専用の電源が必要で、更に巻き取りの指示をスクローラーまで送る信号ケーブルも必要です。その信号を各灯体に分岐させ伝えるボックスもバトンに吊らなければなりません。

灯体以外にも、これらの付属品が多く、更にバリライトまで吊りましたので、バトンは大混雑。更に例のケーブルも複数這わせてあるので、全部仕込んだ後のバトンは、大蛇が巻きついているかのようでした。(かなり重かったようで、綱元も大変でした)

で、このスクローラーが、公演直前にモデルチェンジをしました。◯茂電機さんからは、新型の納品になると事前にお知らせ頂いていたので、特に不安はなかったのです。使い勝手もだいたい同じだろうと思ってたんですね。

ところが、吊り込んで操作卓で動かしてみるのですが、色がバラバラになってしまう。赤のゼラになるよう指示を送っても、赤があったり黄色の灯体があったりと、まるで色が揃いません。
一昼夜かけて原因を探りました。ケーブルの差し込みが甘いのか、ゼラの繋げ方が良くないのか、はたまた他に原因があるのか?
結局、◯茂電機のテクニカルさんに見ていただくことになりました。しかも真夜中に。
私達は、女子に深夜勤務させるのも酷だからというご配慮を頂いて帰りましたが、残られたチーフさんは徹夜で調べてくれたそうです。
原因は、新型のスクローラーから採用された、小さなスイッチでした。

操作卓からの命令を、各スクローラーに送る分岐ボックス1台で動かせる機材の数はせいぜい数台です。で信号ケーブルを複数繋いだ時に、そのスクローラーの他にも信号を送るべきなのか、そうではないのかを設定する、小さなスイッチが新しくスクローラー側についたそうなのです。
それをキチンとオンオフ切り替えできていなかった為に、送られた信号が迷走して、色が合わなかったとの報告でした。
あんな小さなスイッチ一つに、一昼夜振り回された答えがあるなんて、、、。精密機器は侮れない物です。バトンを下ろしたりあげたりと、しばらく忙しい時がありました。

でも多分、1番振り回された機材は、バリライトでしょうね。
それまでコンサート照明で時々採用されていましたが、使用料がかなり高価なため、ロングラン公演では採用する作品が出てこなかった機材です。もともとコンサートやショーアップの為に使われていた事もありますし、今回、アメリカの作品だから採用されたのかもしれません。

それまでに私が見たのは、チャゲアスのコンサートで使われた時と、お台場で夏休みに行なっていた「夢工房」とかいうイベント時のみでした。
間近で見ると、かなり大きな機材で、まずその大きさと重さにビックリしたモンです。
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↑これもバリライトの一種。いくつもの灯体バリエーションがありました。コンピュータ制御で、色、灯体の向き、模様が変わる機材です。総じてムービングと呼ばれています。それらの先駆けになった物ですね。一台で30キロくらいあるんです。



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桜満開。同じように写真を撮ってる人が沢山おられました。