薄れゆく記憶、景色:
ドヲエもんは彼の旧い仲間たちと定期的に機関紙を発行している。タイトルは「本懐」
かつての同志らとの記憶や志が薄れていく日々を儚んだドヲエが発起して、友好記念財団「本懐」を設立したのだ。
財団の機関紙は、毎回ドヲエとその仲間が映るモノクロ写真とドヲエのコメントを掲載している。背表紙には協賛する地元企業の広告。
毎回かわる顔ぶれ。
ドヲエの仲間たちには様々の形や色の者がいる。
写真はドヲエに焦点が定り、他はボンヤリしている。
果たして、友好記念財団「本懐」の仲間たちは何者か調べる手掛かりもない。そもそも旧い知り合いというのも本当かどうか。
配られた機関紙を読む、合田商店のせがれジャイアン雄。 「本懐っていいタイトルだよな、」
いつも雰囲気を味わい満足するジャイアン雄。
機関紙の不思議に想いを馳せ、異世界を空想するが詳しいことは調べない。面倒だから。
自分の気持ちいい範囲まで散歩して、その世界の外を見ることは永遠にないムラ。個々人の限界集落。