人それぞれ生活空間で見慣れた風景はあるはず、
それで今更驚くこともないでしょう。
その反対に見慣れていなければ戸惑うこともあるでしょう。
私が仕事やプライベートで電車を利用する際の移動エリアは都会と田舎の中間くらいになる。
特に不便なこともなく、不満もない。
出会う層は社会人、学生、家族、お年寄り等偏りなく全世代が利用している。
たまに、地域色の強いところに行くこともあるが、そのとき出会う層は非常に偏っている気が個人的にする。
例えば、富裕層が住んでいると言われる某駅では見た目から「私お金あります、清潔感あります」オーラが溢れている。
他にも漫画やアニメ好きが集う某駅ではコスプレしてる人、推しキャラグッズをワンポイントではなく全身に身に着けている人、バンダナ巻いてデカリュック背負って、シャツをinして胸の高さでジーンズ履いてる人など先程の富裕層とはまた違った層が多く独特なオーラが溢れている。
そんな地域色と人物がマッチすればなんの違和感もない風景なのだろう。
都内のオフィス街が立ち並ぶ某駅に行ったとき、
電車に乗り合わせる人たちはスーツをビシッと着こなし小忙しさが溢れている人達が。
パソコンをいじっていたり、吊り革を握りながら小打ち合わせをしていたり。
それと個人的に苦手なタイプなんだがおしゃれスーツをビシッと着こなし、
「俺、できますから」オーラをあからさまに出してる若手ビジネスマンもちらほら。
偏見だが、早口だろうし、早歩きだろうし、もれなくAirPodsつけてるし、ブランド品を身につけ、話し方にも癖があるだろうし、異様に細いし、何にも動じないんだろうなと。
おしゃれスーツを着ると、色々と締まるんだろうがどうも私は受け付けない。
そんな彼らを陰で私は「スーツに喰われた男」と
呼んでいる。
そんななか、メイド服を着た人が乗車してきた。
その人は丸坊主の男性。
私はここで乗車してくるキャラとは予想していなかったので一瞬で腰を抜かした。
スーツ、スーツ、スーツ、スーツ、メイド、スーツ、スーツ。
ウォーリーを探すより簡単だが、ものすごい違和感。それと、多少なりメイド要素をもってくれていればいいのだがしっかり吊り革を握っていた。
そしてなにより、周りの人達が誰も坊主メイドに目を向けていないこと。
刺激の多い都内だから皆んな慣れているのだろうが、私には刺激が強かった。
特に電車内でやることがなかった私はずっと坊主メイドを見ていたら、私の視線に気付いたのかこちらを見て軽会釈。私も軽会釈。
その後、坊主メイドは途中下車。
降りた駅は若者の聖地や最新トレンドを発信している地域、きっと彼のホームだろう。
坊主メイドが降りた後の車内は特に変わらず、
先程と同じ風景。やはり皆さんにとって日常なのだろうな。
だがしかし、私は見逃してません。
坊主メイドが乗車してきたとき私と同じく驚いたいや、私よりも驚いていた人物を。
「スーツに喰われた男」そこの若手ビジネスマン。
坊主メイドが乗車して来るまでビンビンに強気なオーラを出していたのに、坊主メイドに気づいた途端AirPodsを付け背を向けて距離を取り出した。
おいおい、どうしてしまったんだ。
坊主メイドくらいに動じるんじゃあない。
そのAirPodsは自分を鼓舞するための曲でも流しているのかと思っていたが、もしかして絡まれたりなどしないように万が一に備えての防具だったのか。
坊主メイドが降りた途端、AirPodsを外して最初の立ち位置に何食わぬ顔で戻ったので多分ビビっていたのだろう。そんな姿見たくなかった、家に帰るまでが「スーツに喰われた男」と学校で習ったはず。
私は彼らを見習い、身の丈にあった装いでそれに似つかわしい行動を取ろうと改めて思った。
ところで坊主メイドって何者だったんだ。