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 2018年9月2日(日)
 という訳で、今年もあっという間の9月である。
 今夏の猛烈な暑さも、台風19号が日本列島に続き朝鮮半島を通過してから一気におさまり、このところは最高気温もせいぜい30度程度の過ごしやすい日が続いている。どうやら事実上、夏は終わったようである。

 そこで例年と同じく今夏も楽しませてもらった横溝正史作品や映画について触れようかとも思ったのだが、なかなかまとまらないので、今回は最近繰り返し見ている動画について簡単に触れておきたい。
 いずれも2分にも満たない短いもので、以下で簡単に視聴できる。
① https://www.youtube.com/watch?v=hSgBCi-1yQE
② https://www.youtube.com/watch?v=iCuz2D7br78
 

 ご覧いただければすぐに分かるが、①は私の生まれる半年ほど前に放送の始まった「ウルトラマン」の、そして②は私がまだ歩けもせずにブーブー豚のようにうなっていた頃に放送されていた「ウルトラセブン」のオープニングである。
 世代的に私はこれら初期ウルトラ・シリーズ(上記2作品以外に「ウルトラQ」もあるが)にとっては「遅れて来た世代」であり、仮に5歳頃からテレビをまともに見始めていたとすると、かろうじて「帰ってきたウルトラマン」の最後のあたりでようやく追いついたことになるが、実際は「ウルトラマンA(エース)」や「ウルトラマンタロウ」、「ウルトラマンレオ」あたりで初めてこのシリーズに接しのだろう。


 これらの作品についての記憶はむろんあるにはあるのだが、しかし小学生の頃の私は5歳年上の兄や、小学校2年から通い始めた学習塾の「先輩」たちの影響で、「傷だらけの天使」だの「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」、アメリカの「奥さまは魔女」などのドラマにかじりついていた口なので、正直、ウルトラ・シリーズのことも、仮面ライダー・シリーズのことも、余りはっきりとは覚えていないのである(しかも実写モノではウルトラ・シリーズよりもむしろ仮面ライダーやキカイダーなどの方をよりはっきり覚えているし、またこれら実写モノよりも、やはり再放送や再々放送での視聴ではあったが、アニメの「巨人の星」や「あしたのジョー」などのスポ根ものや、同時代では「宇宙戦艦ヤマト」などの方により惹かれていた。他にも「ハクション大魔王」、「いなかっぺ大将」、「ど根性ガエル」など、アニメ作品の記憶の方がより鮮明である)。
 特に「ウルトラマンA(エース)」や「ウルトラマンタロウ」、「ウルトラマンレオ」などに関しては、子供ながらに既に「幼稚でつまらない」とでも思っていたのか、まともに見た記憶すらないのが正直なところで、再放送や再々放送で見たに違いない「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」、「帰ってきたウルトラマン」などの記憶の方がより印象に残っている。
 しかし総じてこれらの怪獣ものや変身ものよりも、上にあげたようなホームドラマや探偵ものの方により共感していたというのがおそらく真相に近く、つまりは子供の頃から私は空想癖や詩心に乏しい、実につまらない人間だったと言っていいだろう。

 「ウルトラQ」や「ウルトラセブン」、「帰ってきたウルトラマン」などが如何に時代の先端を走っていたかということを度々聞かされるようになったのは、もっとずっと大きくなってからのことで、実相寺昭雄演出の回や、市川森一、金城哲夫、石堂淑朗などの脚本家によるものを改めて見返したのも成人してからのことだったはずである。
 しかしこれらの怪獣ものを大人の目で見返す時、「ウルトラセブン」の「狙われた街」(実相寺昭雄演出)や「帰ってきたウルトラマン」の「怪獣使いと少年」などの「名作」には、確かに今でも斬新に思える演出や社会問題の影響などを見出すことが出来はするものの、今から見ると実に「しょぼい」怪獣がひとたび登場するや、途端に冷水でもかけられたようにすっかり「醒めて」しまったことも確かである。
 だから私は「ウルトラQ」や「ウルトラセブン」などのDVDや動画を持っていながらも、それらをまとめて見返そうという気持ちにはなかなかなれないまま、「いつか時間があれば」とずっと先送りし続けているのである。

