生まれながらにこの私は超能力を持っている。
頭の中で考えた時間と場所へ瞬間移動が出来るのよ。
 新聞に交通事故がきっかけで玉の輿に乗った女性の話が
出ていた。私も経験してみようと事故現場にタイムスリップ。
 
あら、新聞に載っていたのはこの女性だわ、あっ、向こうから
真っ赤なフェラーリが走ってくる。事故にあった女性をドンと
押し倒して私が車道側に入った。
 
ガツッ、痛~い。私の弁慶の泣き所に思いっきりフェラーリが
ぶつかった。事故にあった女性は骨折したらしいが、私は
覚悟が出来ていたので骨折はしていないと思うけどものすごく
痛い。これも経験の為だと泣きながら我慢。車から若い男性が
降りて来た。日本と韓国のイケ面男優を全部合わせた様な男。
その男性は困った様な顔をして、私を車に乗せて走り出した。
何で救急車を呼ばないのだろう?どこに連れて行くのだろう?
後で分かったことだが、彼は交通違反を繰り返しており、点数が
殆んど無く、今回の事故で車に乗れなくなるということだった。
 
車はやがて大きなお屋敷の中に吸い込まれていった。東京ドームを
何個も集めた様な広い土地にヨーロッパで見かける様なお城の
玄関に到着した。ちびまる子ちゃんに出てくヒデジイみたいな人や
秋葉原で見る「ご主人さま~」の女性が何人も出てきた。
 
高級ホテルのスイートルームを何室も集めた様な部屋のお姫様
ベッドに寝かされた。お屋敷専属のお医者様の診断を受けた。
私の通っている会社にはしばらく休むとこの家のオーナーからの
連絡で圧力がかけられ、社長も「はいはい、どーぞどーぞ」と
答えていたらしい。
 
それからは、毎日すごい食事、お城やお庭の散歩、軽井沢や
那須にある別荘へのドライブと生活が一変した。車も今日は
リンカーン、明日はポルシェと日替わりだ。駐車場も私の家の
数十倍も広い。
 
ある日、彼から急にプロポーズを受けた。ビー玉みたいなダイヤの
指輪も渡された。でもなんか違うみたい。彼は仕事もしていないし
する必要も無いようだ。多分私はタイガーウッズの奥さん以上の
財産を手に入れることが出来るだろう。
 
でも私はプロポーズを受けなかった。私は、納豆定食も食べたいし、
ラーメン餃子も食べたい。仕事にあくせくするのは大変だが、
それも楽しい。友達との3500円の女子会にも参加したい。
普通の結婚をして子供を産んで苦労するだろうけど自分で育てたい。
前の生活の方が楽しさ、うれしさ、辛さ、苦しさ、悲しさの
色々な人間の感情に優れていると思う。
 
そんな訳でまた元の生活に戻って来ちゃったけど、あのダイヤは
持ち帰ってきたかったなあ。