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 2010年8月29日(日)
 ロンドン中心地を除けば、英国は自動車がないと意外と不便な場所で、特にナショナル・トラストが所有するような公園や屋敷、ロンドンを少し離れた名勝地などを訪れようとすると、まず自動車がないと無理であることが多い。そこで自動車を持たない私のような人間は、公共交通機関を駆使するか観光バスを利用するしかないのだが、自動車であれば大して時間がかからない場所でも、無駄な大回りをしてひたすらテクテクと歩いていくしかないことも多い。

 仮住いでダラダラ過ごしていると仕事のことばかり気になって仕方がないので、不安定な天候をおして郊外のOsterley Parkという場所に行ってみることにした。ついでだから、地下鉄を乗り継いでヒースロー空港の数駅手前にあるOsterley駅の更にひとつ手前にあるBoston Manorという駅でまず降り、そこから程近いBoston Manor Houseというマナー・ハウス(荘館)に行ってみようと思い立った。駅前でウロウロしたり、巨大な運動場を横切ったりして迷った挙句、何とかその荘館に辿りついたものの、事前に下調べしておかなかった報いで、館は当分の間閉鎖されていることが分った。


 仕方がないので隣のOsterley駅に行こうと思ったが、地下鉄駅からかなり離れてしまって引き返すのが億劫になったこともあり、バスに乗って行けないものかと調べてみたが駄目である。やむなく地図を取り出して人気のない通りを歩きに歩いて別方面のバスのある大通りまで出て、そこからOsterley駅に向うバスを見つけて移動した。
 上記の通りこの辺りはヒースロー空港に近く、上空を次々と飛行機が着陸態勢に入って高度を落としてくるのが見える。バスでOsterley駅に着くと飛行機はより低く、かなりの騒音をたてて数分毎に上空を通り過ぎていった。


 地下鉄Osterley駅から住宅街を抜けていくと、急に雲行きがあやしくなってきた。何とか住宅街と広大な緑地とを隔てる壁のあたりまで来たところで嵐のような激しい風雨となり、壁を背にして傘を差したまま身をかがめてじっとしていないと吹き飛ばされそうになる程だった。雨脚が弱くなって来るのを見計らってから公園の敷地に入り、緑地を暫く歩いてようやくOsterley Houseというカントリー・ハウスに辿り着いた。帰りにも同じ経路で戻ったが、この館から地下鉄駅まで歩いてゆうに20分はかかった。そこから仮住いまで地下鉄で1時間弱かかるから、ロンドン市内とは言え遠出をした気分である。


 あいにく屋敷の中の写真は撮れなかったが、この館は英国の誇る建築家の一人Robert Adamによって改修された建物である。アダムと言えば、ハムステッド・ヒースにあるケンウッド・ハウスや、Osterley Houseからも程近い、テムズ川をはさんでKew Gardensの反対側にあるSyon House、ローマ浴場で有名なバース(Bath)のPulteney Bridgeなどを建築したことでも知られている。などといった付け焼き刃の知識は他のウェブサイトでご覧頂くことにして、これまで訪れたChiswick Houseや上記のSyon Houseなどと共に、ロンドン市内とは思えない緑豊かで広大な敷地に囲まれた屋敷に佇んでいると、暫し嫌な日常のことを忘れることが出来た。


 気が付くと、先程の荒天は幻だったかと思えるほどに空は晴れ渡り、ジャケットを着ていると暑く感ずるほど気温が上がり、邸内の庭園をゆっくり散策していると実に爽快だった。あいにく花の全盛期はとうに過ぎ、ところどころにわずかに彩りを添えているだけでしかなかったが、青臭い草のかおりと土の匂いを嗅いでいるだけで気分が少しは晴れてくるようだった。


 唯一の欠点は上記の通りヒースロー空港が近いことで、5分と置かずに飛行機が上空を次々と通り過ぎ、その轟音でせっかくの風景を台無しにすることだった。その音のせいですっかり現実に引き戻されてしまった私は、地下鉄でそのまま仮住い近くまで戻って久々に外食でもしてのんびりと過ごそうという計画を急遽変更し、人気のない仕事場に行って暫く残務処理をし、近くのKFCでそそくさとジャンク・フードの食事を済ませて、夜の8時半を過ぎる頃にはすっかり暗くなるようになった初秋のロンドンの街をひとりぶらぶらと歩いて帰宅したのだった。

 以下のウェブサイトでOsterley Parkの紹介ヴィデオを見ることが出来る(追記:その後ヴィデオは削除されてしまった)。
 www.youtube.com/watch?v=oBNJNu02mas&feature=related

 

 以下で在英日本語情報誌「ジャーニー」によるオスタリー・パークの紹介を読むことが出来る。