
2018年6月13日(水)
今日は「第7回全国同時地方選挙」のため、韓国は休日である。
昨日シンガポールで行われた米朝首脳会談の一応の成功(むしろ米朝両者がそれぞれの利害優先のために是が非でも失敗させないよう取り繕った結果と言うべきだろうが)を受け、与党「共に民主党」が圧勝すると予想されている(まだ開票は完全に済んではいないものの、主要都市の首長などは予想通り与党が圧倒的優位に立っている)。
一昨年のいわゆる「ろうそく集会」以降のこの国における「民衆政治」の奔流には見習うべき点もあるものの、一方的な「正義」の名の下に異論を徹底的に排除・否定する容赦のなさと、時に狂信的と言っても過言ではない過度の熱を帯びがちで、個人的には違和感を覚え続けて来た。そうした身としては、その流れをそのまま引き継いであらかじめ結果の見えている今回の選挙にも、一種の居心地の悪さを禁じ得ないでいるのだが、南北首脳会談や米朝首脳会談の勢いを借りて、具体的かつ実質的な「朝鮮半島非核化」の成果が見えないままにこの国を一気に覆い尽くしつつある「ユーフォリア」には、所詮「他人事」だという意識を常に感じながらも、日本を含む東アジア情勢への影響という観点から今後も「警戒」していく必要があると思っている。
相変わらずこれといった話題のない中、いつもながらに最近接することになった訃報を幾つか。
まずはベルギーの女性歌手であるモラーヌ(Maurane。本名は Claudine Luypaerts←この姓はフラマン系らしいのだが、やたら複雑な綴りで、どう発音するか不明。参考→https://ja.forvo.com/search/Luypaerts/)。
先月7日、ベルギー・スカールベークの自宅浴室で死亡しているのが発見された(享年満57歳)。事件性はない模様だが、どのような状況で死に至ったのか、当局が調査を行っているという報道もあった。
とは言え、おそらく日本では彼女のことはほとんど知られていないだろう。2枚目のアルバム「Maurane」はかつて日本でも発売されたことがあり、またスズキ自動車「カルタス」のCMでは彼女の「Danser」という曲が使われたこともあるのだが(https://www.youtube.com/watch?v=YqDk-nxpNl4)、このアルバム自体が話題になったという話を聞いたこともないし、今回も彼女の訃報を報じていた日本の大手メディアはひとつもなかったはずである(個人のブログでは彼女の死に触れているものが散見された)。
私が彼女の存在を知ったのは、NHKテレビのフランス語講座で彼女の「Toutes les mamas」という風変わりな曲が紹介されていたのを目にしたのがきっかけで、見た目のパッとしない太めのおばさんといった感じの彼女がパワフルな歌声で歌い、踊っている姿に妙に惹きつけられて(https://www.youtube.com/watch?v=_63BXwFs11A)、早速上記のCDを買って聴いてみた次第である(このCDはおそらく今も実家のどこかに埋もれているはずである)。
この歌は今でも彼女の代表曲と呼んで差し支えないようだが、その後彼女は数多くのフランスやベルギーの有名歌手とデュエットをしたり、クラシック音楽を編曲して歌を添えた曲(https://www.youtube.com/watch?v=xVUfPK4OC6s)などで新境地を開拓したりと、その圧倒的な歌唱力もあって最期までフランス語圏を中心に人気を維持していたようである。
実のところ私はすっかり彼女のことを失念していたのだが、つい最近たまたま昔よく聴いた仏語の歌が懐かしくなって調べているうち、しばらく前に亡くなっていたことを知ったという訳である。57歳と言えば自分ともそう大して変わらない年齢であり、今回の訃報に接してますます自分が「終焉」に徐々に近づきつつあることを改めて意識させられもした。
以下に彼女の印象的なデュエット音源を幾つか紹介しておきたい。
彼女と同じベルギー人歌手ということで、サルヴァドール・アダモの「インシャラー」をアダモ本人と共に
https://www.youtube.com/watch?v=VtosoG-Dx1w
ベルギーを代表する歌手ジャック・ブレルの「Quand on a que l'amour」を、やはりベルギー人俳優であるジャン・クロード・ヴァン・ダムの前で披露しているもの
https://www.youtube.com/watch?v=v0N9tM1Rk30
同じブレルの曲を、フランス系カナダ人歌手のセリーヌ・ディオンと歌っているもの(インターネッとで聞ける音源は何種類もある)
