20年前の思い出話。
あのシャンデリアも全国を回って大忙しのようです。

シャンデリアですが、ワイヤーで吊られています。(ちゃんとワイヤーは客席から見えてますね)落ちるスピードは、ロンドンやブロードウェイの方が早いです。実際観てそう思いました。 
日本の方が法規制が厳しい、、というより、劇場の天井高(タッパ)の方が影響しているように思います。
日本の劇場は、総じて横幅(間口)が広く、タッパは低いです。更に奥行きが西洋の劇場よりありません。反対に海外の舞台は、間口は狭いですが、奥行きと高さがあります。 
シャンデリアは、音をキッカケにして落ちてきます。仮面の男の「行けー」っていう台詞の後ですね。
音は世界中、ほぼ同じ早さで演奏されていますが、タッパがない日本の場合、落下スピードをやや遅くしないと、一幕最後の音より早く舞台上に着地してしまいます。舞台の上にいる役者の演技や捌けるタイミングに合わなくなるので、シャンデリアのスピードの方を調整しているようでした。迫力が足りないのはそのせいかなーーー?って思うこともありました。今だから言いますがニヤニヤ


このシャンデリア、一幕最後に落下したのち、爆発しますが(実際は光と音で爆発したように見せてるだけ)あの光の正体は、一回コッキリだけしか使えない電球です。電流が流れた瞬間だけ、メッチャ光ります。目の前で稲妻が光ったようです。ストロボなの?と聞かれたことがありましたが、ストロボとは異なります。
電源は車に積んであるバッテリーありますよね?あのバッテリーです。シャンデリアの中に、ユア◯バッテリー、、、しかも目立たないように真っ黒に塗られたバッテリー、、、が10個くらいあったかな?
電球は使い捨てでした。なので、公演毎に交換します。
シャンデリアは一幕最後で落下し、幕間に再度宙づりになり、二幕は飾ってあるだけになりますので、公演終了後一旦おろして、中のバッテリーと電球を取り外します。バッテリーは充電されます。電球は交換です。

本番ではシャンデリア自体は大道具さんが制作して、舞台監督部が操作を担当していたはずなので、照明部は、電球の供給を担当してました。
バッテリーの取り外しや電球交換は、舞台監督部や道具さんと協力して行います。あのシャンデリアの中に、黒子のスタッフが上半身を突っ込んでモゾモゾやっている姿は、なかなかユーモラスです。

このミュージカルで印象的なのは、ろうそくだねと仰った方がおられました。確かにあのろうそく、ゆらゆら揺れる炎がホンモノのようでした。
あれも電球なので、本物の火ではありませんが、IC回路が入っていてランダムについたり消えたりします。点滅スピードは数種類あり、揺らめいているように見える仕掛けになっていました。
照明の仕込図(どこにどんな照明を取り付けるか示した図面)には、ズバリ「フ◯ントムキャンドル」と書かれています。
このキャンドル、特許を取っているらしく、他の作品でもこの名称で呼ばれます。なので別作品であっても、仕込図には「フ◯ントムキャンドル」と書いてあります。
例のD社(ネズミのあそこ)のミュージカルでも使われています。べっぴんさんと獣が出てくる作品です。どこにあるか、、、お城の一階部分、アーチ状の通り抜けできる空間の上下(かみしも)に一本ずつ灯っています。光り方は、、確かにオペラ座の地下室と同じでしたね。


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使われている器具などは、20年前の物です。今とは異なりますので、昔話と思って読んでくださいね。