2024年3月3日(日)

 閏年の今年は1日長いとは言え、2月は瞬く間に過ぎ去り、既に3月である。

 このところ私事でドタバタしていたのだが、その過程で思いもかけず韓国と日本のメンタリティの違いを改めて認識させられることになった。

 むろん韓国だから、日本だからといった安易な一般化は出来るだけ避けるべきなのだが、良くも悪くも感情的な傾向の強い韓国という国(民性)と、出来るだけ個人的な感情は秘しておくのが望ましいという(古い?)日本のメンタリティとは、いきおいどこかで齟齬や雑音を生じさせることになる。

 しかしそうした差異はそれぞれの国の自然環境や周辺地域との対外関係といった長きにわたる歴史的変遷の結果物として虚心坦懐に認め、再び日常の時間に立ち返って淡々と日々の生活を続けていくのみである。

 さらにここ1ヶ月ほどの間、絶えず気にかけずにいられなかった英国がらみのある手続きが先日ようやく(とりあえず一旦)私の手を離れ、自分なりに出来るだけのことはしたつもりでいるため、あとは野となれ山となれという気分で一息ついて、ここ何ヶ月かの間に買いまくったKindle本を再びコツコツ消化し始めているところでもある。

 

  

 

 今日は4年9ヶ月前にこの世を去った愛犬の月命日。

 下の動画からも分かる通り、愛犬は手足が濡れる感触が嫌いだったからか(多くの犬猫に共通するようにシャワーも大嫌いだった)、散歩する時も雪や水たまりの上を歩くことを極力忌避しようとした。

 また、愛犬は下毛がなく上毛のみの「シングル・コート」という種類に含まれるヨークシャー・テリアで、体毛の生え方が二重構造になっていないため寒さに弱く、冬の寒さの厳しい韓国では屋外の気温をチェックしながらさっと短く散歩に連れて行くのが常で、飼い主共々、冬はどうしても家の中に引きこもりがちだった。

 ここ韓国も日本と同様、今年は比較的暖冬ではあるものの、一昨日は最高気温が再び零下に逆戻りしてしまい、もし愛犬が生きていたらお気に入りの座布団の上で終日ぬくぬくと寝転がっていたに違いない。今も亡き愛犬が暖かい室内でのんびり昼寝でもしてくれていることを心から願わずにいられない。RIP.

 

 

 昨年11月に曲目を追加した上、新たにミックスを施してリリースされたザ・ビートルズのベスト盤2種(いわゆる「赤盤・青盤」)については以下の記事で簡単に紹介したが、その後、この新ミックスに対する個人的な感想や印象を書くことが出来ぬまま今日に至っている。 

 

 

 この間(かん)、Amazonで購入したMP3版をPCやスマートフォンに入れ、手持ちの各種CDから同じ曲の別ヴァージョンを可能な限り寄せ集めた上で何度となく聴き比べてはみたのだが、どんなデヴァイスでどのような体調や気分の時に聴くかで印象がガラリと変わってしまい、今回の新ミックスに対する個人的評価が未だに定まらないためである。
 ちなみに今回の「赤盤・青盤」にはDolby Atmos用ミックスというものもあるらしく、私が購入したMP3版とは異なるミックスになっているらしいのだが、私はApple MusicやSpotifyなどのいわゆる「サブスク」に一切加入していない/今後もするつもりはないためこのDolby Atmosミックスも未だに聴けていない(以前から音楽プレイヤーにもサラウンド機能などが備え付けられていたが、もともとそうした人為的?な音の操作や装飾が好きではなく、あえて避けて来た位なので、正直余り興味もない)。
 