 そんななか、先日たまたま上に挙げた2つのオープニング動画を目にして、そのクオリティの高さと斬新さにひどく驚かされた。特に巷間でも名作として語られることの多い「ウルトラセブン」に比べ、どちらかと言えば幼稚で子供っぽい印象のある「ウルトラマン」のオープニングからして、既に極めて質が高いことに気付かされた(「ウルトラマン」のオープニングがなぜか「ウルトラQ」という文字から始まることも今回知った)。
 音楽的には60年代っぽさが濃厚でありながらも、クラシック音楽の影響も随所に見られ、子供中心のコーラスの質も実に高い。映像的にも導入部の、水に溶かした絵の具の逆回し(これは既に「ウルトラQ」でも使われていたが→https://www.youtube.com/watch?v=cyR3exmBg-M)や、カネゴンやバルタン星人などを描いた影絵の効果的な使用、鮮明でコントラストの鮮やかな色使いなど、わずか2分弱の映像にもかかわらず、何度見ても飽きることのない完成度の高さである。キャストやスタッフの名前を記した字幕の字体も特徴的であり、市川崑作品のオープニング(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12502038747.html)にも勝るとも劣らない素晴らしい出来である。
 ウルトラマンのオープニングは別ヴァージョンもあるようで(https://www.dailymotion.com/video/xzojh1)、正直こちらは影絵が今ひとつである)、また海外版はコーラスなどは質が落ちるものの、外国人向けに英語で歌われている(https://www.youtube.com/watch?v=hC9EsdeuZME)。
 
 一方の「ウルトラセブン」のオープニングはさらに上を行く出来で、男性と子供の混声コーラスは見事であるし、出だしで曲の始まりを告げるティンパニや、「セブンセブンセブン」という声に応えるように幾度もホルンが高鳴る音楽はよりクラシックに近いと言っていい。影絵部分は「ウルトラマン」のそれには敵わないものの、モロボシ・ダンやウルトラセブンの頭を描いた影絵はやはり個性的で目を惹く。
 こちらにもやはり海外版があり(https://www.youtube.com/watch?v=KHkeIZtICcY)、歌っているのは「仮面ライダー」や「科学忍者隊ガッチャマン」、「およげ!たいやきくん」や「ホネホネ・ロック」などの子門真人である(英文科卒ということもあってか、子門真人の英語の発音はとても分かりやすく正確で、「Ultra」もちゃんと「アルトラ(あるいは「オルトラ」との中間くらい)」と発音している)。
 クラシック音楽に近いと書いたが、実際、作曲者の冬木透による指揮でオーケストラ演奏のものあり(https://www.youtube.com/watch?v=6Pk1KQXS_Ks)、その完成度は極めて高い(子供たちが真剣に様々なポーズを取りながら歌っているところもそうだが、モロボシ・ダン役の森次晃嗣やアンヌ役のひし美ゆり子などが一緒に歌ったり手拍子をしているのも実に感動的である。音楽と映像が多少ずれているが、コンサートの完全版は→その後リンク切れ https://www.youtube.com/watch?v=J6G0l42ikPs)。
 「ウルトラセブン」にはこのオープニング以外にも、決してファンではなかった私でもぼんやり記憶している、印象的なコーラス曲なども用いられている。
 https://www.youtube.com/watch?v=A_AsKGra_kY

 また「ウルトラセブン」最終回で、モロボシ・ダンが、ウルトラセブンの正体を告げる場面(https://www.youtube.com/watch?v=lR4emmZwnuM この告白に少しもうろたえることなく「人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの。たとえウルトラセブンでも」と答えるアンヌ隊員の台詞も実に泣かせる)では、シューマンの「ピアノ協奏曲」の冒頭部が用いられており(カラヤン&リパッティによる演奏は→https://www.youtube.com/watch?v=Lgj2mTzyHN0)、他の回(第47話)でもヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」が使われているそうである。
 これらのクラシック音楽に加え、冬木透による交響詩「ウルトラセブン」を組み合わせたNHK交響楽団によるコンサート(指揮は広上淳一)が以下で視聴可能である(上記の告白場面も見られる)。
 https://www.youtube.com/watch?v=xKdisoekdhY
 
 こうした優れたオープニングの流れも、次の「帰ってきたウルトラマン」で突然途切れてしまい(かろうじて影絵や字幕の字体だけが見るに耐える→https://www.youtube.com/watch?v=fB2FwfsAAR4)、それ以降のウルトラ・シリーズのオープニングはどれも子供騙しのような陳腐な出来になってしまっているのが惜しまれる。逆に言えば1960~70年代始めは、ロック音楽の全盛期でもあり、優れた映画作品なども多く作られていたように、文化全般において特異で傑出した時代だったことを改めて認識させられる。
 もっとも全体的に凡庸な「帰ってきたウルトラマン」にも、上の「One,two,three,four,one,two,three,four」という歌詞のある「ウルトラセブン」の挿入歌にも通ずる、以下の曲(通称「ワンダバ」)があることがひとつの救いではある。
 https://www.youtube.com/watch?v=nHsGhrHGcB0

 しかしこれら素晴らしいオープニングにもかかわらず、少なからぬ時間を要する本編の視聴に取りかかろうという気には未だになれず、膨大な数の未見映画やドラマをまず消化してから、いずれ訪れるかも知れない「暇を持て余した余生」にでも、まとめて見ようかと思っているところである。