イメージ 1

 

イメージ 2

 

イメージ 4

 

 2016年6月25日(土) ※今日は1950年に朝鮮戦争が勃発した日=625(육이오=ユギオ)である。

 一昨日の23日(木)、EUに残留するか脱退するかを決する国民投票が英国で行われ、周知の通り離脱派が勝利して英国のEU脱退が決まった。


 投票終了後には一時、残留派が優勢というが噂が広がってポンドが急上昇するなどしたが、開票結果が発表され始めると程なく形勢が逆転、程なく開き始めた東京などの株式市場では株価が暴落し、為替市場でもポンド安の一方で、円高が一気に進む事態となった。


 私も開票直後からBBCやガーディアン、TIMESなど英メディアのウェブサイトで開票状況をチェックし続けていたが、残留派が多いとされるスコットランドやアイルランドの開票結果が出始めた頃に残留派の票数が離脱派を上回った他は、ほぼ終始離脱派がリードし続け、その差は広がるばかりだった(日本のメディアの報道はかなり後になるまで「離脱派が僅差で優位」といった内容ばかりで、英国メディアが報じている内容とは大きな隔たりがあると感じたものである)。

 

 EU離脱の動きを主導してきた英国独立党のナイジェル・ファラージ党首(写真1枚目)は、投票終了直後には残留派が勝った模様だと弱気な見通しを示していたのだが、開票が進むと一転して「独立の夜明けは近い」と発言、それから程なくして英BBCは、英国民は離脱を選んだようだとして、離脱派の勝利が確実であることを大きく報じた。

 

イメージ 3


 EUへの残留を訴えてきた英国保守党のデイヴィッド・キャメロン首相(上の写真)は、一昨年のスコットランド独立の住民投票に続き、今回のEU残留・離脱という重大な問題をも国民投票という手段にゆだねた。それは英国国内においてグローバリゼーションの流れや移民流入に対する不満や反発が顕在化しつつあったことの反映でもあるのだが、しかしもしこの若き(?)指導者が、国民投票や住民投票というものが国家の方向性を占うような重大な局面において如何に危うい手段であるかということを少しでも理解していたならば、今回の決定を国民投票に託そうなとどは思わなかったに違いない。


 直接民主制という、一見理想的に聞こえる制度は、しかし同時にその場かぎりの感情や雰囲気で国家の政策や法律、秩序などを大きく左右しかねない諸刃の剣でもある。極言するならば、それは衆愚政治やポピュリズムの代名詞だと言ってもいいものである。かのプラトンが『国家』や『法律』において、「哲人王」や「夜の会議」などのシステムを論じたのも、まさに彼がそうした衆愚政治の危うさを熟知していたからである。ナチス・ドイツが国民(住民)投票によって、表向きは如何にも民主的なやり方で、民心を巧みに利用しながら独裁政治への道筋を押し進めていったことも、やはり周知の事実だろう。
 離脱派の勝利を受けて、EU残留派の多いスコットランドの首相は、英国からの独立を決める住民投票を改めて行う用意があると述べ、同じく残留派が多数を占めた北アイルランドでも住民投票への機運が高まっているという。英国以外でも、オランダやフランスなどでは極右・保守政党が次は自分たちの番だと息巻いてもいる。


 EU脱退という決定が、長い目で見た時、果たして完全に間違った選択なのかどうか、正直私には分からない。しかし「大英帝国の栄光」や「英国の独立」、あるいはEUからなだれ込んでくる移民たちから労働の機会を奪い返すといった一時的な感情によって「離脱」に票を投じた人々は、その選択によって下手をすると「連合王国」そのものを分解させ、崩壊させかねないという試練にこれから直面していかなければならないだろう。
 「離脱」という選択が間違いだと分かったら、その時点でまた改めてEUに再加盟すればいいのだという虫のいい意見も見られるが、しかし既にフランスなどは英国が一旦EUを脱退したら再加盟は認めないだろうと釘をさし始めている。もし仮にEUへの再加盟を望むような事態が訪れ、万が一それを許されるようなことがあったとしても、固有通貨であるスターリング・ポンドの維持など、これまで英国が享受してきた特権の多くを失うことは確実であり、EU内における英国の地位が大幅に下落することは避けられないだろう。

