私が関西のある幅の広いどぶ川の護岸工事の
現場監督をしていた時の実話です。

側の工場から小犬の首を捕まえて男が出てきて、
何のためらいも無く小犬をどぶ川に投げ捨てた。
その小犬は必死になって真っ黒などぶ川の中を
泳いでいたが何も捕まるところも無く
だんだん力が薄れていった。

俺は人夫全員に作業の停止を指示し、
「あの子犬を助ける」と宣言した。
子犬が投げ入れられるのを目撃していた人夫達は
俺に喜んで同意した。

救助は思いのほか困難だった。
コンクリートの堤防が高く、
子犬を必死に呼んでも中々近くに来ない。
長い棒を下手に使うと子犬は沈んでしまう。
最後は全員で手を繋ぎ、どぶ川の中に入って
どうにか子犬を助けた。

子犬は汚れた水で目を真っ赤にさせて、
どぶ川の水を飲んだせいか腹をプックラさせていた。
現場の水で身体と目を洗ってやった。
子犬は暫くして立ち上がりふらふら歩き出した。
数メートル行ったところで振り返った。
まるで「助けてくれてほんとに有難う」と言って
いる様だった。
その日はすがすがしい気分で現場の作業が進んだ。