演劇とわたし その18 | 桂米紫のブログ

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米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。

“TEAM火の車”に続き、“仏団観音びらき”も活動停止となるのか!?
ひょっとしたら、僕は「劇団潰し」なんだろうか…そんな不安の中も、演劇生活は細々と続いていました。



●平成23年2月25日~27日
‘関西俳優協議会主催公演’
『骨よ笑え』
《吹田市文化会館 メイシアター中ホール》

関西俳優協議会さんとは、それまでにも若手の役者さんに落語の講義に行かせてもらったり、またその発表会に同行させてもらったり…色々とお世話になっておりまして、そのご縁もあってお声がけ戴いた公演です。

作:有野夏夫
演出:田中弘史
脚本:西園寺章雄
出演:宇仁菅真/梶山文哉/南条好輝/藤島淳一/三島ゆり子/桂米紫/他

「米紫」を襲名させて戴いて初めてのお芝居ですが…ひょっとするとこれまでの中で、一番プレッシャーの大きかった公演かもしれません。

いや、役自体はゲスト出演的な扱いで、出番も台詞もそんなにはなかったんですよ。

ただこのお芝居、元は墓場だった大阪千日前に寄席を作った男の物語でして、お芝居のラストはその寄席で、噺家が落語を語って爆笑を取っている…というシーンで終わるんですね。
で、つまり、それを僕にやれっちゅう訳ですわ。

それもね、落語を丸々一席やらせてもらえるんならまだいいですよ。
でも、そんな時間ありませんからね。
5分ぐらいで、それも落語のサワリだけで、お客様の爆笑を取れっちゅうんですわ。

あの憂鬱さに比べたら、どんな苦しい公演にだって耐えられそうな気がします。



●平成24年2月4日~5日
‘米朝一門若手&仏団観音びらき 合同特別タイ公演’
『バンコク 落語と歌謡ショー 米朝一門若手落語家with仏団観音びらき』
《タイ・バンコク Mシアター内「Blue Box Studio」》

説明するのがめんどくさいんですけど…まず箕面で定期的にやってる『ごにんばやしの会』という落語会があるんですね。
そこでストックしてるお金がそこそこ貯まったんで、その会のメンバーで海外旅行に行こうかということになりまして。
せっかくなら、行く先で落語会も開催したいなと。
それで、旦那の単身赴任に付いてタイに行ってる、“仏団観音びらき”の峰U子さんに相談したんですよ。
じゃあせっかくなら、落語会だけじゃなく空いてる仏団メンバーも呼んで、落語と仏団による歌謡ショーの合同公演をしようという事になり…あ、説明めんどくさいんで、これぐらいでいいですか?

出演:《落語》桂米紫/桂紅雀/桂まん我/桂ひろば 《歌謡ショー》峰U子/藤原新太郎/桂米紫/桂紅雀/桂ひろば

二日目から合流だったまん我くん以外は、噺家チームも全員歌謡ショーのコントパートにちょこっとだけ出演したんですが…僕だけは“仏団観音びらき”の座員でもありますんで、ショーにもガッツリ出演。
そこにタイの埃っぽい空気と、あと日常的にボケまくる紅雀へのツッコミの疲労が加わり、これまでの人生で一番声を嗄らしてしまう事に…。

最後はほんとに、筆談しか出来なくなってしまいました。



●平成24年6月17日
‘キキミミ・プレゼンツ’
『しあわせの黄色いハンカチおとし』
《マンティコア(千日前レジャーシティー味園ビル2階)》

“仏団観音びらき”の常連女優、松岡りかちゃんが初の作・演出を手掛けた、「私小説」ならぬ「私演劇」。
大好きだったおばあちゃんへの思いを、彼女らしい不器用さと誠実さで、哀愁深く歌い上げました。

作・演出:松岡りか
出演:大森都/桂米紫/金明玉/松岡りか

僕は、松岡りかちゃん演じる松岡りかちゃんの、お父さん役。
本番はお父さん本人も観に来られてて…なんだかヘンな気分でしたです。



●平成24年11月16日~25日
『松竹新喜劇 錦秋公演』
《大阪松竹座》

「芸能生活五十周年」を記念して、我らがざこば師匠が、松竹新喜劇のあの名作狂言に挑む!

出演:渋谷天外/桂ざこば/長江健次/高田次郎/小島慶四郎/井上惠美子/千草英子/曽我廼家八十吉/曽我廼家玉太呂/曽我廼家寛太郎/桂団朝/桂宗助/桂わかば/桂米紫/桂小鯛/他

名作「鼓」と、「駕籠や捕物帳」の二本立て。
僕は「駕籠や」の冒頭に出る旅芸人の男衆役と、あと捕り手としての立ち回り要員。

何と言っても見ものは、桂ざこば演じる「鼓」の老漫才師。
相方でもある女房役を演じた、松竹新喜劇の名女優・千草英子さんとの哀愁溢れる名演技は、思い出しただけでも涙が溢れます。

あと、子供の頃毎週テレビで観てた『欽ドン!』の“普通の子”こと長江健次さんとの共演が、結構マジで嬉しかったです。
「あ、普通の子や!」みたいな。