昨日の、休載のお知らせお知らせにまでコメントいただきまして、ありがとうございます。
痛みも治まってまいりましたので、再開したいと思います。
いつも読んでいただきありがとうございます。


舞台照明って、裏はどういう仕組みか分かりますか?読んでくださっている方の中には、同業者さんもおられるかな。
あれだけ大量に電力を消費するので、もちろん家庭用の器具とは同じではありません。1つの灯体は1キロワット〜くらいの電力を使います。コードも太いです。
光の輪郭がハッキリと出る灯体や、ボンヤリ出る灯体、柄が浮き出たようになる物や、回転する物など種類は様々です。
灯体の前面にカラーフィルター(ゼラとも言います)を挟んで光に色を付けます。ゼラは、使うと徐々に色が抜けていくので、時折新しい物と交換します。

外部からの電気は、ユニットと呼ばれる分電機に一旦入ります。ここから、各灯体に電気が供給されるのですが、途中「調光器」が挟まっており、この調光器で供給する電力量を調整しています。フルで供給すれば明るく、少なく供給すれば暗めに点灯します。

ザックリ言うとこんな感じです。(ツッコミどころありますが、この程度で勘弁して下さい)

常設されている劇場(日比谷のN劇場とか)の場合、灯体を吊り下げている「バトン」と呼ぶ、太さ5センチくらいの鉄製の棒にコンセントの受け口が付いていて、灯体から出ているコードをここに刺します。家庭用コンセントのでっかいバージョンだと考えてください。 

※電化製品についている、コード先のコンセントに挿す、出っ張っている方が「オス」。壁についている穴を「メス」と言います。これは舞台照明でも同じで、灯体側についている方がオス、バトンについている受け口をメスと言います。 出てるのがオス、凹んでるのがメス。動物と同じです。

バトンは、綱元と呼ばれる袖幕奥の操作場で上げたり下げたりできます。綱元を操作する専門の方もいるくらいで、最初は危ないので触らせて貰えません。
作業しやすいように、スタッフの胸くらいの高さまで下げてもらって吊り込み作業をします。

さて、私達が働くことが多かった劇団の仮設劇場は、バトンにコンセントの受け口はついていませんでした。演目が変われば灯体や背景幕など吊り下げるバトンも変えられるので、ただの一本棒が沢山ある状態でした。フレキシブルですね。

じゃあ、どうやって電気をつけるか、、、灯体まで届く、長ーいコードを作り、舞台袖にそのコードを集合させます。そのコードの束をユニットに繋げることにしていました。
で、問題になるのは、長ーいコードが大量に必要なこと(普通の劇場ではそんなに要らない)、既製品を買うとかなり高いこと、バトンから集められたコードがかなり重く嵩張ること、がありました。
1番目と2番目の理由から、私達新人にはこの長ーいコードを大量に作る仕事が与えられました。ホントにもう何百本作ったか、、、。短いものは数十センチ。長い物は20メートルくらいあったかな。
他にもゼラを灯体サイズに合わせて切る作業、スクローラーと呼ばれるカラーチェンジャーのための、巻き物みたいなゼラの帯など、開幕までに「お前ら、メーカーか」と突っ込まれるくらい作りました。

番外編で書いた、‘劇団の裏手にある道路上でやっていたコード作り’ とは、このことを指しています。天気の良い日はコードを、雨の日はゼラ関係をやってました。どれだけの材料を発注したことか、、、。

東京と大阪の同時開幕で、二箇所とも仮設の劇場だったので、保管場所にも苦労してました。

劇団の保管場所、、、どこにあったかみなさんご存知でしょうか?
信州のN県にあります。団員になると、ここへちょくちょく訪れることになります。

ここも、訪れてみていろいろビックリな場所なのでした。
それは次回。