2021年12月20日(月)
映画鑑賞の備忘メモ第3弾は「オーメン」5部作。
・「オーメン(1976年) 原題:The Omen」(リチャード・ドナー監督) 4.0点(IMDb 7.5) 日本版DVDで再見(上と下の写真)
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=mgjVPPVtnII
私が最初期(幼い時期)に映画館に見に行ったホラー映画であるため思い入れが強く(そのため、滞英中もロンドン市内散策の際によく通ったGrosvenor Squareの旧アメリカ大使館を始め、ブレナン神父が死ぬ教会周辺なども訪ねた)、これまで見たホラー映画の中でも間違いなく最上位に入る傑作である。
以来何度となく見返して来たにもかかわらず、今回改めて見てみると細かい場面で初めて気づいた点も少なくなく、見る度に新たな魅力を見出せる作品でもある(まさにそれこそが名作の名作たる所以なのだが)。
今回は下記のリメイク版(2006年)を見た後で改めてこの第1作を見返したのだが、演出面にしても映像や音楽にしてもリメイク版とは格違いで、ホラー映画であるにもかかわらず風格ある落ち着いた内容に仕上がっており、逆に言えば、これほど優れたオリジナル作品がありながら、どうやればあそこまでひどいリメイク作品が作れるのか疑問を覚えるしかない(もっともこちらは俳優陣やスタッフのメンツからして、リメイク版とは到底比べ物にならない豪華さなのだが)。
俳優の中ではミセス・ベイロック役のビリー・ホワイトローが主役のダミアン以上に恐ろしく強烈な印象を残す(彼女が後にエドガー・ライトの「ホット・ファズ」(2007年)にも出ていたことに今回初めて気づいた)。
・「オーメン2/ダミアン(1978年) 原題:Damien:Omen II」(ドン・テイラー監督) 3.0点(IMDb 6.3) 英国版DVDで視聴(下の写真)
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=57SQ9bDhxDY
どうせオリジナルより遥かに出来の悪い続編(のひとつ)だろうと思って、その存在自体は知りながら何十年間も見ないで来たのだが、実際に見てみても第1作以上の要素が何ひとつなく、ただ「前兆(Omen)」通り人が次々と死んでいくだけで、破綻(サスペンス)のない少しも怖くない凡作となっている。
それでいて映像や音楽、演出や俳優たちの演技には(後のリメイク作品などに比べると)相応の品格が保たれてはおり、決して駄作とまでは言えないのでもある(もっともそうした「品格」が、ホラー映画にとって果たして美点なのかどうか分からないのだが)。ウィリアム・ホールデンやリー・グラントといった名優たちが脇を固めているのも、今作が軽薄に堕していない大きな要因だろう。
ちなみに今作を監督したドン・テイラーは、ジュールス・ダッシンの「裸の町」(1948年)やビリー・ワイルダーの「第十七捕虜収容所」(1953)などの名作に出演している俳優であると共に、「ファイナル・カウントダウン」(1980年)や「ドクター・モローの島」(1977年)などを監督してもいて、その出来はともかく、子供の頃に2番館、3番館でこれらB級(?)作品に親しんだ私にとっては実に懐かしい名前である。
・「オーメン/最後の闘争(1978年) 原題:Omen III: The Final Conflict」 (グレアム・ベイカー監督) 2.0点(IMDb 5.6) 英国版DVDで視聴(上の写真)
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=WoiZD_KxLvk
今作で「オーメン」シリーズが一旦完結する重要な位置づけにあるのだが、いっそ見ない方が良かったと思うしかない残念な出来である。
世界征服まで目論んでいる割には、主人公ダミアンは所詮(亡き父親と同じく)若き駐英アメリカ大使に過ぎず(むろんいずれ米国大統領にまで昇りつめる目論見だったのだろうが)、しかも大して活躍もしないままあっさり最期を迎えてしまうに至っては、前2作におけるほとんど無敵とも言えた「悪魔の子」ダミアンのイメージからは想像できない弱々しさなのである(彗星の衝突やらキリストの再来やらによって、本来の力が弱められてしまったということなのだろうが)。
結末はキリストの勝利という、1作目から言及されてきた「ヨハネの黙示録」通りの展開で、もはやホラー映画というより護教的な宗教映画と堕してしまっており、カタルシスも怖さも中途半端に終わってしまっている。
主演のサム・ニールはこの後(今年、新作「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が高い評価を受けている)ジェーン・カンピオンの「ピアノ・レッスン」(1993年)や「ジュラシック・パーク」シリーズに出るなどして俳優として大成していったように、演技自体は決して悪くないのだが、前2作の名優たちと比べると「小粒」であるのは如何ともしがたく、周囲を固める助演陣も精彩を欠いているのが惜しまれる。
・「オーメン4(1991年) 原題:Omen IV: The Awakening」(ジョージ・モンテシ/ドミニク・オセニン・ジラール監督) 1.5点(IMDb 3.9) 英国版DVDで視聴(上と下の写真)
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=QgFR3GWl5OI
元々テレビ映画として作られたため他のシリーズ作品に比べてスケールが小さいのは致し方なく、最後の「謎解き」にしても少しも悪くないのだが、とにかく全体的にチープな上に説得力のないエピソードが多すぎ、何よりも「悪魔の子」ディーリア(上の写真)が全く怖くない(むしろ可愛らしい)のが致命的である。
・「オーメン(2006年) 原題:The Omen」(ジョン・ムーア監督) 2.0点(IMDb 5.5) 英国版DVDで視聴(上と下の写真)
予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Eo38zL1kLko
第1作(1976年)のリメイクで、いくら映像技術が進歩しても、演出や演技の質がそれに全く追いついていない(むしろ退歩している)悪しき典型例で、CGを使用している場面ほど薄っぺらで映像的リアリティを毀損してしまっているだけである。後半やや盛り返しはするものの所詮オリジナルには遠く及ばず、音楽にしても第1作のジェリー・ゴールドスミスのおどろおどろしく不気味な音楽(★)に比べるまでもなく、余りにショボ過ぎて悲しくなる程である。
★ メインテーマ「Ave Satani」 https://www.youtube.com/watch?v=b5vyuaDjJXc
サウンドトラック全曲 https://www.youtube.com/watch?v=j6Nclijlr7c









