あまり見たくないし、そうなりたくもない。

大人が大人を叱るところ。


先日、仕事で事務所を移転するお客さんの対応をしたとき。移転といっても同じ敷地内に新社屋を建てそちらに移るとの内容。


私はお客さんのインターネット関係をお世話しており、当日はOA機器や回線関係のセッティングで現場に立ち会った。


移転のため現場には、私以外にも建築会社や電気会社、引越し業者などが来ており現場は忙しない状況。


とはいえ私は現場で作業員さん達への指示役のため正直暇な時間が多く空いてる時間は新社屋のなかをふらふらと見学。


そんななか、引越し業者の方々が旧社屋から新社屋に荷物を搬入しているところへ遭遇。社員さんが日雇いバイトで参加している女子学生や中年男性の方々に指示出ししながら作業していた。


中年男性はベテランフリーターなんだろう、社員さんと親しく話しており慣れた手つきで作業していた。一方の女子学生は仲良し2人組で参加してるのだろう、おちゃらけた様子で作業していたがご時世的に社員も注意ができない。何も言えず静かに拳を握りしめていた気がする。


そんなこんなで、お昼の時間になり私含めほとんどの業者が一旦昼休憩を取り始めた。昼食を食べ終え新社屋のフリースペースで待機、後から引越しバイトの女子学生2人組とベテランフリーターも来た。

ベテランフリーターから女子学生に、


「バイトどう?疲れたなら無理せず休みなよ!」

「分からないことあったら何でも聞いてね!」

「引越しの仕事って〜で〜が〜なんだよね!」


緊張ほぐしもかねて、世間話やバイトのコツなんかを語っておりベテランフリーターの貫禄を感じた。


休憩も終わり、作業が再開された。

私は午前中同様、作業員さんに指示出ししたらあとは様子みながら建物内をふらふら見学。


引越し業者も引き続き荷物の搬入作業を実施。

ベテランフリーターが段ボールを積んだ荷台を押していた。


小さい段差に引っかかり荷台がちょっとだけバランスを崩したが経験値がある分巧みな技術で乗り切った。


そのとき、荷台に積んである段ボールから何かが落ちた。気づいた私はその何かを拾いベテランフリーターに渡した。


それは透明なプラスチックの板だった、ベテランフリーターもそれが何なのかは理解していない様子だが拾ってくれたことには感謝してくれた。


だが、その直後プラスチック板の正体に気づいたベテランフリーターと私はゾッとした。


ベテランフリーターが荷台から段ボールを下ろす作業をした際、段ボールと段ボールの間にデスクに置くタイプのプラスチックのパーテーションが積んであった、というか挟んであった。


落ちたプラスチック板はパーテーションの一部で

小さい段差に引っかかった際に弾みで割れてしまったみたいだ。


「やっちゃったよ…」

心の中でつぶやいたが、漏れていたのかベテランフリーターがこっちを見てる。


そんなタイミングで社員登場。

ベテランフリーターに事情を聞いてるが、なんだかスムーズに話が進んでないようだ。


話の内容はよく聞こえないがベテランフリーターの身振り手振りからして言い訳してるようだ。

社員もしびれを切らし外に連れだした。


私は好奇心が勝ってしまい仕事を忘れこっそりついて行った。


社員も声を荒げることはできないようだが、そこそこのボリュームで、事情を説明してください、

すぐに会社へ連絡してください。と、さっきまで親しく話していた2人なのに。


そのシーンを見てる私の頭の中ではサンサーラが流れていた。


そして何より怖かったことはそこそこのボリューム且つ、一定のトーンで敬語で説教する大人だ。