私はポケモンカードのイラストを鑑賞するのが好きですが、カードコレクターの気持ちが理解できないことがよくあります。

そもそも、イラスト愛好家はイラストを鑑賞するのが最大の目的なので、カードを集めることが目的のカードコレクターとは根本的な価値観が違うものです。

ですが、ポケモンカードのコレクターについては、特に理解できないと思うことがあります

 

まず、カードの美品に対するこだわりが理解できません。

もちろん、私もカードが汚れていたり、イラストに傷がついているのは嫌ですが、ポケモンカードのコレクターは四方の枠にわずかな白い欠けがあるだけでカードの評価を下げたりします。

 

枠は断裁時に、中央からずれた場所を切り取ってもイラストや文章まで切り取ってしまわないようにするためのマージンです。

イラストや文章が無事ならば、枠の部分がよく見ないと分からない程度に欠けていることなんてどうでもいいことです。

 

枠は絵画で例えれば、額縁や裏地のようなものです。

額縁が欠けていたり、裏地が汚いからという理由で絵の評価が下がることはありません。

 

この欠けに対するこだわりは、遊戯王カードのコレクターにも見られる傾向であります。

海外の基準でカードの品質を評価するPSAでは、わずかに白欠けがあっても最高評価の10を取れることからも、白欠けへの忌避感は日本のカードコレクターだけに見られる謎のこだわりに思えます。

 

次に、同じイラストなのに価格に差が出るのが理解できません。

例えば、あるイーブイのプロモーションカードは5000円以上しますが、全く同じイラストの配布カードは500円程度で販売されています。

それでも、この例は希少性に差があるので価格差ができるという理由があります。理解はできませんが、そういう理由があることには納得します。

 

ですが、日本版と海外版のポケモンカードの価格差には、理解も納得もできません。

有名なSRイラストのカードが、日本版ならば50万円で、海外版ならば1万円ということさえあります。

全く同じイラスト、希少性も同様(海外では同じイラストのカードをプロモとして大量に配布している例外もありますが)、それなのに倍から10倍以上の価格差があります。

 

日本版の方が質が高いという理由は通じません。

何故なら、安い海外版の印刷の方が、綺麗な場合があるからです。

 

以下の動画で説明されているように、一時期のポケモンカードは、海外版のみがFMスクリーニング印刷で刷られて、ドットではない滑らかな色合いになっているからです。

最近のカードはどちらも同じ印刷で滑らかになっていますが、高額で取引されているカードの幾つかは日本版の方が粗い印刷になっています。

 

 

もちろん、日本版のカードの方が優れている点もあります。レリーフ加工(カードに刻み込まれている溝)の模様の細かさは日本版の方が上です。

ですが、レリーフが細かいのとイラストの色合いが滑らかなのと、どちらが良いかと聞かれれば、イラスト愛好家としては後者を選択します。

ですが、後者の方が10分の1以下の価格で手に入るのです。

 

 

最後に身も蓋もないことを言うと、ネットなどでイラストが無料で鑑賞できるのに、どうして手元にカードを所持しなくてはいけないのか?と思うことがあります。

 

絵画ならば、どんな精巧な印刷でもオリジナルの色を再現できないから、直に見たり、所有することに意味があると言えます。

ですが、カードの場合は、印刷されたカードを見るのも、パソコン画面で見るのも、大した差はありません。

拡大して大きく見れるパソコンの方が見やすいとさえ言えます。

 

それなのに、無料で鑑賞できるイラストを、時には何万円、何十万円、何億円という大金を払って手元に置くカードコレクターは、何に価値を見出しているのかが、イラスト愛好家である私には理解できません。

 

告白しますと、最後のこれについてだけは、私の難癖であります。

カードコレクターは、イラストを愛好しているわけではなく、文化遺産としての価値を見出して大金を出していることを私は知っています。

デジタルのデータは意外と簡単に消えて、2度と見えなくなります。

誰かが現物を保持し、維持管理して次世代に残す必要があります。

自分で勝手に大金をかけて、その大変な役割を果たしてくれているのがカードコレクターです。

 

カードコレクターの果たしている役割には敬意を払いますが、やはり私には、無料で鑑賞できるものに大金を払う気持ちは理解できないという話でした。

 

最後の1件は私の言いがかりですが、枠の欠けにこだわったり、イラストも希少性も同じなのに(場合によっては品質の悪い方の)日本版のカードの方が高いのは、私にはどうやっても理解できない話であります