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~南海の風に吹かれて~
(”南海吹かれ”は小説タイトルを略したものです)
那覇マラ系落武者・2017の主な記事構成
http://ameblo.jp/bel2016gium/entry-12171330554.html
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(本文)
「それでは野原さん、昼食前の採決をします。
2回目の採決です」
「はい・・・」
(1日で7回も採決するなんて辛いなぁ・・・
痛くはないけど何かいやだなぁ・・・)
「はい、終わりました。次は昼食後に3回目の
採決を行います」
「はい・・・」
看護師が病室を出てからしばらくすると
父親の太郎がやってきた。
「雅也、水と着替え持ってきたよ」
「ありがとう、父さん」
父親の太郎は引き出しを開けた。
「あれ?雅也?使ったタオルは?」
「ああ、ごめん、昨日はお風呂に入らなかった」
「なんで?」
「だって汗かいてないし」
「でも風呂は毎日入った方がいいって
先生言っていたよ」
「うん・・・」
「今日は入ってよ」
「わかった・・・」
(何か病院のお風呂って嫌なんだよなぁ・・・)
しばらくして父親の太郎が帰った。
そして昼食時間になった。
(やっと来たか。何もすることがないから
唯一食事だけが楽しみなんだよなぁ・・・)
しかし、昼食を見た雅也はまた愕然とした。
(え?これだけ?これだけじゃお腹いっぱいに
ならないよ・・・)
雅也は5分以内て食事を済ませた。
そして食器を片づけた。
そのとき一人の看護師がやってきた。
「野原さんもう昼食終わりですか?」
「はい」
「やっぱり少ないですか?」
「そうですねぇ・・・」
「でも野原さん、あまり早く食べない方がいいですよ。
早く食べるとすぐにお腹がすきます。
ゆっくり食べるとなかなかお腹がすかなくなりますよ」
「そうですか・・・」
「それと明日の午後野原さんの病室に
管理栄養士の先生が来ます」
「管理栄養士?」
「野原さんに食事指導をしてくれる先生です」
「はぁ・・・」
「わからないことがあったら何でも質問してください」
「わかりました」
雅也は病室に戻った。
そのとき担当医がやってきた。
「野原さん、具合はどうですか?」
「はい、大丈夫です」
「食事はどうでしたか?」
「そうですねぇ、少ないですね・・・」
「確かに野原さんにとって1日1600キロカロリーは
少ないかもしれませんね」
「はぁ・・・」
「でも、今の野原さんにはちょうど良いです。
野原さんはとにかく血糖値を下げる必要があります。
食事を減らすことで血糖値を下げることができます。
ある程度血糖値が下がったら運動療法を開始します」
「運動療法?」
「はい、屋外に出て運動します。とはいっても
激しい運動ではありません。基本はストレッチと
ウォーキングです。
これらは有酸素運動といって、糖尿病患者には
いちばん適した運動です。
運動療法と食事療法をすることで
血糖値をスムーズに下げることがでいます」
「・・・」
「数日後から実際に理学療法士の指導の元で
運動療法をやってもらいます。
そのときは、トレパンと運動着、あと運動靴を
用意しておいてください」
「わかりました」
「それと野原さん、病院内では絶対に間食はしないで
下さいね。例え隠れて間食してもすぐにバレますよ。
そのために採決や体重を測っていますから」
「はい・・・」
担当医は病室から出た。
雅也はやることが無かったからテレビを見ていた。
(ああ、暇だなぁ・・・)
しばらくして看護師がやってきた。
「野原さん、4回目の採決ですよ」
「はい・・・」
「野原さんって血管が細いんですね」
「そうですか?」
「ええ、なかなか血管が見つかりません」
看護師は雅也の血管が探すのに数分かかった。
(何やっているんだ?この看護師は?
早くやってくれよ)
結局別の看護師に代わった。
「はい、無事採決完了しました。
5回目の採決は夕食前にやります」
看護師は病室から去った。
(結局3箇所刺されたよ。血管が細い?
