好き嫌いの感情が初めて爆発した瞬間かもしれない。
ショッピングモールでたまに見かける大きい駄菓子屋さん。懐かしさもありあったら必ず立寄り、昔叶わなかった大人買いなんかしたり優越感に浸ることもしばしば。
その日も帰り際に、駄菓子屋さんに立寄り店内を散策していると2.3歳の子供を抱っこしたお母さんが店の前を通った。
お母さんはお菓子を買って帰るようで店内に入ろうとしてきた。
そのとき、抱っこされているお子さんが
「お菓子は嫌、おもちゃがいい」と少しグズっていた。
というのも駄菓子屋さんの近くのテナントに某有名おもちゃ屋さんが入っておりそれが視界に見えたのだろう。指を差し、
「お菓子は嫌、おもちゃがいい!」と徐々にボリュームが高くなってきた。
ただ、お母さんはお菓子を買って帰りたい意思が非常に強いようで、頑なにおもちゃ屋さんには目を向けず店内に入ろうとしていた。
だが子供も頑なに駄菓子屋さんに入りたくない様子、
「お菓子は嫌、おもちゃがいい!!!」
活動限界の手前まで感情が高まってきている。
そのとき、お母さんあるある発動。
「じゃあもう、1人で行ってきなさい。お母さん先帰るよ!」
と、抱っこしていた子供を降ろした。
子供の限界突破暴走モード突入。
「お菓子は嫌!!!おもちゃがいい!!!」
泣き叫び、パニック状態のまま駄菓子屋さんの店内に突っ込んできた。
子供は、私が棚の商品を取ろうとしているところの隙間を走り抜け、店内の奥へ。
状況を徐々に理解したのか、散々嫌と言っていたお菓子に囲まれていることに気づき暴走モード継続。
来た道戻るかのように私と棚の間を再度走り抜け無事店外へ脱出。
その子はお母さんに抱きつき、お母さんは私を見てごめんなさいの会釈。結局お菓子は買わずに帰って行った。
一瞬の出来事だったが、いいもの見た気がする。
私もお目当ての商品を手に取りレジへ向かう際、ふと足元にお菓子が落ちていた。
手に取るとスナック菓子が粉末状になっているじゃあないか。
さっきの暴走モードの子が踏んだんだ、しかも往復で2回も。
棚に戻す訳にいかない、さっきのお母さんはもういない。私が買い取るしか…。
暴走モード突入。