 ここ韓国でも、英国のEU離脱決定のニュースはトップ扱いで報道され(韓国メディアではブレクシット=브렉시트=Brexitという呼び方が一般的である)、KBSではその日の夜の討論番組ですぐさまこの問題を採り上げていた。しかしこの問題を巡って与党セヌリ党の幹部は、「政府と緊密に協力し、24時間協力体制を整え、金融や為替レートの影響が実体経済に及ばないように対応する。必要があれば政府が別の対策を用意するだろう」としながらも、「韓国経済に直接影響する部分が限定的であるため、政府は経済成長率の下方修正などを今のところ検討していないようだ」と述べた。
 こうした政府の動きとは裏腹に、韓国企業の多くは、「世界経済に巨大な不確実性が生じた。このため、今後は産業全般にわたり深刻な波紋が予想される」と口をそろえたと「朝鮮日報(日本語版)」は報じている。「昨年の英国向け輸出は74億ドル(約7,562億円)で、全輸出の1.4%に過ぎない。しかし、英国のEU離脱決定でヨーロッパの経済が揺れ、輸出の30%前後が直接影響圏に入れるようになり、これに加えて欧州向け輸出割合の高い中国経済まで影響を受ければ、17カ月連続のマイナス成長に陥っている輸出経済が致命的な打撃を受ける可能性もある」というのだ。さらに「世界金融危機時のように、英国のEU離脱決定が金融不安だけでなく実物需要の委縮にまで広がり、EUや世界経済全体を停滞させるのではというのが一番心配だ」という韓国国営の貿易投資振興機関であるKOTRAの部長の発言も韓国メディアは伝えている。
 普段から韓国政府の政策には批判的な進歩系新聞の「ハンギョレ」は、「信用ならない政府のブレグジット対応」(同紙日本語版の題名は「不安な韓国政府のブレグジットへの対応」 http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/24479.html)と題する社説を載せ、韓国政府が今回のEU離脱の影響を徹底的に分析して、実効的な経済政策の方向を提示すべきだと注文してみせている。

 一連の報道のなかで、如何にも韓国メディアらしいのは、「朝鮮日報」が「4年間200兆円費やした安倍円安、4時間で『元の木阿弥』」(原文では「アベが4年間で200兆円を使って作り上げた円安、4時間で元通り(原位置)」)といった見出しの記事である(韓国メディアでは、悪しき「歴史修正主義」の元兇である日本の安部首相は、いつでも「アベ」と呼び捨てにされている)。人の心配をするより、まずは自国への影響の方を心配した方が良いだろうと私などは思うのだが、こと相手が日本、そして特に「憎っくきアベ」の失敗となると、自国の将来への憂慮と同じくらい重要なこと(要するに嬉しくて仕方ないこと)らしいのである。まったくやれやれである。
 

イメージ 5

 

イメージ 6

 

イメージ 7

 

イメージ 8


 前回に続いて、日本大使館に手続きをしに行った帰りに散策したソウルの街並みの写真を上に掲げておく。


 領事館での手続きを終えた後、ビルの前の大通りを西に向かって歩いて行き、かつての王宮である景福宮(경복궁=キョンボククン)の前を通り過ぎ、その西側に位置する通称「西村」(서촌=ソチョン)に向かった。昔のソウルを彷彿とさせる古い街並みをそぞろ歩きながら、以前日本人の知人に紹介されて一度行ってみたいと思っていた「通仁市場(통인시장=トンイン・シジャン)」を訪ねてみようと思ったのである。運悪くこの日は最高気温30度を超える真夏日で、ジリジリと気温が上がっていく午後のひととき、汗だくになりながら細い路地をうろつくことになった。


