あれから30年「フ◯ントム小屋」がどうなったか、、、
グーグ■のストリートビ◯ーでは確認できます。まだあるんだ、、、、🏡


衝撃の入団式の翌日、日比谷のN劇場へ初出勤です。既存の劇場では使用して良い時間が大抵決まっています。道具や機材の搬入時間も開館時間以降でないとできません。

全国公演の時などは、道具を乗せたトラック(トランポと呼びます)が夜通し次の公演地まで走ってくるのですが、朝劇場に横付けされてきても、開館時間にならないと搬入口が開かないため、待ち時間が発生することがよくありました。
また、何時までに引き上げないといけないと決まっている場合もありますので、夜公演の際は、終演→バラシ(要は片付け)→トランポに積み込み→荷送り→自分達が引き払うので大忙しです。役者さんがバラシに協力してくれる場合も多々ありました。

N劇場の時は、他の部署との兼ね合いもあって9時半頃搬入口に集合することになっていて、周辺の通勤ラッシュが終わってから日比谷に到着しました。

地方のホールは別として、都市圏にある劇場は狭い敷地に建っているため、設備が複数の階に跨っていることが多くあります。1階が搬入口で、2階が舞台下や機械室、3階から5階までが舞台と客席、その上に楽屋、リハ室がある、、、という感じです。
このN劇場も例外ではなく、搬入口から舞台まで荷物を上げる際は、エレベーターとセリを使います。

セリってご存知ですか?
舞台中央あたりによくあり、昇降する床面の事をさします。役者の登場シーンでよく使われています。以前、セリが下がっている(床が無いこと)のに気づかず、落下した歌舞伎役者さんがおいでになりました。(怪我をされましたが、生命には差し支え無かったようで何より)

このN劇場は、搬入口辺りまでセリが降りて来ます。で、搬入した機材や道具をセリに乗せ、舞台面まで上げることが出来ました。(道具用のエレベーターもありました)

搬入する照明機材(例のフ◯ントム小屋から出した物もありました)を乗せて、セリに乗りました。ぐいーんとセリが上がって、舞台面までたどり着いた瞬間、あの懐かしいワクワクする劇場の客席が目の前に広がりました。
天井は高く、見上げると作業用の照明(ボーダーライト)の明かりが目に入ってきます。客席は広く、道具作業の喧騒を反射させ、かつ吸い込んでいき深い海のようです。客席の天井には貝殻が埋め込んであるので、そう見えたのかもしれません。黒い服を着た幾人ものスタッフがいます。
バレエ時代に、繰り返し経験した舞台ですが、観客の入っていない劇場の雰囲気は、入ったことのある者のみが知る不思議な空間です。

ミュージカルと言えば、歌って踊ってお芝居して、、というイメージですが、それはアメリカのブロードウェイが中心となっていた頃に出来上がったもの。
約20数年前、ロンドンのウエストエンドにその中心が移った時代がありました。ブロードウェイとの違いは、歌が中核を成すこと。美術が大掛かりで、制作費が高額になりがちであることが挙げられるでしょう。
フランス革命のミュージカル、仮面の男のミュージカル、ヘリコプターが登場するミュージカルなどは、日本にも輸入され日本語で観ることができます。
以後、ブロードウェイが勢いを取り戻した後も、何かと大規模な道具を組む舞台が観られるようになりました。
ああいった大掛かりな道具を、どうやって動かしているか不思議に思うことありませんか?
あれって道具さんが押してる訳では無いんです。(まあ、押してる場合もありますが😁)

二重舞台になっている事が多いです。本来の舞台の上に、もう一枚床となる面を作ります。上の床には、溝がついています。道具の下にはタイヤがあるので、これが溝に入り、二枚の床の隙間をタイヤが走るのです。 
客先から見ると、道具が床の上を滑っているように見えるようになっています。動力となる電源コードもレール周辺に一緒に仕込んであり、これらの操作は、舞台監督部がコンピュータで操作しています。
ツリモノ(背景幕やドレープ、カーテンなど)も同じようにコンピュータ制御になっているものが多くありました。
操作するコンピュータも、床置きの道具類とツリモノ類に分かれていました。

この時は、まだ二重舞台は仕込まれておらず、プロセニアムアーチ(舞台前面にある額縁のような飾り)の黄金の像と共に、シャンデリアの仕込みが行われていました。

※日比谷って書いてあるのは、日比谷駅のことです。N劇場の住所は有楽町ですが、最寄駅は日比谷駅なのです。ややこしくてすみません。

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