春爛漫という言葉がぴったりの一日です。
近所の桜が、ほぼ満開。


このネズミー社のミュージカルで、手こずった照明がいくつかありまして、その1つがお城の中に仕込む灯体です。
お城が浮かび上がるように照らす、今のインテリアブログでいう「間接照明」的な物です。
夜景のライトアップを思い出して貰えたら良いかな。ただ、舞台の横幅いっぱいにお城がありますし、大きな灯体は仕込むことができません。置けたところで、俳優さんの動きの邪魔になっては、元も子もないのです。
そこで登場したのが、ミニパーライト。
それこそオモチャサイズです。高さが15cmくらい。直径は7〜8cm足らずの、ほんとにミニチュア。
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舞台でよく見る灯体は、電球とレンズが別々になっています。灯体の一方の端に電球があり、コードが伸びて電源に繋ぐようになっており、一方に明かりを拡散させるレンズが付いています。 
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↑こんなの(これは小さいサイズだと思います)
レンズの種類によって、輪郭がはっきりとでたり柔らかく出たりします。写真はフレネルレンズってやつですね。



一方パーライトは、電球とレンズが一体化している灯体で、軽くて持ち運びや仕込む際に楽というメリットがあります。電球に種類があり、光の拡散を抑えたければ狭角電球を、広げたければ広角の電球に取り替えて使用します。

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par light↑こんなの。コンサート照明でよく見かけるでしょう?シルバー色のものも多いです。

実際の灯体は、間近で見ると結構大きいんです。
小柄な女性なら、抱えるくらいの大きさです。新生児より大きい。
このパーライトのうーんと小さいやつを輸入し、お城の周りにライトアップ用として仕込みました。灯体も中の電球も輸入。イニシャルコストだけでなく、ランニングコストもそれなり、、、。

お城の階段の角とか、図書室の端っことか、色んなところにありましてね。これをチマチマ仕込んでたんですよ。目と腰が痛くなるって誰かが言ってましたっけ。本番では、時々俳優さんの衣装(というか着ぐるみというか)に当たって、凹んだり破損したりしてました。思わぬ方向に向いてしまい、あらぬ所を照らすとか、、。

お城の上にはパイプを通して、そこに普通の灯体も仕込みました。お城の中で美女と獣王子が本を読んだり、家来たちがお芝居する訳なのですが、これをバトンに吊ってある灯体でフォローするのは難しい。お城の天井部に灯体があります。

で、このお城の中に仕込みまくった灯体が、結構手間でしてね、、、。


この作品は赤坂の劇場で初演されたのですが、開演前に消防署の防火査察が入りました。で、火事の際の避難訓練も消防指導のもと行わなければなりません。
日本の建築基準法と消防法は、世界でもなかなか厳しい部類だと思うのですが、劇場の場合、この2つの法律をクリアしないと上演できないのです。発煙筒的なものは、許可を得ると使用できることもありますが、一旦開演前に審査を受けるのが前提です。

リハーサルや明かり合わせの為に仕込んだミニパーライトは撤去です。パイプに取り付けた灯体も撤収。よく見れば、なんでこんな所に電源があんの?という状態ではありますが、灯体自体は影も形もない状態にして消防査察を受けました。お城のセットは木で出来ていますので、要は可燃物です。この近くに出火の原因になるもの(灯体)を置くのは禁止なわけです。

消防のお墨付きを貰わないと開演には漕ぎ着けられないので、査察の時だけ灯体は全部外しました。で、避難訓練もシレッと行い、その後に再度ミニパーライトなどを仕込み直した訳なのです。
実際、灯体が出火の原因になるほどの高熱を発するのか?と問われれば、答えはNOなのですが、日本人の考え方として、リスクになり得るものは、最初から採用しないというのが有りますので、これにのっとった訳です。

もう一つ、手こずったのかスクローラーと呼ばれる品物でして。これの説明は次回に。
天気も良いので、お出かけしてきます。