いわゆる、死に目っていつの事なんだろう。
心臓が停止したときということであれば、家族は誰も立ち会えなかった事になる。
先生が「ご臨終です。」と言われて診断書に記載された時刻が死に目なら、パパと君達3人は死に目に間に合ったことになるね。
パパにとっては16日に自力呼吸をしなくなったときが、お別れだと考えていた。それは、今も同じ思いなんだけど、16日と21日では決定的に違うこともある。
それは体温なんだ。病院について直ぐにママに触れたけど、もう温かくなかった。
あぁ、こんなに早く変わっちゃうんだと思った。
あおは泣いていた。はなとみーはまだ分かっていなかった。
パパはこっそり天井の角を見てた。何かママの魂が上からパパ達の事を見ているんじゃないかと思って。
何かその気配が感じられないかと思って。
それからはバタバタだった。結局、前日に打合せをした葬儀屋さんに葬儀をお願いすることにした。
まず、エンバーミングっていってママの体がずっときれいなままでいられるように薬を入れるかどうか決めなければならなかった。
パパは実はあまりやりたくなかった。だって体の血を抜いて薬を入れるって言うんだ。それは
何か可哀想だったし、血がなくなるってもう絶対に復活しないってことだし。
パパは元々は16日がお別れだったと思っていたし、脳死を積極的に認める考えだった。臓器提供意思表示カードにも脳死と判定された場合に臓器を提供すると明記してある。(これは君達も覚えておいてね)
でも、頭ではそう考えているんだけど、心は違うんだな。
血が抜かれると、復活はどちらにしても無いとしても、ママがママじゃなくなっちゃう気がした。
でも、ばあばはきれいな体でお葬式をしてあげたいって事で結局エンバーミングをする事にした。