そろそろ#(ハッシュタグ)に、劇団の正式な名称を足したらどう?と言われてしまいました。
暫くはこのまま書くつもりです。だって分かる人には分かるもの。

私の20年前の思い出話は続きます。

面接から1週間後、劇団のロゴの入った封筒が届きました。

「面接まで行ったし」という満足感と、「面接まで行ったのに落ちたらやだなー」という不安とが交錯する1週間を過ごし、その日もバイトのため終電で帰ってきました。
ポストの中に、DMに紛れた劇団のロゴ入り封筒を見つけた瞬間、心臓が止まるかと思いました。
すでに結果は決まり、合否が通達されたという事実から逃げられないーーー戦時中、召集令状が届いた方の気持ちってそんな感じかなーーーなんて。

部屋に戻って、暫く封筒を前に動きが止まりました。落ちていた場合、喪失感と失望と焦りにまみれ、1から就職活動をやり直さなければならない、、、覚悟を決めてから、そっとハサを入れて封を切りました。

A4の用紙に書かれた合否通知は、面接へ参加したことへのお礼で始まっていました。


「選考の結果、貴女の採用が決まりましたことをご連絡致します」


用紙の真ん中辺りに、その文字が見えました。
緊張からか、何が買いてあるのか最初理解できず、もう一度、声に出して読んでみました。

すみません。あの時、深夜に奇声をあげたのは私です。同じアパートの皆さま、ご迷惑をお掛け致しました滝汗20年前のことです。お許しください。

何度も何度も読み返して、就職先が決まったこと、実家に逃げ帰らずに済んだことの喜びを噛み締めました。
その夜は、ほとんど眠ることが出来ず、かなりのハイテンションで翌日学校に向かうことになりました。

学校へ着くと、いの一番に事務室へ向かい、就職担当の方を探して採用通知を見せました。
学校からは、初めての合格者だったそうです。
事務室の中にいた先生やら事務員さん、果ては生徒達も集まってきて、口々におめでとうと声をかけていただき、改めて喜びが込み上げてきたのを覚えています。

採用が決まれば、あとは卒業まで一身に勉学に励めば良いのですが、なかなかそうもいかないのが学生の愚かさ(笑)
私は、安心しきってバイトに精を出し始めました。欲が出てきちゃったんですね。
バイト代で舞台のチケットを買うのを楽しみにしていた私ですが、以後も、卒業までにいろんな種類のいろんな舞台を、観れるだけ観ようと心に決めたのです。
劇団に入ってしまえば、ほとんどの時間を劇団のレパートリーに割かれてしまいます。◯宝さんとか音◯座さんとかはなかなか観れなくなる訳です。観るなら今のうちに、と月一回かせいぜい二回だった観劇を週一回に増やしました。チャンスがあれば、オペラだってバレエだってフラメンコだって行きました。
時々、講師陣から「気が抜けてる」とチクリと言われることもありましたが、学校に貢献(?)したお陰かどうかはわかりませんが、学校から追い出されることはありませんでした。(初の合格者だったので、学校のパンフレットなどの「卒業生の進路」の欄に劇団の名前を載せることができるようになったんですね。採用通知は6月ごろ頂いたので、その年の入学案内には早速載ってました)

夏休みはバイトと観劇に精を出し、実に目の超えた生意気な女学生が誕生していました。でも本当にしあわせでした。

仕事を始めるとすぐに「観るは天国。やるは地獄」の言葉を実感する日々が始まります。

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