久しぶりに「十二国記」という小説を読み返しました。



「十二国記」は1991年に小野不由美が描いた小説シリーズで、

累計750万部以上の大ベストセラーです。



十二の国、十二人の王が治める異世界で

それぞれの国での話が綴られています。



シリーズ共通の主人公は存在しませんが、

ある話で主人公だった者が、別の話で脇役として登場するため、

かなり立体的な想像をしながら読み進められるのが

この本の特徴です。



さて、そんな中でも特にオススメなのが、

シリーズ2作目「風の万里 黎明の空」です。



このお話の主人公は、3人の女の子です。




●中島 陽子(赤髪の人)
 日本人(=海客)。ある日突然、景麒(けいき)と名乗る男に「景王」として異世界に連れて行かれる。苦労の末、景王として即位するが、知識や経験不足からか、官吏達との間に距離を感じ、悩んでいた。

●大木 鈴(茶髪の人)
 日本人(=海客)。明治生まれの人だが、ある理由により見た目は少女のまま。陽子と違い、崖から転落した際に異世界に飛ばされる。同じ日本人(=海客)だからと景王の元へ向かうが、景国の悪政を目の当たりにし、景王を玉座から引きずり下ろす事を考えるようになる。

●祥瓊(青髪の人)
 異世界の人。50年以上生きているが、この人もある理由により見た目は少女のまま。別の国の王女として、何不自由無い生活を送っていたが、簒奪により父である王を殺され、王宮から追放される。時を同じくして王位についた景王を妬み、自分も彼女を簒奪してやろうと目論むが、景王の友人に助けられる事で、景王に対する見方が変わり、自分の人生について見つめ直すようになる。



 この3人の人生が複雑に交錯して物語が進んでいきます。3人とも、それぞれに色んな苦痛・苦悩を経験していく訳ですが、陽子(赤髪の人)はもう少し予習が必要になります。

 それが、シリーズ1作目「月の影 影の海」です。

 


ねずみ?

はいそうです、ねずみです。

このねずみは、陽子、そして祥瓊に大きな影響を与える人……ねずみです。



この1作目はとにかく読み進めるのが辛いです。



騙され、裏切られ、

泊まる宿はおろか、食べ物も無い。



異世界へ飛ばされた陽子は、そんな状況に耐える中、

自分自身も理性を失い、

人を騙し、裏切るようになり、

まるで獣のようになっていく恐怖を味わいます。



そんな地獄のような経験をしている、という事を知った上で、

シリーズ2作目を読み進めると、

陽子の行動の意味が手に取るように分かります。



なぜ、剣に鞘が無いのか。



なぜ、ためらいも無く人を斬るのに、無駄な殺生を避けるのか。



時折黙ったままになるが、何を考えているのか。



シリーズ2作目も、大きな苦難が待ち受けていますが、

読み終わった後の爽快感は保証します。

ぜひ読んでみてください。






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