専用劇場自体の建設は、一年ほど前から進んでいました。既存の劇場でお仕事をされている方には想像つかないかもしれませんが、色々な意味で“何も無い箱”です。

バトンは数十本ありますが、ただ上から吊ってあるだけ。最初は電源は無く、ボーダーライト(作業用に点灯させる事の多い、一列に並んだ照明)すらありませんでした。

フロントライト(客席の横手にある斜めから照らす照明)の設置される場所は、がらんどうでポッカリ穴が空いているだけ。自分達でパイプを取り付け、そこに灯体を仕込みました。

シーリング(客席の真上にあり、前方から舞台を照らす照明)然り、ただ空間があるだけでした。ピンスポットを引っ張りあげるのに、大変な苦労をしました。あれ重いんですよ。

ピンスポットと言えば、この作品では珍しくフロントピンを置きました。フロントライトを設置する場所にもピンスポットを置いたのです。
通常は、シーリングライトのある辺りにピンスポットが置かれていて、これをセンターピンと呼んでいます。(センターピン×2本とフロントピンが上手と下手に各1本の計4本設置しました。後にセンター3本に変わりました。フロントピンって使い勝手が悪いんですよ。操作にもコツが要るし)

キャットウォークは網目の鉄板が張られているだけで、下が透けて見えました。高所恐怖症の方には登れる場所ではなかったです。

日本の劇場では珍しく、仮設のラダーがありました。斜め上からの灯りが作れるので、人物だけでなく道具にも立体感が出せ、効果が得られます。
ラダーってハシゴのことですが、この場合はハシゴのように縦に長く機材を取り付けられる場所を指します。
赤坂の劇場では、クロスワードパズルの枠のような形に組んだパイプを吊り下げていました。昇降させる事が出来たので、道具や役者の出捌けに合わせて動かします。

この劇場のユニークなのは、センターピンの操作のためにシーリングに登る際に、一旦外に出ないといけないところでした。
劇場裏手(開幕後はこちらが通用口になりました)の扉を出て、外階段•••ファン◯ム小屋の階段みたいに、カンカン音の鳴る金属製の階段•••を登り、再びシーリング用の外扉から内部に入ります。
この扉は上手(舞台向かって左)にあったので、下手で作業をする場合は、舞台後方アッパーホリゾントライト(舞台後方の幕を上から照らす照明)の後ろ辺りを通って下手に向かいます。
上から覗くと、キャットウォークの下に早替え用の小部屋があります。公演中ならば、役者さんが着替えているのが丸見えになるってことです。
(公演中に通ることは一切無いですよ。念のため)

一度、この階段から屋上に上がってお弁当を食べていたら、警察機動隊のような方にお叱りを受けましてね。何時もの事なのに何事か?と思ったら、東京でサミットが開催されていたらしく、私達、テロの狙撃犯ではないかと疑われたようです。裏方って黒ずくめの服装ですからね、怪しかったんだろうな(笑)

舞台用語、分かります?ピンスポットとかホリゾントとか、、、私の拙い説明では分かりにくいと思います。すみません。グーグル先生に聞いてみてください(他力本願 汗)