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 2019年7月2日(火)
 今年も早くも半分が過ぎてしまった。
 ちょうど1ヶ月前の愛犬の死をはじめ、私自身も年始に手の手術を受けたりするなど、決して良い一年の前半とは言えなかったのだが、これからの後半は少しでも良い方向に向かってくれることを祈るのみである。

 先日、日本大使館にちょっとした用事があって久々にソウルの中心部に出てみたのだが、これまで私のことを家で待ってくれていた愛犬も今はもうおらず(涙)、時間的に余裕もあったため、少しあたりを散策してみることにした。
 30数年前に初めて韓国を訪れた時に滞在した鍾路(チョンノ=종로)周辺は、依然として私にとってソウルそのものの「あるべき姿」として「刷り込み」されており、今でもこのあたりを歩いていると気持ちが落ち着く。
 それでも最近はごちゃごちゃして薄汚れていただけの狭い路地に、小洒落た店や宿泊施設(特にゲストハウス)が次々と出来、今時の若者たちには人気があるのかも知れないが、私のような「古臭い」人間にとってはただただ居心地が悪いだけである。
 今回も、上に写真を掲げたような昔ながらの雰囲気が漂う路地を徘徊してしばし「郷愁」にひたっていたのだが、突然「益善洞」(イクソンドン=익선동)なる小洒落た場所に迷いこんでしまい(どんな場所なのかは、以下のサイトをご参照ください→https://www.konest.com/contents/spot_mise_detail.html?id=10505)、女性やカップルを中心とする若い観光客に取り囲まれてひどく戸惑い、あわててその場から逃げ去るように、最後の写真に見られるような将棋や囲碁に興ずる老人たちの屯する場所に「避難」して何とか一息つくことが出来た(かつては「パゴダ公園」と称していた、1919年の3.1独立運動を記念する「タプコル公園(탑골공원)」の奥である)。

 そうこうしているうちに正午を過ぎ、朝から何も食べていなかったので、やはり久々にどこかの食堂で軽くなにか食べようと思ったのだが、現金でしか手数料を受け付けてくれない日本大使館で手持ちの現金をほとんど使いきってしまい、しかも私が歩き回っていた昔ながらの街ではカード決済が可能かどうか多少不安だったため(カードによる支払いが一般的な韓国だから大丈夫だとは思いはしたのだが)、やむなく最初に目についたコンビニエンス・ストアに飛び込んで、手元に残った現金でかろうじて買えるホット・サンドイッチで空腹を満たす(ところまではいかないので誤魔化す)ことにした。
 コンビニエンス・ストアの中には、店で買った食べ物を食べられるカウンター席がいくつか用意されていたのだが、店内の電子レンジでサンドイッチを温めてカウンター席に行ってみるとあいにく満席で、やむなく私は熱くなった(そして蒸気でフニャフニャになった)サンドイッチの袋を手にしたまま外に出ていくしかなかった。
 おまけに周囲には腰掛けられるような場所が皆無で、私はしばらくあたりをさまよった末に人気のない裏通りに入って行き、すっかり冷めてしまったホット・サンドイッチを、人目を気にしつつ歩きながらそそくさと食べるしかなかった。しかも辛くなさそうなものを選んだつもりなのだが、いつもそうであるように(食べ物に関しては韓国人の「辛くない」という言葉を決して信じてはならないし、また元々辛いはずのないような食べ物でも、韓国では味付けが基本的に辛くなっていると思っておいた方がいい)食べてみると想像以上に辛く、結局別のコンビニエンス・ストアに入って、今度はカード決済で飲み物を買わざるをえなかった。嗚呼……。

 上に掲げたのは、上記の通り鍾路(チョンノ。その中でも3街周辺)の古い街並みを写した写真なのだが、3枚目で頭の上にお盆を載せて歩いているのは、近所にお昼を「出前」しに向かおうとしている食堂の女性である。こうした光景に接する頻度は以前に比べれば激減したものの、今でも伝統的な市場などでは比較的よく見られるもので、韓国語には何とこの「頭の上に物を載せて運ぶ」ことを意味する「イダ(이다)」なる動詞が存在しているほどである。
 