 この市場には「お弁当カフェ」と呼ばれるシステムがあり、市場内にある「顧客満足センター」という場所で1枚500ウォン(約50円)のトークン(엽전=ヨプチョン=葉錢と呼ばれる真鍮で出来た古い貨幣の形をしている)を買い、6枚目の写真にある「通お弁当cafe加盟店」という目印をかかげた店を渡り歩いて自分の好みのおかずを弁当箱に入れ、最後に「顧客満足センター」に戻ってご飯やスープを買い足して、韓国式のお弁当を食べることが出来る(詳細は以下のページを参照。http://www.seoulnavi.com/special/5040705)。
 食べる量や好みにもよるが、おかずは5,000ウォン(約500円。EU離脱で円高になったため、現時点のレートではもっと安くなる)もあれば充分とのことで、ご飯とスープ、キムチのセット(2,000ウォン、約200円)を買い足せば、韓国式のお弁当が完成という訳である(ただし私はこの顧客満足センターには立ち寄らなかったので、現在もこの価格なのかどうかは不明→http://tonginmarket.co.kr/mall/m_page.php?ps_pname=page_sisul
で確認したところ、現在でも値段は同じようである。此処にも記載されているのだが、このカフェを利用できるのは毎週火曜日から日曜日の午前11時から午後5時まで。ただしトークンは午後4時に販売終了。月曜日と第三日曜日はお休みとのことである)。


 しかし実際に自分の目でこの市場を覗いてみると、正直思っていたよりも小規模でショボいことが分かり、お昼時を過ぎていたこともあるだろうが、加盟店で売られているおかず類は種類も多くなく、最近私が韓国料理全般に興味を失っていることもあるだろうが、少しも美味しそうには見えなかった(以下のサイトで、なかなか美味しそうに撮れている写真が紹介されているので、参照されたい。http://ccaboonda.tistory.com/entry/%ED%86%B5%EC%9D%B8%EB%8F%99%EC%A2%85%EB%A1%9C-%ED%86%B5%EC%9D%B8%EC%8B%9C%EC%9E%A5-%EB%8F%84%EC%8B%9C%EB%9D%BD%EC%B9%B4%ED%8E%98-%EA%B8%B0%EB%A6%84%EB%96%A1%EB%B3%B6%EC%9D%B4
 あるいは http://hub.zum.com/fromairplane/1468)。


 おまけにおかずの多くは、作られてからそれなりに時間がたって露店に置きっぱなしになっているもので、上のサイトにもあるように、食べる際には電子レンジで温めて食べる必要があるだろう。そしてなによりも、ご飯やスープを合わせると7,000ウォン(約700円)にもなってしまい、これは物価の高い韓国でもお弁当に払うには決して安い値段ではなく、どうせなら普通の飲食店に入って出来立ての料理を食べた方が遙かに満足度が高いのではないかと思ってしまった。
 相変わらず胃の調子が余り良くないこともあって、私は最初からこの市場で弁当を買って食べるつもりはなかったため、この通仁市場内に出店した店をざっと見物しながら通り過ぎたのだが、そのせいもあって入口から出口まで通り抜けるのに、おそらく5分とかからなかったに違いない(それくらい規模が小さい市場だということである)。


 市場のすぐ近くには、「土俗村(토속촌=トソクチョン)」という蔘鶏湯(サムゲタン)で有名な店があって(http://tosokchon.com/index.php?lug=jp)いつも観光客(特に中国人が多い)で賑わっている。値段は普通の蔘鶏湯で15,000ウォン(約1,500円)と、お弁当カフェよりはかなり高めなのだが、せっかくわざわざ観光でソウルに来たのであれば、余りパッとしないお弁当よりもこの蔘鶏湯を食べて帰った方が良い思い出になるに違いない。もっともこの「土俗村」も人によって毀誉褒貶相半ばし、すっかり観光地化して味が落ち、サービスも悪くなったという意見もなくはないので、保証の限りではないのだが・・・・・・(ケチな私は「当然」ながら、こんな「高級店」には一度も入ったことがない)。

===========================================================================

 この間に読み終えた本はなし。

 映画の方は、

・「競輪上人行状記」(西村昭五郎監督) 3.0点(IMDbなし CinemaScape4.1)

・「ローマでアモーレ」(ウディ・アレン監督) 3.0点(IMDb 6,3)

・「ハンナ・アーレント」(マルガレーテ・フォン・トロッタ監督) 3.0点(IMDb 7.1)

・「イノセント・ガーデン」(パク・チャヌク監督) 3.0点(IMDb 6.8)

・「哀しき獣」(ナ・ホンジン監督) 3.5点(IMDb 7.4) 再見

・「ベルリンファイル」(リュ・スンワン監督) 3.0点(IMDb 6.6)

・「ハン・ゴンジュ 17歳の涙」(イ・スジン監督) 3.5点(IMDb 7.4)

・「殺人ゲームへの招待」(ジョナサン・リン監督) 2.0点(IMDb 7.3)