 
 聴き比べに際しては、これまで何百回、何千回と繰り返し聴き続けてきた1987年の初発CD(上の写真は後に改めて買い直した「ザ・ビートルズ CDボックス」。インターネットより写真を拝借)と2009年のリマスター盤(ステレオ版及びMono Box版)を基本に、米国キャピトル盤CD(ステレオ及びモノラル)と、映画「イエロー・サブマリン」や「ゲット・バック・セッション」で使用・演奏された曲を新たにミックスした「イエロー・サブマリン〜ソングトラック〜」や「レット・イット・ビー...ネイキッド」、上記「赤盤・青盤」とは異なる基準で新たに選曲・リミックスされた新ベスト盤「1」(邦題「ザ・ビートルズ1」)の2000年版および2015年版、そして「第5のビートル」ジョージ・マーティンが息子のジャイルズと共にシルク・ドゥ・ソレイユのためにプロデュース&リミックスした「LOVE」などを参照したのだが、同じ曲のリマスターや別ミックスを何度となく繰り返し聴いていると、次第にどれがどれだか分からなくなって混乱するばかりで、結局そうした比較作業自体が虚しく思えるようになってしまった。
 

 

 それでもざっくりした個人的印象や嗜好を述べるなら、とりわけ初期の楽曲に関しては、最新のAI技術を用いてオリジナル音源から個々のヴォーカルや演奏を分離した上でリミックスされた今回の2023年版よりも、2015年にリミックスの上再リリースされた「1」(上のPlaylistを参照。同じ内容だが念の為に2つ掲げておいた)の方がヴォーカルにも楽器の演奏にも聴いていてワクワクするような迫力や躍動感があり、初発の1987年版CDより音質や音圧も遙かに向上していて最良の音源なのではないかと感じている(その後改めて聴き直してみたら、この「1」にも中期の「Help!」や「Rubber Soul」などのミックスにはかなりひどいものがあり、この1枚で十分という訳にはいかないことに気づいた)。

 

(そうこうするうち、以下の動画は非公開になってしまった)

 

 そんな中、2009年にリマスター版CDが発売された際に付録として収録された「The Mini Documentaries」という動画をたまたまYouTubeで視聴する機会があった(上と下のPlaylistを参照のこと。冒頭の写真はこれらをまとめて収録して発売されている非公式版DVDのカヴァー写真)。

 これはザ・ビートルズのオリジナル・アルバム13枚それぞれについて各メンバーやプロデューサーのジョージ・マーティンが制作のきっかけや録音過程のエピソードなどを語る映像や音源に、収録曲のハイライトを加えた一種のプロモーション動画なのだが、2009年当時もそのうちの幾つかを見た記憶がぼんやりあるものの、これと言った印象は残っていなかったのである。

 しかし上記「赤盤・青盤」の新ミックスなどをさんざん聴いた上でこのドキュメンタリーを見直してみると、ハイライト部分の音質や演奏が実にヴィヴィッドで迫力に満ちていて、2009年時点でも既にこれだけ完成された音源が存在していたことに改めて気づいたのである。

 

 

 不思議なのは、このプロモーション動画に収録されているハイライト音源の方が、当の2009年リマスター版CDそのものより音質や音圧が勝っていると私には思われることで、もし2009年リマスター盤がこのハイライト演奏と同じクオリティで発売されていたならば、後の「ザ・ビートルズ1」(2015年版)も今回の「赤盤・青盤」も(あくまで個人的には)特に必要ではなかったと言っても決して過言ではない。

 

 ただし以前も書いたように、ザ・ビートルズ関連の音源が様々な形で公式発表されること自体に今の私は異議を唱えるつもりはなく、わずか213曲(今では先に発表された「Now and Then」なども含めて216曲とする見方もある)しかない公式録音曲を色々なヴァージョンで楽しめることを歓迎したいと思っている。

 最近はすっかりクラシック音楽モードに入っていて、もっぱらベートーヴェンやブラームス、バッハなど(いわゆる3B)の曲を聴いているのだが(もちろんモーツァルトやシューベルトなども欠かせない)、遠からずまたザ・ビートルズ・モードが訪れて(4B?)、彼らの音楽に改めて没入することになるだろう。その時には「ザ・ビートルズ商法」による新たな記念盤や「新作」(?)が出ているかも知れず(次は「Rubber Soul」の新ミックスだろうか)、今から楽しみにしているところでもある。