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 この間に読んだ本は、

・村上春樹「レキシントンの幽霊」(文春文庫)
 1996年刊行の短編集。この中では「七番目の男」や、映画にもなった「トニー滝谷」、「めくらやなぎと眠る女」が、短編小説として間然とすることのないまとまりを持っていると言えるだろう。結末に教訓めいた言葉やまとめのような文章が付け加えられている作品が目立つが、これはいつからか村上春樹が口にしはじめた「コミットメント」をそのまま体現しているようではあるものの、文学的には蛇足としか思えない。

 この間に見た映画は(今回も感想は省く)、

・「仁義(1970年)原題:Le Cercle Rouge」(ジャン・ピエール・メルヴィル監督) 3.0点(IMDb 8.1) テレビ録画したものを視聴
・「ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年)」(リューベン・オストルンド監督) 3.5点(IMDb 7.2) Amazon Prime Videoで視聴
 カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作。この中に横溢している不気味さや居心地の悪さは決して悪くはないものの、最高賞を受賞するほどのものかという疑問があり、やはりカンヌ映画祭など国際映画祭での評価は余り信用できない。
・「インセプション(2010年)」(クリストファー・ノーラン監督) 3.5点(IMDb 8.8) 日本版DVDで視聴
・「ナイロビの蜂(2005年)原題:The Constant Gardener」(フェルナンド・メイレレス監督) 3.5点(IMDb 7.4) 英国版DVDで視聴。原作はジョン・ル・カレ(未読)。
・「パーマネント野ばら(2010年)」(吉田大八監督) 2.5点(IMDb 7.0) インターネットで視聴
・「プレイス・イン・ザ・ハート(1984年)」(ロバート・ベントン監督) 4.0点(IMDb 7.4) テレビ放送を録画したものを視聴。点数はやや甘め。
・「ブリッジ・オブ・スパイ(2015年)」(スティーヴン・スピルバーグ監督) 3.5点(IMDb 7.6) Amazon Prime Videoで視聴

 また、かつてNHKの「土曜ドラマ」枠で放送された松本清張シリーズをまとめて視聴した(いずれもインターネットで。その後「愛の断層」や「遠い接近」、「一年半待て」と共にすべてDVD化され、見るのが容易になった)。各回、以下にそれぞれ名前を記した日本の(当時の)若き作曲家たちによる音楽もなかなか良い。「あの」和田勉による個性的な演出や、名だたる脚本家たちによる脚色も見ものである。

・「最後の自画像」(原作は「駅路」) 3.0点
 脚本/向田邦子、演出/和田勉、音楽/加古隆
・「事故」 2.5点
 脚本/田中陽造、音楽/眞鍋理一郎
・「たずね人」 2.5点
 脚本/早坂暁、音楽/加古隆
・「虚飾の花園」(原作は「獄衣のない女囚」) 2.5点
 脚本/高橋玄洋、音楽/林光
・「火の記憶」 3.5点
 脚本/大野靖子、演出/和田勉、音楽/林光
・「依頼人」 2.5点
 脚本/山内久、音楽/加古隆
・「棲息分布」 2.5点
 脚本/石堂淑朗、演出/和田勉、音楽/加古隆
・「天城越え」 3.5点
 脚本/大野靖子、演出/和田勉、音楽/林光

 ついでに「土曜ドラマ」ではないが、松本清張原作のドラマを2本。
・「火曜サスペンス劇場 松本清張スペシャル 黒の回廊」 3.0点
 脚本/菊島隆三
・「東芝日曜劇場 白い闇」 2.5点
 脚本/隆巴(あえて書くまでもないかも知れないが、これは女優・脚本家であり、仲代達矢夫人でもあった故・宮崎恭子の筆名である)