どういうこと?)
雅也は再びテレビを見ていた。
すると同じ病室の患者島袋が大声をあげた。
「お~い!誰かいるか!」
看護師が走ってきた。
「どうかしましたか?島袋さん」
「俺帰る。だから点滴外せ」
「ですから島袋さんはしばらく入院しなければ
なりません。だから点滴は外せません」
「何だと!?外せって言っているんだよ!」
「ですから先生の許可なしに勝手に外せません」
「いいから外せよ!俺は帰るんだ!」
島袋はまた点滴を無理やり外そうとした。
「駄目ですよ、島袋さん」
その様子を雅也が見ていた。
(またあの島袋かよ、本当にうるさいなぁ。)
数人の看護師がやってきて島袋はやっと落ち着いた。
しばらして島袋の家族がやってきた。
「お父さん?お見舞いに来たよ」
「おお、来たか」
「島袋は笑顔になった」
「お父さん、ちゃんとご飯食べてる」
「食べているよ」
「ちゃんと先生や看護師さんに言うこと聞いている?」
「もちろんだよ」
「そうね、良かったさぁ。また暴れていないか
心配していたからさぁ」
「暴れるわけないだろう。俺はもう老人だから
暴れる元気はないよ。いつも静かに眠っているよ」
(あの爺さん、よく言うよ。さっきまで暴れて
いたくせに。家族の前では大人しいのか)
雅也は島袋を見つめていた
(老人って本当にわがままだな。
自分で何もできないくせに、文句だけは達者だからなぁ。
あんな老人にはなりたくないなぁ。)
島袋はラジオをつけ出した。
(おいおい!ここでラジオなんか使うなよ)
雅也は島袋に腹立てていた。
(まったく周りのことを考えない老人だなぁ。
まるで子供じゃないか。
人間って老人になるとまた子供になるのかな。
理性が失われるのかな。
もしかして死が近いと感じているのかな?
だからそれが怖くてわがままになってしまうのかな。
僕はまだ若いから死ぬ心配はしなくてもいいけど・・・。)
その後、雅也は夕食を終えたあと
6回目と7回目の採決を終えた。
「野原さん、今日はお疲れ様です。
採決はこれで終了です。
それにしても野原さんって身体は太いのに
血管は細いんですね」
「はぁ・・・」
「野原さんの血管なかなか見つけにくいから
一苦労ですよ。
他の看護師さんも言っていましたよ」
「そうですか・・・」
「それでは野原さん、消灯は9時なので
9時になったらテレビを消してください。
あと明日は管理栄養士の先生が来ます。
食事について指導します」
「わかりました」
やがて9時になり消灯になった。
(ああ、やっぱり眠れないなぁ。
いつも深夜12時に眠るからなぁ。
それに他の患者のいびきもうるさいし。
ここじゃ安心して眠れないよ。
特に島袋がうるさいしなぁ。)
夜11時頃、雅也がトイレに向かっている最中に
別の病室から患者の喚き声が聞こえた。
「ああ~~!帰りたい~!お願いだから帰してぇ~!」
「え?何処の病室なんだ?また老人が喚いている」
ナースステーションから数人の看護師が
病室に走ってきた。
その様子を雅也が見ていた。
(本当に看護師って大変だなぁ。
こんなわがままな老人たちの面倒を
見ないといけないなんて。
よほど強い精神力が無いと続かないなぁ。
僕には絶対無理だけど・・・)
トイレの側では別の老人が
テーブルを叩いていた。
「お~い!お~い!」
(え?あの老人こんな夜遅くに
誰を呼んでいるんだ?)
雅也はその老人と目があった。
「お~い!お~い!」
老人は雅也を呼んだ。
しかし雅也は老人を無視して
トイレに入った。
(老人と関わるのは面倒だ。無視しよう)
雅也がトイレから出た時、
今度は他の病室から老人の叫ぶ声をした。
雅也は唖然とした。
(ここは本当に病院か?それとも動物園か?)
老人たちの叫び声は朝まで続いた。