皆さんの周りに「いじめ」はありませんか。

 

よく、いじめる側が「ほんの遊びのつもり」と言いますが、それは全く筋が通りません。

そもそもいじめとは、いじめられた側がいじめだと認識した時点で成立します。

 

いじめた側が、いくらそんなつもりはないと主張しても、それは認められないのです(「いじめ防止対策推進法」に明記)。

つまり、本人がどう感じるかということが唯一の指標となってくるわけです。

 

ときどき、いじめを行った側に「本当にいじめたの?」などと聞く大人がいます。

この場合、素直に「はい、やりました」と答える子どもはほとんどいないでしょう。

 

特に発達障害の子どもは、その特性から、「言わない」傾向が強いと言われています。

なぜなら、彼らは他者視点が弱かったり、自分を客観視することが難しかったりするため、やった行為が「いじめ」だと認識しにくいのです。

あるいは、たとえ認識できたとしても、素直に認められないケースもあります。

 

発達障害の子どもには、「うそをつきやすい」という特性もあります。

だからこそ、私たちは子どものことばを鵜吞みにするのではなく、そういう特性があるということを十分に認識しながら、やった側の子どもに対応していかなければなりません。

 

「本当はやったんでしょう」と責めるのではなく、暴力とか暴言とかに至らない「ほんの小さなかかわりでも、嫌だと感じる人がいる」ということを、本人だけでなく、周りの子どもたちにも周知させていく必要があるのです。

その意味では、「いじめ」があったかどうかを当事者や周りの子たちに確認して回る「犯人捜し」のようなことは、決して許されることではありません。

 

では実際に、いじめに対しどのような対応を取ればよいのでしょうか。

最も大事なことは、いじめを訴えている子どもの気持ちを汲み取り、なぜそのようなことを訴えているのか、真摯に話を聴くことです。

 

決して、「本当にいじめはあったの?」などと聞かず(たとえ優しい口調でも、「あったの?」と聞かれれば、ある種の「怯え」を与えることになってしまいます)、時間をかけて本人の言い分を聴くのです。

そうするうちに、子どもといじめた側の子どもの関係性が見えてくることでしょう。

 

あるいは、大人がその関係にうまくかかわっていないことも明確になってきます。

もし、子どもに事情を聴くとすれば、最低でも、子どもと十分な信頼関係が取れている、決して気を遣わせない第三者に任せるとよいでしょう。

 

ところで、子どもは先生の見ていない場でいじめをすることがよくあります。

先日、よくビリーブと連絡を取り合う小学校の特別支援学級の先生が、次のような話をされていました。

 

「〇〇さんは私が見ていないところでよく友だちに手を出している。でも私は知っていますよ。見てないようで、実はこっそり見ています。予想していれば、ちゃんと本質が見えてくるから…」

 

 これは、特別支援学級のような、限られた場面ではよくあることであり、この先生は、そんなとき、大人がどのように振舞えばよいかを明確に示してくれています。

 

 

大人が「自分の前ではやってない」などと言い切るのは、実は子どものことをよく理解しておらず、子どもたちの行動を事前に予測しておらず、また子ども同士の関係性にも目を向けていないことに他なりません。

大体、万が一いじめがなかったとしても、大人のやるべきことは、いじめを訴えた子どもの心を最大限にケアする以外他にないのです。

 

嘘つき呼ばわりしたり、周りに確認を取ろうとしたり、ましてや保護者に「なかった」と報告することでもありません。

いじめられやすい子は、ある種の自主性を失った状態になっている可能性があると考え、とにかく周りの大人が十分にケアしていく必要があるのです。

 

なお、いじめられた子が心身の苦痛を感じている場合は、すぐに学校に訴えることが大切です。

どの学校にも独自の「いじめ対策のマニュアル」がありますから、まずは、学校側と一緒にそれをチェックするところから始めるとよいでしょう。

 

別件です。

 

最近、ビリーブでは、中学生、高校生、大学生の相談が増えています。

内容は、学習面、対人関係、親子関係、将来の不安などさまざまです。

そのため、夏休みは毎週、数件のカウンセリングを行っています。

ビリーブに入会していない方も相談を受けていますので、お気軽にご連絡いただければと思います。

 

8月もよろしくお願いいたします。

 

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