https://www.youtube.com/watch?v=pox1p5DrNgg
エディット・ピアフの「愛の讃歌」を故ジョニー・アリデイとセリーヌ・ディオンとともに歌っているもの
https://www.youtube.com/watch?v=DcUlXezC3jY
やはりブレルの名曲「Ne me quitte pas」をフランスの歌手Patricia Kaasと歌っているもの
https://www.youtube.com/watch?v=qsnbzjTs5_I
フレンチ・ポップスを代表するジャン・ジャック・ゴールドマンとのデュエット(L'un pour l'autre)
https://www.youtube.com/watch?v=29MY2Xj06Dw
フランスの女性歌手Nolwenn Leroyとのデュエット(曲はJean Ferratの名曲「Aimer à perdre la raison」)
https://www.youtube.com/watch?v=8dOfock6rw0
ミシェル・ルグランの代表曲のひとつ、映画「シェルブールの雨傘」中の「Je ne pourrai pas vivre sans toi」をルグラン本人とデュエットしているもの
https://www.youtube.com/watch?v=DcFH66IyXCU
巨匠シャルル・アズナブールとともに彼の名曲「Mourir d'aimer」を
https://www.facebook.com/watch/?v=381729465962315

フランス語つながり(?)ということでもないのだが、次いで、ジャン・リュック・ゴダールやエリック・ロメール、クロード・シャブロルなどフランスのヌーヴェル・ヴァーグ作品を始めとする映画作品の字幕翻訳家であり、かつて山下達郎や大貫妙子とともにバンド「シュガーベイブ」に属していた歌手でもある寺尾次郎(6月6日死去。満62歳)。
もっとも名前ははっきり覚えているものの、どの作品でこの人の字幕にお世話になったか具体的な記憶はなかったのだが、インターネットでこの人が字幕を担当した映画作品をチェックしてみたところ、ウォン・カーウァイの「欲望の翼」やジャック・リヴェットの「美しき諍い女」などは間違いなくこの人の字幕で見ただろうことが分かる。
最近は映画館で映画を見ること自体が全くなくなったこともあり、字幕翻訳家の名前に接する機会もほとんどなくなってしまったのだが(DVDでは字幕翻訳者の名前が表示されることはまずなく←実際は表示されることもあるようだが、余り注意して見たことがない、よくよくパッケージなどを確認しないかぎり、誰が字幕を担当したか分からなかったりもする)、清水俊二や額田やえ子、岡枝慎二、戸田奈津子、岡田壯平、山田宏一など、子供の頃からテレビや劇場で名前に接してきた人たちと共に、名前を記憶している数少ない字幕翻訳家が亡くなってしまったことには、やはりひとつの時代の終焉を痛感させられずにはいられない。

そして最後に歌手の森田童子(4月24日死去。満66歳)。
これまた最近たまたま懐かしく思い出してYoutubeなどで(山崎ハコなどと共に)音源をチェックしたばかりだったのだが、はからずも昨日になってその訃報に接することになった。
森田童子と言えば、私はおそらく多くの人と同じく、一時期日本のテレビ・ドラマ界を牽引していた野島伸司の脚本になるドラマ「高校教師」の主題歌「ぼくたちの失敗」に「遅れて」接した組なのだが(もっともこのドラマ自体は見ておらず、野島伸司作品としては後の「未成年」というドラマを何回か見たのみである)、今にも消え入りそうなか細い歌声と自虐的な歌詞に訳もなく惹かれたものである。もっともこの曲を別にすれば、当時は彼女の他の曲をあえて聴こうとした覚えはなく、むしろ今回インターネットで音源をチェックしているうちに他の作品に初めて接してみることになったと言っていい。
やはり以下に、彼女の代表曲とベスト盤の音源のアドレスを掲げておく。
ぼくたちの失敗
https://www.youtube.com/watch?v=iER-NZ7GoM8
たとえばぼくが死んだら
https://www.youtube.com/watch?v=HjwiEFmwyis
ベスト・コレクション「ぼくたちの失敗」
https://www.youtube.com/watch?v=qEMhYL6E2xA
友への手紙 森田童子自選集
https://www.youtube.com/watch?v=8VOfOCjwQrQ
ともあれ、この3人の方々の逝去に対して改めて心から哀悼の意を表したいと思う。