「らくだ」を演じた後は、いつもちょっと引き摺られてしまいます。
人間を強引に二種類に分けると、「上手に生きられる人」と「上手には生きられない人」に分類されるんじゃないかと思います。それは「マジョリティ」と「マイノリティ」と言い換えてもいいかも知れません。
「らくだ」なんかは、正にマイノリティへの応援歌にして、鎮魂歌。
世の中全ての“生き辛さを感じながら生きる人達”への愛に溢れた、毒気を含んだ乱筆だらけの恋文みたいなもんだと思うのです。
「らくだ」は確かに、ちょっと重いネタではあります。
その重さと言ったら、「わたしと仕事どっちが大事?」と聞いてくる女子ぐらい重いネタではありますけれど…その重さの底に針の振り切れた破壊性と、突き抜けた明るさがあるところがまた魅力的です。
「らくだ」を演じる度に、架空の登場人物である主人公の“らくだ”が、安らかに眠れる事を祈って止まない気持ちになります。
…まぁどうせ、極楽には行けないようなどうしようもない奴なんですが。
でも僕だって(らくだ程の悪さはしてませんが…)、どうせ極楽には行けないどうしようもない人間ですから。
誰からも祝福されず、ろくでなしの兄弟分以外には誰からも愛される事のなかった“らくだ”。
せめて彼が皆様の記憶の片隅に残れば、彼も浮かばれる事でありましょう。