2023年6月17日(土)
 ここ数日、私事でドタバタしていてブログを書くことが出来なかったのだが、既に日本のテレビやインターネットでも報じられているように、6月13日(火)に英国BBCのラジオ4で放送された「Today」という番組におけるインタビューで(★)、ポール・マッカートニーがザ・ビートルズ最後の「新曲」が年内に発表されることを明らかにしたそうである。

 ★放送後25日間は以下のアドレスで聴取可能。

 https://www.bbc.co.uk/sounds/play/p0ftvczc←削除されてしまい、視聴不可

 また、関連記事は以下の通り。

☆BBC「Sir Paul McCartney says artificial intelligence has enabled a 'final' Beatles song」

 https://www.bbc.com/news/entertainment-arts-65881813

☆英紙ガーディアン「AI used to create new and final Beatles song, says Paul McCartney」

 https://www.theguardian.com/music/2023/jun/13/ai-used-to-create-new-and-final-beatles-song-says-paul-mccartney

 

 

 この最後の「新曲」を完成することが出来たのは、昨年公開されたピーター・ジャクソン監督によるドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ: Get Back」(上の画像)の製作に際して開発された最新AI技術により、ジョン・レノンの残したデモ音源から歌声のみを抽出することに成功したためだそうである。

 「Today」では曲名についての具体的な言及はなかったものの、1994年から95年にわたって企画されたザ・ビートルズの「アンソロジー・プロジェクト」の際、グループ解散後初の「新曲」として発表された「Free as a Bird」(★2)と「Real Love」(★3)と共に候補に上がったものの、メンバーのひとりジョージ・ハリスンがダメ出しをして採用却下となった「Now and Then」ではないかと推測されている。

 ★2 https://www.youtube.com/watch?v=ODIvONHPqpk

 ★3 https://www.youtube.com/watch?v=Y2iDmuoIRl0

   あるいはリミックス版

   https://www.youtube.com/watch?v=ax7krBKzmVI

 

 ジョン・レノンがピアノを弾きながら歌っている「Now and Then」のデモ音源や、上記「アンソロジー・プロジェクト」でこの曲が完成していたらこんな感じだったのではないかとマニアが製作したヴァージョンがYouTubeなどに数多くアップされているので、どのような曲なのかは簡単に知ることが出来る(以下にそのうちの幾つかのアドレスを貼付しておく←いずれも削除されてしまい、視聴不可)。

 

☆NOW AND THEN | PIANO DEMO | JOHN LENNON

 https://www.youtube.com/watch?v=MIZrdXm9UTQ

☆上記のBBC4「Today」の当該部分を含む紹介動画「McCartney Confirms The Final Beatles Song Is Coming This Year!」

 https://www.youtube.com/watch?v=uFDe7e_g1g0

☆この曲が「アンソロジー」プロジェクトでは却下されたというポール・マッカートニーの発言を含む動画「The Beatles - Now And Then (Iamaphoney Version) [AI]」

 https://www.youtube.com/watch?v=Z3r7UB9WGEI

★2023年11月11日現在、韓国で視聴可能なものは以下。

 

 上記の「Free as a Bird」と「Real Love」が発表された時には、ジョージ・ハリスンの盟友でもあった元ELO(Electric Light Orchestra)のジェフ・リンの「色」がかなり濃厚なものの、ザ・ビートルズらしさも十分感じられる曲調にかなり感激したのを覚えている(特に「Free as a Bird」)。

 

 しかし最後の「新曲」となるのが本当に上記の「Now and Then」だとすると、少なくともジョン・レノンが残したデモ音源を聴く限り、いみじくもこの曲を即座に却下したというジョージ・ハリスンの決定を支持しないではいられないというのが正直なところで、余程優れた編曲作業や追加録音などによって原曲が劇的にブラッシュアップされないと、ザ・ビートルズという偉大なグループの「最後の公式曲」の名にふさわしい曲になりうるとはとても思えないのである。

 

 

 実は「アンソロジー・プロジェクト」の際にはもう1曲候補に上がっていた曲があり、ジョン・レノンの没後に発表されたアルバム「Milk and Honey」などに収録されている「Grow Old with Me」がその曲なのだが、上記の「Now and Then」よりはマシな作品だと思うものの、ジョン・レノンのシングル曲としてならまだしも、ザ・ビートルズというグループの曲としてはやはりふさわしいとは思えない。

☆「Gimme Some Truth: The Ultimate Mixes」版

 https://www.youtube.com/watch?v=8G2bcQh2NL4

☆「Milk and Honey」版 (2010リマスター)

 https://www.youtube.com/watch?v=BzsoxBjjU0g

☆Ringo Starr版

 https://www.youtube.com/watch?v=5wzIz0beyro

 

 それでも私はむろん、年内に発表されるという最後の「新曲」を(それなりに)心待ちにしながら、同時に発表されるのではないかと関係者の間で囁かれているらしい「アンソロジー・プロジェクト」の第2弾にも(やはりそれなりに)期待しているところである(←これは単なる噂でしかなかったようである。その後、今年は上の「最後の新曲」に加え、いわゆる赤盤・青盤のリミックス・ヴァージョンが出るという噂もあり、昨年の「Revolver」に続く「Rubber Soul」のリミックスは予定されていないらしい。残念)。