「食べてみてー」
「どう?」
「ちゃんと伊達巻でしょ!」

ガハハハと笑う娘。

 



茶色味がかった色と優しい甘さ
「てんさい糖をひかえめに使って作ってくれたんだろうな~」としみじみ。

 



大掃除もせず、買い物にも行かず
31日の業務を終えるまでが精一杯だった師走。

 



父が買ってきてくれてたお鏡餅には
世間並みのお正月を意識した程度だったけど、
娘が手作りしてくれた伊達巻は
私にリアルなお正月を感じさせてくれました。

 



自分ごとにできるかどうかって
意識だけを向けるのと
心を向けることの違いなのかもしれない。

 



思いがけず起きる痛ましい出来事に
何も手を差し伸べられてない自分に心が苦しくなる。

 



でも、特別なことができなくても
思いを馳せ、祈ることはできる。

 



空っぽになった心、折れた心が
息を吹き返すことを願うことはできる。

 



そして、もうひとつできることがある。

 

 


その思いを”自分の今”にも向けること。
目の前の人に理解を示し感謝を伝えること。

 



どこでどうつながるかわからないけど、
なにげない優しさや思いやりの心は伝播する。

 



たった一滴の雫だとしても
希望の波紋を広げていくことができるから。