テニス肘(外側上顆炎)とは? パソコン作業でも起こる意外な原因と対策法
テニス肘(正式には「外側上顆炎」と呼ばれます)は、前腕の伸筋群(手首を反らす筋肉)が肘の外側にある「外側上顆」という骨に付着する部分で炎症を起こし、痛みが生じる疾患です。名前の通り、ラケットスポーツであるテニスの動作によって引き起こされることが多く、特にバックハンドの繰り返し動作が原因となります。
しかし、実はこの症状、テニスなどのスポーツをしていない人にも多く見られるのをご存じでしょうか? 特にデスクワークを日常的に行う方や、長時間マウスを使用して作業をする方は、知らず知らずのうちにテニス肘のリスクを高めているのです。
マウス操作をする際、手のひらが下を向いた状態で前腕を回内(内側にひねる動き)し、その状態で長時間マウスを握り続けたり、クリック動作を繰り返したりすることで、前腕伸筋群が持続的に引き伸ばされます。この状態が続くと、筋肉が骨に引っ張られ、炎症が起きやすくなります。その結果、肘の外側にズーンとした痛みや、物を持ち上げる時の鋭い痛みを感じるようになるのです。
症状を放っておくと、悪化して日常生活にも支障をきたす恐れがありますが、日々のマウス操作を少し見直すだけでも予防につながります。たとえば、写真のような「縦型マウス(エルゴノミクスマウス)」を使用することで、手のひらを自然な角度(やや横向き)に保ったまま作業が可能になります。これにより、前腕の筋肉にかかる負担を大きく減らすことができ、テニス肘の予防に効果的です。
「テニスをしていないのに肘が痛い」という方は、まずマウスの使い方や道具を見直してみるのも良いかもしれません。気になる症状がある場合は、早めに専門家に相談して、悪化する前に対処しましょう。